バーチャル展示会の事例やメリット、費用とプラットフォーム10選を紹介

2022年8月、株式会社日本M&Aセンター主催の「真夏のITメタバースセミナー!M&Aを活用したIT企業の勝ちパターン」が開催されました。

「真夏のITメタバースセミナー!M&Aを活用したIT企業の勝ちパターン」で採用された「ZIKU」

このイベントで、シャノンの子会社であるジクウが提供するプラッフォーム「ZIKU」が採用されました。

行動制限がなくなりリアルイベントがかなり復活している一方で、バーチャルな展示会も引き続き開催されています。

バーチャルならではのメリットが出展者・来場者にも認識されるようになったことが一因と考えられます。

今回は、コロナ禍で急拡大したバーチャル展示会の現状と今後について考えます。また、開催する場合の費用やプラットフォーム、展示会事例を紹介します。

バーチャル展示会とは? コロナ禍で拡大したが今後はどうなる?

バーチャル展示会が急速に拡大した近年の経緯と、バーチャル展示会のメリットや今後について述べていきます。

バーチャル展示会とは?

バーチャル展示会とは、広義の場合は 「オンラインで実施される展示会全般」を、狭義の場合は 「3Dの“仮想空間”を会場として用意する展示会」を意味して使われます。

広義の場合、バーチャル展示会はオンライン展示会やウェブ展示会とほぼ同義、狭義の場合はメタバース展示会に近い意味となります。

本記事では、バーチャル展示会を広義の意味で取り扱い、オンライン展示会全般についても言及していきます。

狭義の意味でのバーチャル展示会については、メタバース展示会について解説した以下の記事も参考にしてください。

参考:メタバースの展示会、すでに成果は出ている!?BtoBマーケティングで注目の新手法を解説

一般的には、「仮想空間で実施される展示会」のように理解している人が多いと思います。

英語のVirtualの本来の意味は「事実上の」です。日本では「仮想の」と訳しがちですが、この点に注意して「バーチャル展示会」を訳すと、「リアルではないが、事実上リアルと同じように機能する展示会」となります。

コロナ禍でバーチャル展示会が普及。その経緯は?

2022年3月、コロナ禍により国内の会場で予定されていたすべての展示会は中止または延期となりました。

多くのイベントが中止を余儀なくされましたが、代替案としてのオンライン開催を実施した展示会もいくつかありました。
なかでもIT関連の展示会である「Interop 2020 Tokyo(2020/4/13~6/30)」はいち早く開催された代替イベントです。

2020年7月に入ると感染状況がやや落ち着いたためいくつかのリアルイベントが開催。また、リアルとオンラインを同時に提供する「ハイブリッド開催」も増えました。

2020年末ごろから、「バーチャル展示会」を提供するサービスが次々と発表されました。
2021年にはVR、ARなどを駆使する「メタバース」での展示会も始まっています。

2022年以降、コロナ禍はまた続いていますが行動制限は緩和され、リアルな展示会が開催されています。しかし開催にあたっては、入場時の体温チェック、マスク着用、アクリル板設置など、ガイドライン順守が徹底されています。(2022年8月時点)

また、国内での行動はかなり自由になってきたものの、国際的な交流はまだ本格化していません。海外との取引を拡大したい企業にとっては、今もバーチャル展示会が重要なチャネルとなっています。

バーチャル展示会のメリット・デメリット

バーチャル展示会のメリットは以下です。

リアル展示会よりも低コストで実施できる
会場やブース設営の経費がかからず低コストで実施ができます。
バーチャル展示会でもオンライン設備やコンテンツ制作などに費用がかかりますが、リアルよりは定額です。
また、バーチャルでは一度制作した仮想空間は次の展示会にも活用ができ、回を重ねればさらにコストを抑えられます。

スケジュールや規模の自由度が高くなる
企業が展示会を検討するとき、募集可能なリアル展示会で使用可能なスペースが希望に合わず、かといって自社単独で開催するにはコストがかかりすぎるといった問題が生じることもあります。
バーチャル展示会なら開催側、出展側どちらも自由度が高く、多様な条件を満たす展示会を開催することが可能です。

新たな顧客層を開拓できる
物理的に展示会会場に行くことが難しかった顧客もバーチャル展示会であれば参加ができます。
また、営業時間を延長することでも新たな顧客層を開拓できる可能性があります。

海外など遠隔地とのコミュニケーションが容易
リアル展示会では今も海外からの来場者を呼び込めていません。
特に海外との取引がある、または今後取引したい企業はバーチャル展示会に期待を寄せています。

