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2016年6月に正式ローンチしてから、1年半が経つ「LINE Ads Platform」。広告業界でも短期間にこれだけ急成長した単一の広告配信プロダクトは記憶に無く、マーケターとしても無視できない存在になっています。

「LINE Ads Platform」はどんなサービスで、どんなことができるのかLINE Ads Platform セールス・コンサルティング室 室長の池端由基氏にお話を伺いしました。

高い効果を発揮するインフィード広告を、新たな顧客層に届ける

ーー 「LINE Ads Platform」とはどんなことが出来るサービスですか。

「LINE Ads Platform」は、「LINE」と「LINE」関連サービスへ運用型広告を配信できるアドネットワークのことです。「LINE」のタイムラインと「LINEニュース」への広告表示からはじまり、、最近では「LINEマンガ」や「LINE BLOG」にも広告が配信されるようになり、サービスを拡大しています。

LINEでは個人情報を保有していないため「LINE Ads Platform」でのターゲティングは「LINE」内での⾏動履歴を元に分類した”みなし属性”(※1)となります。具体的にはスタンプ購⼊履歴、「LINE公式アカウント」や「LINE@」の友だち登録履歴などの情報から推定しています。

ーー なぜインフィード広告を主軸とするアドネットワーク事業に取り組むのですか?

これまで、インターネット広告によるアプローチは東名阪や首都圏住まいの方や、ビジネスパーソンなどに片寄っていました。それ以外のユーザーへのアプローチはテレビや新聞やチラシなどに頼らざるを得ませんでした。

特にインフィード広告については、本来高い効果を発揮する枠であるのにも関わらず、インターネットメディアに触れる機会のある層にしか届けられなかったのが事実です。カバー仕切れていない範囲が広いぶん、顧客にアプローチする機会を損失していたのです。

「LINE」の場合は友人・家族間のコミュニケーションツールとして広くご利用いただいており、その中にはこれまで接触することが出来なかった新しい顧客層が含まれています。

実際、広告掲載後にクライアントのHPを訪れたユーザーのうち、新規閲覧ユーザー数が全体の80%を超えていたとというケースも多いです。

ーー これまでアプローチできなかった層とは、具体的にはどのような方々でしょうか。

地方にお住まいの若年層や、比較的インターネットリテラシーが低めの方々です。

「LINE Ads Platform」の場合、「LINE」には7100万人以上の月間アクティブユーザーがいて、そのうち84%は毎日アクセスしてくれています。これだけのユーザーを保有するプラットフォームは他にありません。その数にアクセスできるということが従来のアドネットワークと比べて明らかに違う点ではないでしょうか。

ユーザー基盤を活かしてリーチを最大化する

ーー 今後アドネットワークを活用するなら、どのような情報を軸にターゲティングしていくべきでしょうか?

個人的な考えも含まれてしまうかもしれませんが、直近にどのような行動をしたかが重要になってくると思います。3年前にサービス利用登録をした場合の初期のファーストパーティー情報よりも、みなしの累計・推測をしてターゲティングをしていくことの方が価値が高いのではないでしょうか。

LINEは住所、年齢、趣味趣向、学歴などのファーストパーティー情報をユーザーに求めていないので、個人情報を持っていません。一方で、ユーザーがプラットフォームの中で「その日」や「1週間前」、「1ヶ月前」にどのような公式アカウントをフォローしてどんなスタンプを買っているかなど、の情報を有しています。リアルな関心事を把握できているのです。

ターゲティングの精度もこの1年半で改善されています。場合によっては、一般的なID情報のターゲティングよりも、我々の方が精度が高いものが出てくるケースもあります。。

ただ、まだ100%ではないので、常に勉強してチューニングして改善していき、足りないところは外部の会社とパートナーシップを組む、というのをやり続ける必要はあります。

ーー 「LINE Ads Platform」でも、他のSNS同様類似オーディエンスを割り出せるのですか?

「LOOK A LIKE」という類似拡張配信をする仕組みを取り入れています。これは、志向や行動履歴が似ている人に向けて広告を出せるもので、いろんなプラットフォームに活用できます。これはユーザー規模が大きくてアクティブ率が高いからこそできることで、他社と比較しても差別化しやすいポイントですね。

ーー ターゲティングの方法はみなしの累計・推測の方法だけなのですか?

