新しいサービスの名称や機能を企業に認知させたいBtoB企業にとって、試してみたい広告メディアのひとつが「タクシー広告」です。
注目を集めているのは、乗車するとすぐ目に入るデジタルサイネージから配信される動画広告。
集客効果が高いとされるのは、なぜでしょうか。
今回は、タクシー動画広告のメリット、成長した背景、出稿の費用や方法について紹介します。
タクシー広告とは? 注目されている背景
タクシー広告のなかでも今注目されている動画広告とはどんなものか、それ以外の広告メディアも合わせて紹介します。
タクシー広告とは
タクシー広告とは、タクシーの車内外に表示される広告全般のことです。ステッカーや紙媒体も含まれます。
しかし今、タクシー広告のなかで最も注目されているのは、車内に設置されたデジタルサイネージから配信される動画広告です。
そのため、タクシー広告イコール動画広告のことを指していることもあります。
ユーザーがタクシーに乗車する時間の平均は18分といわれます。
18分という時間は、パソコンやタブレットを出して仕事をするにはやや短く、何もせずに目的地まで乗っていれば長く感じられる時間です。
かつてはタクシー車内に、乗客の目に止まる位置にリーフレットを置いていました。しかしリーフレットは乗客が手に取らなければ見てもらえません。
それが近年、ディスプレイに置き換わり、動画広告を配信するようになると、18分というスキマ時間に効率よく情報を届けて広告効果を上げられるようになりました。
以下は、タクシー広告市場の成長予測の図です。
出典:株式会社CARTA HOLDINGS,CARTA HOLDINGS、デジタルサイネージ広告市場調査を実施~2021年のデジタルサイネージ広告市場規模は594億円の見通し、2025年には1083億円と予測~
タクシー広告はコロナ禍で急速に成長したこと、今後も市場は拡大の見込みであることがわかります。
タクシー広告が注目される背景
タクシー広告が注目を集めるようになった背景に、タクシーのサービス全般にわたるデジタル化があります。
近年タクシーのサービスは大きく変化しています。タクシーに設置されたタブレットは、広告を配信するサイネージであると同時に決済端末でもあります。
乗客はタクシー会社のアプリから非接触、キャッシュレスで簡単に支払いをすることができます。
タクシーアプリは支払い手段のほか配車サービス、定額運賃や事前確定運賃などを提供していて、ユーザーにとっての利便性が増しています。
アプリの会員登録により、いつどんな乗客がどのエリアに乗車するかというデータが取得でき、それをもとに費用対効果の高い広告配信が可能になります。
このように、タクシーのサービスがデジタル化されたことで、タクシー広告が広告施策として効果を上げられるようになってきています。
2020年以降のコロナ禍で、不特定多数の人との接触を避けることができるタクシー需要が増えたことも、タクシー広告の拡大を後押ししました。
さらに、タクシーはビジネス利用が多く、しかも管理職の割合が多いことからBtoB企業がタクシー広告を利用するようになりました。
そこで一定の実績が認識され、現在はBtoBの有力なマーケティング施策のひとつとされています。
タクシー広告のメリット・デメリット
タクシー広告のメリットは以下です。
経営者や管理職、富裕層にリーチできる
管理職以上のビジネスマンや富裕層は定期的にタクシーを利用する割合が多いことが知られています。
これらの層はテレビやネット動画を見る機会が少ないですが、タクシー車内であれば動画を見る可能性があります。
企業で決裁権のある経営者や管理職に直接情報を届けられるので、BtoBの広告の配信先として有効です。BtoCであれば投資商品や不動産などの高額商品の広告に向いています。
時間と空間が限定され、広告が目に止まりやすい
平均のタクシー乗車時間とされる18分という時間、タクシー車内の閉鎖的な空間という条件のもと、乗客はディスプレイから配信される動画にあまり抵抗感を感じずに目を向けます。
広告を見てもらえる条件が揃っているといえます。
一方、タクシー広告のデメリットは以下です。
広告費・コンテンツ制作費が高額である
タクシー広告に動画配信する費用はエリアを限定しても数10万円からと高額です。
そのためWeb広告のように低額から始めて効果を見ながら改善していくことができません。
初回から成果を上げるためにコンテンツ制作費も十分な額を用意する必要があります。
効果測定がしづらい
タクシー広告の効果測定はWeb広告に比べると困難です。
直接測定することが難しいですが、指名検索数やCVの推移によってある程度把握することができます。
ほかに、タクシー会社が提供する配車アプリへのクーポン配信によって効果を測定する方法もあります。
タクシー広告の種類と配信方法、費用は?
