ダイレクトメール(DM)とは?企業が送る際の手順、効果を高める方法や事例を紹介

メルマガ、Web広告、SNS運用など、現代はデジタルマーケティング施策が浸透しています。
しかし顧客一人がうけとる情報量は増すばかりで、差別化できる施策が必要だと考えるマーケティング担当者もいるでしょう。

そこで注目を集めているのが、ダイレクトメール(DM)です。
アナログなマーケティング手法であるダイレクトメールを、デジタル施策と組み合わせることにより、さまざまな成果を上げることができます。

今回は、DMの定義やメリット・デメリット、DM施策の種類と費用、手順や成果を上げるポイントなどを解説。シャノンで成果を上げたDM施策についても紹介します。

ダイレクトメール(DM)とは?なぜ今注目されているのか

以下は、シャノンが過去に送付した「導入事例」DMです。このダイレクトメール施策により、見込み客からのアポイントを一定数獲得しています。

ダイレクトメールの実例

デジタルツールを活用したマーケティングが主流となっている中で、ダイレクトメール(DM)が注目を集めています。なぜ今重視されているのかを理解しましょう。

ダイレクトメールの定義と、ダイレクトメッセージやメルマガとの違い

ダイレクトメール(DM)とは、企業や店が特定の相手に送付する広告のことです。
具体的には、ハガキ、封書のほか、カタログなどを送る大型郵便物もあります。

DMとは、一般的には郵送される広告物のことをいいますが、広義では郵便のほかに電子メール(メルマガ)やFAXを含めてダイレクトメールと呼ぶこともあるようです。

アナログなダイレクトメールと対照的なデジタル施策が、メールマガジンです。メルマガはコストが低く即時性もありますが、大量のメールのなかに埋没して読まれない可能性があることがデメリットです。これに対して、ダイレクトメールは企業や個人に直接届けられるため、読まれる可能性が高いとされています。

また、ダイレクトメールと似た用語にダイレクトメッセージがあります。略語では同じDMで表されますが、ダイレクトメッセージはデジタル領域の言葉で、SNSで直接メッセージを送る手段のことをいいます。

ダイレクトメールが注目される理由

DXが推進される中で、アナログな手法のダイレクトメールが再び脚光を浴びています。その理由は、デジタルマーケティングが陥りやすい罠にあります。

デジタルマーケティングはPVや開封率といった顧客の行動がデータ化されるため、施策の効果を測りやすいことがメリットです。一方で、マーケティングのゴールである「資料請求」「問い合わせ」といった目先の数値のみに着目してしまい、マーケティングの成果が会社の売上につながらないことがあります。

シャノンでも2015年ごろから、アナログ施策を切り捨ててデジタル広告やSEOを強化していました。それにより、資料請求の件数が1年で248%、2年後には324%まで増加しました。しかし、会社の業績は資料請求の件数と連動せず、思うように伸びなかったのです。

デジタル施策だけではダメな理由

その原因は、資料請求した顧客を興味関心フェーズから引き上げるためのアプローチが、デジタル施策だけでは不十分だったことです。この反省を活かして、現在はデジタル施策にダイレクトメールなどのアナログの施策を組み合わせた「デジアナマーケティング」を実施しています。

関連記事:刈り取り広告を2年間続けて気づいた、デジタルマーケティングの落とし穴

ダイレクトメールのメリット・デメリット

DMのメリットとデメリットを整理します。

ダイレクトメールのメリット

ダイレクトメールの主なメリットとして、以下があります。

サイズやデザインの自由度が高く、差別化しやすい
定形ハガキサイズから大型郵便までさまざまなサイズから選ぶことができ、デザインの自由度も高いです。「高級感のある封書」「香り」など、五感に訴えられるのもデジタルにはない魅力です。商品のサンプルやプレゼントを同封することも可能。これらの特徴により、他の広告と差別化しやすいことがメリットです。