もちろん、アクセス時に取れるようなOS情報などのファクト情報に関しては確実な情報として保有をしているので、100%推測というわけでは無いです。他にも年齢は5歳刻みの年齢であればわかっていますし、性別、居住地などのオーディエンス情報には自信があります。ただ、「好きな映画」などの細かな趣向になるとまだまだ改善していく余地はありますね。

ーー 広告掲載可否基準のNG業種・商材は一見すると広告出稿をよく見かける業種のように思えますがその意図を教えてください。

審査基準を下げれば簡単に売上は作れます。しかし、「LINE」の本来的な使い方であり一番の価値は「身近な人との会話やコミュニケーションを作る」というところです。我々のミッションである「CLOSING THE DISTANCE」で一番大事なのは「人に近づける」ということなんです。ユーザーを保ち続けるということを大切にしながら、ユーザーが購入などのアクションをしようと思えるような土台や風潮、世界観のようなものが作られた上で、広告を「LINE」というプラットフォームの中で少しずつ丁寧に開放していくべきだと思ってるんですね。

在るべき論を言えば、10人中1人が「なんかイヤ」とか「なんか損したな」と思うことがあるのであれば、僕らはユーザーの気持ちを守るというスタンスを持ちながらビジネスの拡大を考えるべきだと思っています。広告の可否に関しては非常に慎重にやっていますし、広告内の表現ひとつとっても「言っていい表現」「言っちゃいけない表現」はもちろんのこと「法律で決まっている表現」などを広告出稿をした企業のせいにせず、しっかり守りましょうということを考えながらやっています。

少しずつ緩和もしているんですよ。スタートして3ヶ月後ぐらいにユーザーが広告に反応して買ってくれているという結果をもとに、サプリメントや健康食品もOKにしてみました。ユーザーの反応を見て、企業様とも相談しながら段階を追って開放しています。

検討期間の短い商材を中心に効果を発揮。今後はブランド広告に注力。

ーー 「LINE Ads Platform」の活用事例について教えてください。

広告を出稿される業種はコスメ:16%、ゲーム:15%、金融系:10%、健康食品:10%、キャリアビジネス:10%弱など幅広くなってきています。

コスメジャンルを例にあげると、インタレストにはこだわらず「20代から40代までの女性」であれば「とりあえずそのセグメントで配信をしてみましょう」とするんです。もちろん最低限の年齢や性別は考慮しますが。

CPC課金モデルの場合クリックされなければお金は発生しませんので「20代から40代までの女性」に広く広告出してもクリックされなければ無駄なお金にってしまいます。けれど、その中にクリックしてコンバージョンするユーザーが出てきますよね。

そこで、先ほどお伝えした「LOOK A LIKE」でコンバージョンしたユーザーに似ている人だけに配信をします。「LINE」の膨大なユーザーの中から、その企業広告に反応してくれたユーザーと似ているユーザーを見つけて再配信やリターゲティングできるのはコスメジャンルで非常にうまく活用されたケースですね。

ゲームジャンルも特徴的です。発売前に事前登録させることが増えている市場ですので、例えばローンチ前の事前登録期間には「FirstView」や「リーチ&フリークエンシー」でリーチを取れる商品を絡めて告知をします。ローンチ後のインストール時にはTVCMやゲームクリエイティブを使って、事前登録期間に反応したユーザーにリターゲティングしたり「LOOK A LIKE」を利用してインストールを訴求したり、その後は「LINE」のメッセージで告知を送るという流れが、うまくいってるケースとして代表的には言われていますね。

ーー 例えばコスメジャンルの場合、どれぐらいの期間でPDCAを回しているのですか。

コスメジャンルではユーザーの検討期間が短いと思うのでだいたい2週間から1ヶ月ぐらいのスパンを見て、どういうモデルが一番合うのかっていうのを検討していただいてます。

ただ、開始から1ヶ月までの間での変更はものすごく多いんですよ。反応の良かったクリエイティブを比較検討し、週に10本以上クリエイティブを変えていたり、ABテストみたいなことをしながらPDCAを回しています。

「LINE」のプラットフォームのアクティブ率が高いがゆえに、他のプラットフォームに比べてPDCAを回す頻度は高い方かもしれないです。

ーー その場合、だいたいどれぐらいの出稿額でやられる企業様が多いですか?