タクシー広告を検討するときに参考になる、タクシー広告の種類、費用、配信方法などを解説します。
タクシー広告の種類と活用例
タクシー広告には動画広告以外にも種類があります。アナログな媒体による広告、車外に表示させて一般の人に見せる広告などがあります。
デジタルサイネージ
動画を配信できるデジタルサイネージは主に助手席の後部に設置されています。最新のディスプレイはサイズが大きく画面もクリアになり、届けられる情報量が増えています。
車窓サイネージ
後部のガラス窓をデジタルサイネージにして動画を配信する最新技術です。
アドケース
運転席・助手席の背面に設置されたラックにリーフレットを入れる方法です。乗客の目に止まりやすい位置に設置されます。リーフレットの残数で効果測定ができます。
ステッカー
ステッカーは車内向けと車外向けがあります。車内の乗客が見るのはドア内側、運転席後部など。車外向けではドア、サイドウィンドウ、リアウィンドウなどに貼ります。両面印刷で車内外向けのステッカーもあります。
サンプリング
ドライバーが乗客に各種のノベルティを直接配布します。
ラッピング
車体全体に表示させるラッピング広告は他の車からも歩行者からもよく目につきます。
ステッカーやラッピングなど、従来からの広告手法についても、動画広告と組み合わせることによって新たな相乗効果を生むことが期待できます。
2022年新春、というタクシーをメディアとして活用した大規模な広告『進撃のタクシー』が展開されました。
- ディスプレイにキャラクターが登場する『進撃のタクシー』をアプリで配車
- 車窓サイネージで動画広告を配信
- 車内ではアニメを放映
- 正月期間に車内で「進撃のおみくじ」を配布
- SNSでプレゼントが当たるキャンペーンを実施
タクシー広告にはデジタルとアナログの両方がありますが、どちらも最大限活用したタクシー広告の好例といえそうです。
タクシー動画広告の配信会社
タクシーの動画広告を出稿できるのは主に以下の2社です。
■Tokyo Prime
東京だけでなく大阪、札幌、福岡などの大都市を中心に、全国30都道府県に展開していることが特徴で、サイネージ導入車両66,000台、月間リーチ数は3,300万人です。
■GROWTH
東京23区内、特に繁華街を走行するタクシーを対象としてサイネージ導入車両11,500台を展開し、月間リーチ数は770万人です。
タクシー広告の費用、出稿方法、事例
タクシー動画広告の費用は上記2社の場合各種のプランがあり選択肢は豊富です。
費用例としては首都圏で1週間動画を配信する場合で300~800万円程度です。これに加えて動画製作費も必要となるため、1000万円以上はかかるでしょう。
しかしそれでも、費用対効果に満足してリピートする企業がかなり多いようです。
Tokyo Prime、GROWTHとも、くわしい媒体資料をWebサイトで提供していて、プランごとの費用と出稿方法が明記されています。
また、タクシー広告の事例も公式Webサイトで多数紹介されています。
タクシー広告で成果を上げるポイント
費用をかけてタクシー広告にトライするなら、成果を上げられるよう十分な準備をして臨みたいところです。成果を上げるポイントについて解説します。
訴求力のある動画コンテンツの制作
タクシーのデジタルサイネージでは視聴者向けの情報番組を配信していて、その合間に広告が流れます。
動画広告は30秒が基本です。30秒あれば充実したコンテンツを届けることができます。
動画制作のポイントは以下です。
音声なしでも伝わる構成にする
タクシー車内のサイネージからは音声も流れますが聴こえづらい場合もあります。音声なしでも内容がわかりやすく伝わる動画にすることが重要です。
ターゲットに合うコンテンツ
ターゲットは企業の管理職なのか富裕層なのか、自社の商品を届けたいペルソナを明確にして動画を製作します。
自社メディアへの誘導
配信画面にQRコードを表示させてオウンドメディアなどに誘導すればさらに追加の情報を届けられて、アクセス数を測定することもできます。
効果測定の方法を決めておく
タクシー広告の効果を測定する方法として、以下のようなものがあります。
- 指名検索数
- Webアクセス数
- 獲得リード数
- 商談獲得数
- リードからの商談獲得率
- 受注件数
- 電話問い合わせ数
指名検索とは商品やサービス名をユーザーが入力する検索のことです。広告配信期間に上記の数値がどの程度増えるかを測定します。
上記のなかのどの数値で測定するのか、測定の方法と目標値を決めます。
目標に達成したら再度広告出稿するのか、達成しなかったらいつ停止するのかなどのシナリオについても、事前に決めておく必要があります。
マーケティング戦略のなかでの位置づけ
タクシー動画広告によってどの程度の集客アップ効果があるかの測定は重要ですが、その成果はタクシー動画広告だけによるものではありません。
同じ動画コンテンツをYouTubeやSNSにも配信することで、リードは複数回同じ情報を見る可能性が高くなり、認知度が高まります。
また、動画コンテンツから誘導するランディングページのわかりやすさやアクションのしやすさ、自然検索したときに自社のページに誘導できるSEO対策も不可欠です。
年間の時系列や同時期に行う施策など、マーケティング戦略全体のなかでタクシー動画広告を効果的に位置づけることが、最終的な集客と売上アップのために重要です。
まとめ
本稿のポイントは以下の4点です。
- タクシー広告のなかで、デジタルサイネージから配信する動画広告が注目されています。
- タクシーの乗客には経営者や管理職など企業の決裁権者が多く、BtoBビジネスの集客に効果が認められています。富裕層の乗車も多いので、BtoCビジネスでも広告需要があります。
- タクシーの平均乗車時間は18分と短いですが広告を配信するには十分な時間の長さで、デジタルサイネージから流れる動画を見る可能性が高いです。
- タクシー動画広告のデメリットは費用が高額ということです。それでも一定の効果が認められ、BtoB企業に人気です。
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