BtoBのDMは数が少なく、特別感がある
企業の担当者に送られるダイレクトメールは数が少なく、そのため希少性があります。特に若年層は、本人宛のダイレクトメールを受け取ると「ビジネスパーソンとして認められた」という特別感を感じることもあるようで、開封され、読まれる確率が高いです。

メルマガより開封率が高い
一般社団法人日本ダイレクトメール協会の調査によると、自分宛のDMの開封率は79.5%という高い数値です。一般的に開封率10〜20%とされているBtoBのメルマガより高い開封率が、DM施策の魅力です。

ダイレクトメールのデメリット

ダイレクトメールのデメリットとして、以下が挙げられます。

コストが高い
ダイレクトメールには郵送料金がかかり、メルマガよりはるかに高コストです。ダイレクトメール施策は、リストの名前や住所を最新情報に更新したうえで、コストをかけても成果を上げられる見込みがある顧客に絞り込んで実施することが大事です。

タイムラグがある
相手に情報が届くまでに一定の時間がかかります。また、企業宛のダイレクトメールの場合は担当者が出社していない場合、さらに手もとに届くタイミングが遅れてしまう可能性があります。すぐに届けたい内容の場合は、電話やメールなどの手段と組み合わせる必要があります。

効果測定に工夫が必要
ダイレクトメールは、デジタルマーケティングのように開封率やクリック数などのデータを正確に集計することができません。効果測定のために、郵送物にQRコードを掲載したり、メールや電話でフォローしたりといった工夫が必要です。

ダイレクトメール施策の具体的な進め方

ダイレクトメールの種類、費用や外注の選択肢について解説します。

ダイレクトメールの種類

ダイレクトメールにはさまざまなサイズ、形式があります。以下はその一例です。

ハガキ(ポストカード)
定形のハガキサイズのダイレクトメールは、他サイズのDMと比較し低コストで実施できます。掲載できる情報量は少ないですが、相手にとってはサイズが小さく他のはがきと一緒に保管しやすいというメリットがあるので、重要な情報に絞って届けるときに便利です。

圧着ハガキ
二つ折り、三つ折りなどのハガキです。通常のハガキと同じ送料で、多くの情報量を届けることが可能です。商品の紹介、イベントの案内など幅広い用途に利用できます。

A4サイズハガキ
大型のA4サイズハガキです。表と裏を合わせると多くの情報を掲載でき、A4サイズなので写真などを使った見栄えのするビジュアルデザインも可能。他の郵便物より目立つというメリットもあります。

OPP封筒
透明な封筒に宛名ラベルを貼った封書です。中身がよく見えるので、受け取った相手には内容がすぐに伝わります。ハガキ、A4、A5など各種のサイズがあります。

定形外郵便
ハート形、動物の形、食べ物の形など、「長方形」以外の郵便が定形外郵便です。工夫次第で顧客の印象に残るダイレクトメールを送ることが可能です。

メール便
カタログやその他の販促物などを送付できます。

ダイレクトメールの費用

ダイレクトメールを送る場合、送料と郵送物の制作費がかかります。

ダイレクトメールの送料
郵便料金については、2024年10月1日から値上げされます。
はがきや定形郵便物のほか、レターパックやスマートレターなども価格改定があります。

現行(2024/9/30まで) 2024/10/1以降
はがき 63円 85円
定形郵便物 84円(25gまで)
94円(50gまで)
110円

郵送するダイレクトメールについても、上記の料金が適用されます。
ただし通数が多い「広告郵便物」については、割引の規定があります。最新情報は郵便局の公式Webサイトで確認してください。

メール便については郵便局以外の民間業者も利用ができます。利用する際は、「ヤマト運輸」「佐川急便」などの公式サイトで最新情報を確認してください。

ダイレクトメールの制作費
デザインを外部の会社に依頼する場合、片面1万円~数万円程度です。
印刷費は部数が多いほど1部あたりの金額が安くなります。依頼する会社によって差がありますが、1000部で5000円程度~です。