来場者のデータが正確に残り、アフターフォローもしやすい
展示会終了後に出展者が実感するメリットとして、来場者の詳細なデータが残っているという点があります。
リアルな展示会ではどうしても、来場者に資料を渡しただけでフォローしきれず終わってしまった、といった事態が発生しますが、バーチャル展示会なら見込み客に対してモレなくフォローができます。

一方、デメリットとして以下があげられます。

始めるときはリソースに負担がかかる
リアルな展示会であれば1年前の資料をもとに準備を進めることができますが、初めてバーチャル展示会を実施するときは初めてのことが多く、準備をするスタッフにとっては負担があり、機材の用意などで初期コストもかかります。

開催者、出展者、来場者ともに経験に乏しく、一体感が生まれづらい
開催側、参加側ともバーチャル展示会の経験値が不足していて、必要な情報を取得することができても、それ以上のコミュニケーションがとりづらかったり、展示会ならではの臨場感や一体感が生まれづらかったりします。
ただこの点は、経験を重ねることで改善されていくと期待ができます。

食べ物、匂い、触感などは伝わらない
バーチャルな展示会で、飲食物の味や匂いを体験することやプロダクトの手触りや重さを伝えることなどは、今の技術では困難です。

展示会場から得られる情報量や体験はリアルに劣る
リアルな展示会では自分の担当領域以外からも情報が入ります。
たとえば「小さな会社のブースで実施されたワークショップが盛況だったようだ」「前に他の展示会場で言葉を交わした人と、偶然また会った」など。一方バーチャルでは、現実に近づけた3D空間であっても、リアルな空間並みの情報量は得られません。

今はバーチャル展示会を体験してみて、リアルな展示会のよさに回帰している人が多いことも事実です。

今後はリアルとバーチャル、両方のメリットを理解したうえで両方を使い分けていくこと、そして何らかの制限が加えられたときにはリアルからバーチャルへスピーディーにスイッチできるよう準備していくことが求められます。

バーチャル展示会は新たなマーケティング施策として定着の見込み

バーチャル展示会の大きなメリットのひとつが、「時間や場所の制約を受けない」ということです。バーチャル展示会のコンテンツを内製したうえで、常設または長期開催とした企業もあるようです。

ヤンマー
ヤンマーアグリジャパンの展示会場
ヤンマーアグリジャパンの展示会場です。農機具の購入者はリアル展示会に参加しづらい場合もあると思われ、ユーザーにとって利用しやすいサイトといえそうです。

brother
ブラザーのプリンタの展示会場
ブラザーのプリンタの展示会場です。あえてリアルな展示会のようなにぎやかなデザインにしているようです。

Honda
リアルなモーターショーと合わせて活用できるサイト
リアルなモーターショーと合わせて活用できるサイトとなっています。

リクシル
展示会場のなかに各商品を展示した空間
展示会場のなかに各商品を展示した空間です。

パナソニック
パナソニックのバーチャル展示会場
かなり規模が大きいバーチャル展示会場となっています。

上記以外にも、常設ではないが定期的に実施されているバーチャル展示会が多数あるようです。
このようなWebサイトにより、ユーザーは自分の都合のいいときに商品情報を得られます。

常設にすれば「バーチャルショールーム」と呼ばれますが、これらは企業のマーケティング施策のひとつとなっていくかもしれません。
Hondaの例のように、リアルな展示会場と連動させた活用も広がりそうです。

バーチャル展示会を実施する方法と費用

バーチャル展示会を実施する方法や費用について解説します。

バーチャル展示会を単独で制作するか、展示会に参加するか

バーチャル展示会を開催する方法はリアルと同様に、自社単独開催か、展示会への出展かの2通りあります。

まずコストが抑えられる他者主催の展示会への出展を行い、その後自社だけの展示会を検討することがスムーズといえます。

自社単独で展示会を制作すると、初期費用をかけた後は、上で紹介したように常設のショールームとしたり、頻繁に展示会を開催したりといった運用ができることがメリットです。

自社単独の展示会を準備する場合、内製か外注かという選択肢があります。
技術を持っていれば完全に内製できますが、多くの企業は専門会社に制作を依頼します。

この場合、継続して使用する場合には保守料がかかることが一般的です。また、外部サービスを利用すればスピーディーに展示会が実施できることもメリットです。

バーチャル展示会のための費用

バーチャル展示会にはシンプルなオンライン会議に近いイベントから最新の3D空間で実施されるものまで幅広いため、費用にも幅があります。

個別条件によっても変わりますが、大まかな費用感を以下にまとめています。

バーチャル展示会の費用例
自社単独で開催 シンプルなオンライン展示会 0円~50万円
3Dの展示会 10万円~規模に応じて金額決定
費用例:1000人以下で100万円
展示会への出展 2Dの展示会 0円~
3Dの展示会 10万円~
規模が大きく国際的な展示会では費用が高い傾向
費用例:大規模展示会への出展で100万円

