MA(マーケティングオートメーション)はマーケティング施策を効率化できる機能を備えていますが、そのなかでも重要な機能として、シナリオ機能があります。
シナリオ機能により、顧客一人一人に対して適切なコミュニケーションを実行する「One to Oneマーケティング」を自動化して実行できます。
今回は、MAのシナリオ機能とはどんな機能か、作成の手順などを解説した後、シャノンが実際に活用しているシナリオを多数紹介していくので、ぜひお役立てください!
MAのシナリオ機能を理解しよう
MAを導入するにあたり、ぜひ活用したいのがシナリオ機能です。MAの目的や機能についてもあらためて確認します。
MA(マーケティングオートメーション)とは何か、MAの目的は?
シナリオ機能はMA(マーケティングオートメーション)の主要な機能のひとつです。
MAとは、マーケティング活動全般を自動化して、顧客データを一元管理したり、他のシステムと連携できるツールです。MAの機能の代表的なものとして以下があります。
- リード管理
- メール配信
- Webトラッキン
- シナリオ
- スコアリング
- Webパーソナライズ
※MAの機能については、以下の記事でくわしく解説しています。
マーケティングオートメーション(MA)とは?導入すべき理由、機能紹介から成功事例まで徹底紹介!
MAの目的は、見込み客(リード)を獲得し、リードの購買フェーズを引き上げることです。
リードの興味・関心を引き上げて購買を促すためには、顧客の属性や興味・関心の度合いに合わせてきめ細かなアプローチを行う「One to Oneマーケティング」が不可欠です。
※One to Oneマーケティングについて解説している以下の記事では、後半でシナリオ機能を活用した施策の具体例を紹介しています。
One to Oneマーケティングとは? MAで効率化できるその具体的手法を解説
MAのシナリオ機能とは?
たとえば、リードに対してあるメールを出した後、次の施策として、リードのリアクションや属性を考慮して次のようなシナリオを設定するとします。
・メールを開封した → 3日後に次のメールを送信
・メールを開封しない → リードの属性で分岐
→ 「役職フラグ有」のリードには別のメールを送信
→ 「役職フラグ無」のリードには何もしない
上記のような施策を手作業で実施するとしたらどうでしょうか。
1回限りであれば可能かもしれませんが、毎週1回行うとしたらかなりの手間となるでしょう。
MAのシナリオ機能は、上記のような条件分岐を含む施策を自動化できます。
以下が操作画面のイメージです。
このように、シナリオ機能があることで、作業を大幅に効率化できます。
シナリオ機能を使うメリット
MAのシナリオ機能を活用するメリットとして、以下が挙げられます。
業務の効率化
あらかじめ条件設定すれば、その後の作業を自動化できるので、業務効率化ができます。
シナリオを活用することで、マーケティング担当者は作業時間を削減して戦略立案や検証の業務に集中できます。
One to Oneマーケティングの実現
リードの属性や行動履歴によって異なるマーケティング施策を行い、顧客一人一人に合わせたコミュニケーションをとるのがOne to Oneマーケティングです。
細かい条件を設定して多様な施策を実施できるシナリオ機能がOne to Oneマーケティングを可能にします。
スピーディーに見込み客対応ができる
展示会で名刺交換した相手に対しては、当日中には挨拶のメールを送信。それに対してリアクションがあった場合にもすぐに次のフォローをすることが望まれます。
しかし展示会前後は担当チームも多忙で、個別のメール対応をする時間が限られます。
そんなときにもシナリオを設定しておけばサンクスメールやその次のフォロー施策をスピーディーに実行できます。
機会損失の削減
資料ダウンロードやウェビナーの申込に対する「お礼メール」とその次の誘導を最適なタイミングで実行できます。
担当者が不在などの理由で対応が遅れることがないので、機会の損失を減らせます。また、人為的なミスによる「対応忘れ」も削減できます。
検証データの蓄積
すべての施策とその結果の履歴が残るため、施策の検証と改善がしやすいこともメリットです。
シナリオ機能の活用シーン
シナリオ機能は展示会やセミナーなどのフォローや、日常的に継続して実施するリードの興味・関心の引き上げ施策など、さまざまなシーンで活用できます。以下はその一例です。
目的に合わせた詳細なメールマーケティング
リードの属性で絞り込んだセグメントメール、リードのリアクションの有無によって違う内容のメールを送信するといったアクションを含むシナリオを作成してメールマーケティングを効率よく実施できます。「セミナー/ウェビナーの集客」「ホワイトペーパーダウンロード件数のアップ」など、そのときどきのマーケティングの目的に合わせた施策をすぐに実行することができます。
※以下の記事ではメールマーケティングについて解説するとともに、シナリオ機能を活用して集客がアップした事例を紹介しています。
メールマーケティングの種類や手法を解説。180%集客がアップした、メールマーケティングのコツもご紹介 !