つまりダイレクトメール施策のコストは、その大部分を送料が占めています。

ダイレクトメール施策を実施する方法

ダイレクトメール施策を行う選択肢として、以下があります。

自社ですべて行う
デザイン、印刷、封入作業、送付手配などをすべて自社で行う場合、最もコストを抑えられますが、一定の手間と時間がかかります。

一部を制作会社に依頼
DM制作の一部を制作会社に依頼することもあります。DMだけでなく、チラシや製品カタログなど他の印刷物もまとめて制作を依頼するような場合があります。

DM発送代行サービス
DMの制作・発送を専門に行う会社に依頼する方法もあります。印刷データを送信するオンデマンドサービスでは低コストでダイレクトメール施策を実現できます。デザインについてテンプレートを用意している業者もあります。

ダイレクトメール施策の手順

ダイレクトメール施策を実施する手順は、以下の通りです。

1. ダイレクトメール施策の目的とターゲットを決める
ダイレクトメール施策の目的を決めます。BtoBでは「展示会の集客」「顧客の興味関心の引き上げ」「休眠顧客の掘り起こし」などがあります。

2. 目的に合う送付先を選び、リストを整備する
自社のリストの中で、施策の目的に合う送付先を選びます。確実に届くよう、送付先リストは名前、役職、送付先に間違いはないか、最新情報かをチェックします。このほかに、外部からリストを入手することもあります。

MAを使えば、自社に登録されているリードを条件で検索し抽出することが可能です。

3. ダイレクトメールのコンテンツを作成する
施策に適したコンテンツを作成します。Webサイトや広告と統一感のあるデザイン、文言で作成しましょう。例えば、目的が「休眠顧客の掘り起こし」、ターゲットが「製造業」なのであれば、「製造業の活用事例をDMで配信する」といったコンテンツが考えられます。

4. 送付先、内容をチェックして送付する
送付前には再度、ダイレクトメールの内容や送付先に間違いがないかチェックした上で、適切なタイミングで送付します。

5. 電話やメールによりフォローする
ダイレクトメールが届いたころに相手先に架電して、受取確認や顧客ヒアリングを行います。ダイレクトメール送付後の架電は通常よりよい反応が得られます。この点を実証する数値については、後述する事例で紹介します。

6. 成果を検証し、改善する
ダイレクトメール施策の成果を検証し、その後の施策ではさらに改善を加えていきます。

ダイレクトメールの効果を高めるポイントを、シャノンの事例をもとに解説

ダイレクトメールの効果を高めるポイントを、シャノンの事例と実績の数字を示しながら紹介します。

顧客の興味関心を引くコンテンツを提供する

ダイレクトメールには、顧客が次のアクションを起こしやすい内容を盛り込むと効果的です。

おすすめしたいコンテンツのひとつが、セミナーやイベントの案内です。以下はシャノンのイベントを案内するダイレクトメールです。

DMの実例

日時が決まっているイベントの情報をタイムリーに知らせると同時に「ぜひ、行くべき」と思わせるのに、特別感のあるダイレクトメールが効果的です。

インサイドセールスが電話フォローする

「ダイレクトメールを送付するだけ」で反応を待つのではなく、電話やメールなどによるフォローを組み合わせることで、効果を高められます。

以下は、ダイレクトメールを送付した後に、インサイドセールスが架電したときのアポイント率です。

アポ率

一般的に電話のみで案内したときのアポイント率は1~3%といわれていますが、ダイレクトメール施策と組み合わせることでアポイント率12%を達成。高水準の成果を得られたといえます。

さらに、ダイレクトメールの送付後に電話に出た人の中で、ネガティブな反応を示した人はたった4%でした。多くの人が電話でのフォローを肯定的に受け取ってもらえるため、より良い顧客体験を作り出すことができています。