平均的には100万から200万円ぐらいだと思います。ただ多い時には月で数千万円後半の場合もありますし、月額数十万円単位というところもあるので、一概に言うのが難しいです。

ーー どういったKPIを設定する企業が多いのですか?

コスメジャンルに関しては完全にCPAですね。場合によっては定期購入に移行したユーザーがどれぐらいいたかを見られることも多いんですけど、今時点で我々がサポートできるところは、まずはいかに最初の購入をしていただくかです。

ほとんどの場合目標は達成していて、できていない場合でも100%に近いものがほとんどです。

ゲームジャンルのKPIはインストール単価(CPI)です。最近では500万人にインストールさせることよりも、毎月1万円使っているユーザーを1万人にしたほうがいいというリエンゲージメント、リテンションマーケティングと言われる発想もあって、ゲームマーケッターは少しずつそういう考え方に移行していますね。

ーー 「LINE Ads Platform」を導入しても、成功しづらい商材はありますか?

逆にKPIを達成できなかった商材は検討期間の長い商材です。高単価な商材というのは我々のプラットフォームとしてはもう少し努力が必要で、例えば旅行や不動産、自動車の購入など。

一方可能性を感じてるのはクレジットカード。「ゴールドカードの訴求で年会費○万円です」でもCPAは100%以上になることがあるんですよ。数万円の単価を払うユーザーが「LINE」の中にも多数いるという事実がわかったので、コミュニケーションのスタイルを変えることで改善させられる領域ではありそうなんですね。このあたりも我々のプロダクトも来年度に向けてアップロードしていこうと考えております。

ーー 今後の「LINE Ads Platform」の展望を教えてください。

今、注力しているのはブランド広告です。従来はテレビCMなどが出稿媒体の中心でしたが、最近では「LINEはすごく使ってるけどTVは観ないよ」っていう人たちが一定数出てきているという事実も感じています。もっと効率よくブランド認知や好意度を上げたりできる広告プラットフォームとしても「LINE Ads Platform」が使われるような世界を作りたいと思っているんです。

今、ブランド広告主向けに「FirstView」と「リーチ&フリークエンシー」という商品を出しています。簡単に説明するとどちらも「ターゲットに対して最大のリーチをしましょう」というものです。

例えば30代女性に3~4日間で数百万人にリーチしたいといっても、短期間にそれほどの数のアクティブなユーザーを保有しているプラットフォームはなかなかありません。これらもユーザー基盤の大きさを活かしてリーチを最大化できますので、他社との差別化がしやすい広告商品だと思います。

大前提としては、「LINE」がツールとして皆様に使ってもらえるようになったように、マーケティング広告プラットフォームとして広告を必要としているみなさんに当たり前のように使って頂けるようなプラットフォームにしたいと考えています。出稿費用もさまざまですし、全国の大中小どんな業種どんな業態の方にも「LINE Ads Platform」を使って新しいお客さんとの接点を作っていただけるように広げていきたいと考えています。

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年明けには大阪にもオフィスを構えて展開していく「LINE Ads Platform」は幅広いエリアや地方企業にも使っていただきたい意志の表れだと語る池端氏。

地域や価格での広告への垣根が取り払われていき、高い広告費を用意しなくても影響力のあるプラットフォームが存在することはユーザーにとってもマーケターにとってもメリットを与えてくれるのは間違いありません。

どの媒体にどのように広告を出稿しようか、どう新規ユーザーにリーチさせようかを日々悩んでいるマーケターの方は「LINE Ads Platform」の利用を検討みてはいかがでしょうか。

※1:*「LINE」上で使用したスタンプ、利用しているアプリ、興味のあるコンテンツのほか、どのような公式アカウントやLINE@アカウントをフォローしているかといった傾向をもとに分析(電話番号、メールアドレス、アドレス帳、トーク等の機微情報は含みません)したもの。属性情報の推定は統計的に実施され、特定の個人の識別は行っておりません。また特定の個人を識別可能な情報の第三者(広告主等)の提供は実施いたしておりません。
※「LINE Ads Platform」について:https://lap.linemk.com/

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