ホワイトペーパーダウンロード者のフォロー
ホワイトペーパーダウンロードのお礼とともに、関連の読み物ページへ誘導。閲覧ありとなしでそれぞれ、違う施策でフォローします。
展示会で名刺交換した新規リードをすばやくフォロー
名刺交換したリードのデータはその場でデータとして取り込み、当日中にサンクスメールを配信。クリックがあればすぐにフォローし、クリック無であれば別の情報を送信します。
セミナー/ウェビナーの申込者フォロー
申込に対するサンクスメールを配信するところから始まり、セミナー/ウェビナー終了後は参加者へのお礼やプレゼント、不参加者へは見逃し配信の案内など、それぞれに対してシナリオを設定してフォローします。
休眠リードの購買フェーズを判定
まずリードのなかで休眠状態になっているリードを抽出し、資料請求や読み物記事への誘導メールを送信。リアクションがあれば休眠リードからの掘り起こしができます。
シナリオ機能のしくみとシナリオ設計のつくり方
シナリオ機能のしくみ、設計のしかたを解説します。
シナリオ機能の具体的な要素
シナリオは、以下のような要素を組み合わせて作成します。
シナリオは、オートメーション要素とシナリオ要素により構成されます。
オートメーション要素とは、条件や手順に基づき処理を実行することで、上表にアクションとして示している「メール送信」「リスト追加」「リード項目更新」などが該当します。
シナリオ要素とは、リードとのコミュニケーションを自動的に実行するためのシナリオのことで、マーケターが作成する部分です。
シナリオの作成では、「適用開始条件」「トリガー」「フィルタ」のいずれかの条件と、そのときのアクションを設定します。
そこでポイントになるのが「分岐」です。たとえばトリガーの「メール開封」なら、「開封した」「開封しない」で分岐して異なるアクションを設定します。
シナリオ機能を使用する準備
シナリオが有効に機能するためには、シナリオ作成と合わせて以下のような準備が必要です。
データクレンジング
シナリオが機能するために、見込み客や顧客のデータが整備されていることが重要です。
株式会社と㈱、アルファベット表記とカタカナ表記の違いなどによる表記ゆれをなくし、適切に名寄せをするデータクレンジングが欠かせません。
※データクレンジングについて、以下の記事で解説しています。
参考記事:データクレンジングとは?マーケティング施策成功のために欠かせないデータクレンジングの手順
参考ページ:シャノンマーケティングプラットフォームのデータクレンジング機能
仮説を立てる
シナリオを設計するためには、仮説が必要です。
たとえば、「メールAを開封しなかった見込み客の一部は、別の内容のメールBには関心を示してアクションを起こす」のように、過去の実績や課題をもとに仮説を立てます。
コンテンツを用意する
シナリオ作成と同時に準備すべき要素がコンテンツです
。Webページ、送信するメール、動画など、顧客にとって魅力があり、購買を促すコンテンツを作成することが重要です。
※コンテンツを増やす工夫については「コンテンツマーケティングとは?進め方、事例、コンテンツを増やすコツまでをご紹介」 の記事で事例を紹介しています。
シナリオの作成手順
シナリオの基本の作成手順を、シンプルな例を挙げて紹介します。
以下は、あるキャンペーンに申し込んだ人への施策シナリオです。
まず、トリガーとして「キャンペーン名」「申込」を設定します。
次に、アクションを設定します。ここではまず、顧客リストの項目「DM許可」の値を「希望する」に更新します。
さらに、アクションの2つめとして、「メール送信」を設定します。具体的に何を送信するか、メールのタイトルを選択します。
以上がサンクスメールを自動送信するシナリオの一例となります。
施策の検証と改善
MAでは施策の成果も測定されます。設定したシナリオが仮説通りの成果を上げているかを検証し、結果が出ていない場合は仮説やシナリオを改善します。
シナリオの検証と改善がしやすいよう、最初はシンプルなシナリオ設定から始めることがおすすめです。
シャノンのシナリオ機能事例を一挙紹介!