ダイレクトメールの送付後に電話に出た人の中で、ネガティブな反応を示した人はたった4%

以上のように、ダイレクトメールの施策段階から、マーケティング部門とインサイドセールス部門が連携して取り組むことがポイントです。このような施策を実施する場合、目標設定もダイレクトメール単体ではなく、メールや電話でのフォローと組み合わせた数値にするといいでしょう。

MAを活用して効率化し、デジタル施策と一元管理

ダイレクトメール施策は、作成業務を含めて、MA(マーケティング・オートメーション)によって効率化できます。MAにより、デジタルとアナログの一元管理が可能です。

シャノンのMAは、デジアナの一元管理機能に加えて「DM配信機能」を搭載しています。

配信できるDMについて

くわしくは、「シャノンのDM配信機能とは?」をご覧ください。

ダイレクトメールは開封率が高いマーケティング手法ですが、高い効果を発揮できるのはこれまで自社と関わりのある顧客を掘り起こすケースです。たとえば、これまでに商品・サービスの購入経験がある顧客や、セミナーへの参加、お役立ち資料の請求をするために会員登録した顧客などが当てはまります。
そのため送付リストには、MAに登録されているリードや顧客情報を活用可能です。

また、ダイレクトメールの内容を考えるにあたって、MAが分析した顧客の属性が参考になります。それにより顧客のニーズに合ったダイレクトメールを送ることができるため、十分な効果を期待できるでしょう。さらに、インサイドセールスとの情報共有もMAでスムーズに行えます。

シャノンでは、見込み客を業種で絞り込み、それぞれに同業種の「シャノン活用事例DM」を送付する施策を実施しました。

DM施策

インサイドセールスと連携して電話やメールでのフォローを行った結果、一定数のアポイントを獲得できました。デザイン費や印刷・郵送費といったコストを踏まえても、高い費用対効果が得られています。

【Q&A】ダイレクトメールでよくある悩み

最後に、ダイレクトメールに関するよくある悩みにお答えします。

Q. ダイレクトメールを試してみたいけれど、制作方法が分からない
A. ダイレクトメールの基本を学びたい方には、一般社団法人 日本ダイレクトメール協会の書籍「新DMの教科書」がおすすめです。ダイレクトメールに関する認定資格である「DMマーケティングエキスパート」の公式テキストで、ダイレクトメールの分析・制作・改善方法を学べます。
また、郵便局「全日本DM大賞」のサイトでは、過去の受賞作、およびデジタルとアナログを組み合わせで成果を上げたさまざまな施策例を知ることができます。

Q. 効果的なデザインにしたいが、社内にノウハウがない
A. デザイン会社にアウトソーシングするのがおすすめです。ダイレクトメールのデザインの相場はハガキの場合1件3~5万円程度です。数件の成果を得られれば十分に費用対効果を満たせるでしょう。

DMの実例
A. 印刷物の内容、設定している目標が、ダイレクトメール施策と適していない可能性があります。今一度ダイレクトメールのコンテンツや発送先を見直して、効果を高められるよう改善を図りましょう。コンテンツの改善には、ABテストが有効です。

参考:ABテストとは?実例で分かる!成果を上げるコツや進め方を解説

まとめ

本稿のポイントは以下です。

1. デジタルマーケティングが浸透するなか、アナログなダイレクトメール施策が注目されています。DM施策はデジタル施策と組み合わせることでより効果が高くなります。

2. ダイレクトメールのメリットとデメリットは以下です。

《ダイレクトメールのメリット》
・サイズやデザインの自由度が高く、差別化しやすい
・BtoBのDMは数が少なく、特別感がある
・メルマガより開封率が高い

《ダイレクトメールのデメリット》
・コストが高い
・タイムラグがある
・効果測定に工夫が必要

3. ダイレクトメール施策の手順は以下の通りです。
1)ダイレクトメール施策の目的とターゲットを決める
2)目的に合う送付先を選び、リストを整備する
3)ダイレクトメールメールのコンテンツを作成する
4)送付先、内容をチェックして送付する
5)電話やメールによりフォローする
6)成果を検証し、改善する

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。


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