 

料金のしくみには各社違いがあるので注意が必要です。制作には開催費用、コンテンツ制作費用などが必要で、外部サービスを利用する場合には初期登録料、月額管理料などが発生する場合もあります。

活用可能なプラットフォーム10選

バーチャル展示会を委託開催できるプラットフォームとして以下があります。

ZIKU
シャノンのリアルイベント実績が豊富なシャノンのグループ会社が提供するバーチャル展示会サービスなのでハイブリッド開催やリードの管理にも安心感があります。3D対応。
費用例:1000人未満:65万円

そのまま展示会
SoVeCはソニーグループの100%子会社。クオリティの高い3DCG空間を提供しています。
費用例:パッケージで198万円~

meet × meet(ミーツ)
出展担当者をアイコンで表示する点が特徴です。
費用例:基本使用料50万円、月間使用料10万円

DMMオンライン展示会
複数の展示会を提供していて、出展希望者が申し込む形です。無料で出展できるプランもあります。
費用例:無料~

EventHub
国際会議などリアルイベント実績が豊富です。
費用例:問い合わせ

エアメッセ
リーズナブルな価格で常設展示のバーチャル展示会を提供しています。
費用例:初期費用55000円~、システム利用料月額5800円

ネクシビ
オフラインとバーチャルで展示会を提供。2Dと3Dからプランを選べます。
費用例:ネクシビSTANDARD150万円

WebEXPO Master
2Dですがリーズナブルに利用できるサービスです。無料体験もあります。
費用例:月額2万円~(初期費用別途)

EventIn
テレワーク支援などを実施するV-CUBEが提供する展示会サービス。
費用例:問い合わせ

V-MESSE
凸版印刷が運営するサービスです。
費用例:問い合わせ

バーチャル展示会の実施例

バーチャル展示会の多様な形を事例でご紹介します。

注目のバーチャル展示会の事例

バーチャル展示会の事例をご紹介します。

バーチャルマーケット2022SUMMER(2022年8月)
株式会社HIKKYが提供する世界最大級のメタバースイベントの第8回。
今回の舞台は「パラリアル大阪」「パラリアルニューヨーク」で、JR西日本、みずほ銀行などが初出展し、多様なショップとイベントが展開されました。

東京ゲームショウ (2022年9月)
幕張メッセのリアル会場は3年ぶりで、バーチャル会場とのハイブリッド開催。
公式サイトが公開された7月時点で国内外465社の出展が決定していて、参加者も世界中から来場します。
ハイブリッド開催のイベントとして最大級の規模で注目が集まっています。

ITエンジニアのためのdoda転職フェア オンライン(2022年8月)
採用はオンラインイベントが成果を上げている分野のひとつです。
オンラインイベントなら遠隔地からでも、仕事を休まなくても参加が可能で、企業と転職希望者どちらにもメリットがあります。

海外のオンライン開催イベントの情報(JETRO)(随時)
JETRO公式サイトではリアルと同時にオンラインでも開催される見本市・展示会の情報を公開しています。
海外と取引したい企業にとっては、オンライン展示会が重要なチャネルとして活用されています。

シャノンが提供する「ZIKU」のバーチャル展示会事例

以下は、ZIKUが採用されたバーチャルイベントの事例です。

MAKESHOP DAY!!! in FUKUOKA
ECサイト構築を支援するSaaSであるMakeShop byGMO( https://www.makeshop.jp/ )を提供するGMOメイクショップ株式会社は、顧客や販売パートナーなどを対象とした情報共有のためのイベントを年1回開催してきました。

今回は福岡支社移転5周年イベントで特別感を演出するため、福岡会場とメタバース会場のハイブリッドで全国から参加できる形式で実施しました。

GMOメイクショップ株式会社さまでの事例

複数のプラットフォームを検討してZIKUに決めた理由は「メタバースイベントを手軽に開催でき、コスト的にもリーズナブルだったから」とのことです。

メタバースイベントということで参加者からの期待も大きかったですが、主催者自らがコンテンツの準備に力を入れたことも奏功し、新たな体験を提供できました。

事例についてくわしくは以下を参照してください。

参考:自社イベントをメタバース化することで、新たな体験を提供

まとめ

本稿のポイントは以下の4点です。

1. バーチャルな展示会はコロナ禍で普及拡大しましたが、アフターコロナでも海外向けなどで継続されていくとみられます。

2. バーチャル展示会を自社で実施した場合、その後常設のショールームとしても活用できます。

3. バーチャル展示会を実施する費用には幅があります。まず自社の設備で可能なオンラインイベントや、他社が主催する展示会への出展から始めるのがスムーズです。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。


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