ここから、シャノンで実践しているシナリオの実例からいくつかをご紹介していきます。
文中で「興味・関心フェーズ」「比較・検討フェーズ」という言葉が出てきますが、それは以下の「購買ピラミッド」に示されるリードの購買フェーズ分類のことです。獲得したリードのフェーズを引き上げていくことが施策共通の目的です。
展示会後にホットリードを見つけ出すシナリオ
以下は、展示会で名刺交換したリードをフォローするためのシナリオです。
目的は、展示会当日にホットリードに分類した以外のリードから、ホットリードを見つけ出すことです。
明確なホットリードはすでに、営業・インサイドセールスがフォロー済です。その次に架電優先順位の高いリードを見つけ出すためのシナリオです。
上記シナリオは名刺交換直後のサンクスメールから始まり、リードの反応しだいで次のフォロー施策が実行されます。
ホットリードへのアプローチは、展示会の後、できるだけ早く行う必要があります。自動化できるシナリオ機能だからこそ、素早いフォローが可能です。
また、展示会で対応した担当者の印象によりホットリードに分類されなかったが、実際にはホットなリードをシナリオにより見つけ出すことができるので、属人化を防止します。
ホワイトペーパーダウンロード者をフォローするシナリオ
ホワイトペーパーをダウンロードするリードのなかには、購買意欲が高いリードも一定割合います。そんなターゲットに資料請求を促すシナリオが以下です。
ホワイトペーパーに関連する読み物ページへ誘導するメールを送信し、閲覧があった場合となかった場合に分けて、それぞれ違ったアプローチで資料請求へと誘導します。
このシナリオは定常的に実行します。貴重なリード獲得の機会である「ホワイトペーパーのダウンロード」があったとき、タイミングを逃さずにフォローすることで、さらに購買フェーズの引き上げを図るシナリオです。
休眠リードのなかで購買意欲があるリードを見つけるシナリオ
しばらく動きがない休眠リードも、社内の状況が変化して購買フェーズに回帰することがあります。タイミングよくそのようなリードを見つけ出すためのシナリオが以下です。
まず休眠リードを「365日以内にアクションがない」などの条件で抽出し、資料請求誘導メールを送信します。申込があれば購買意欲が高い「比較・検討フェーズ」に登録、現時点では申し込みがないが何らかのリアクションがあった場合は「興味・関心フェーズ」などに登録します。
興味・関心引き上げのために架電するべきリードを見つけるシナリオ
以下は、インサイドセールスが積極的に架電フォローをする対象者を見つけるシナリオのひとつです。
まず「興味・関心フェーズ」に登録されていて、かつ過去1年以内にセミナーなどの対面接点があるリードを絞り込みます。
対象者を製品詳細ページに誘導して「クリック有」、または、「クリック無」だがその後事例ページへの誘導で「クリック有」というリードを架電対象者として通知します。
地域担当者を振り分けるシナリオ
シナリオは、リードの引き上げ以外の目的にも活用できます。
以下は、地域担当フラグを付与するシナリオです。リードの住所、あるいは登録電話番号の市外局番を使った条件に該当する西日本のリードの担当部署を大阪支社にします。
まとめ
本稿のポイントは以下の3点です。
1. MAの機能のひとつであるシナリオ機能は、顧客一人一人に適切なフォローをするOne to Oneマーケティングの実行に役立ちます。シナリオ機能により、マーケティング施策を自動化できます。
2. シナリオ機能を使うメリットは以下です。
- 業務の効率化
- One to Oneマーケティングの実現
- スピーディーに見込み客対応ができる
- 機会損失の削減
- 検証データの蓄積
3. シナリオ機能は、オートメーション要素とシナリオ要素から成ります。シナリオの作成は、「適用開始条件」「トリガー」「フィルタ」などの条件と、アクションを設定して行います。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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