1分で終わる簡単なものから時間がかかる設問数の多いものまで、幅広く実施されているアンケート。誰でもアンケートに答えた経験があるでしょう。
そして、仕事などでアンケートを作成して集計した経験を持つ人も少なくないと思います。
単純な方法でありながら貴重なデータが得られ、多くの場面で活用されている「アンケート」は、マーケティングにとっても欠かせない重要な施策です。
今回は、マーケティングにおけるアンケートの役割、活用方法、適切な実施方法などを解説します。
また、シャノンマーケティングプラットフォームのアンケート機能についても後半でご紹介しています。
なお、アンケートの集計と分析については別の記事で解説しています。
参考:アンケート結果を活用するために欠かせない、アンケートの集計と分析の方法
マーケティングにおける「アンケート」の機能とは?
アンケートや市場調査とは何か?を確認した後、マーケティングにおいてアンケートがどのように活用されるのか?についてまとめます。
アンケートとは? 市場調査、インタビューとのちがい
アンケートとは、多くの人に対して同じ質問をして、回答を集計する調査方法です。
企業のマーケティングにおいては、一般ユーザーや顧客に対してアンケートが実施されます。
アンケートは、「Aの商品を買いたいですか?」という質問に対して「はい/いいえ」で回答した数に注目する「定量調査」です。一方、「なぜAの商品を買いたいと思いましたか?」と直接質問して、会話をしながら趣味や嗜好を聞き出すことを「インタビュー」といい、こちらは「定性調査」です。
アンケートやインタビューは企業自らが集めた情報であり、これは「1次データ」と呼ばれます。国や調査会社の統計資料などは「2次データ」、1次データや2次データを加工したものを「3次データ」と呼びます。
市場調査とアンケートの位置づけについて確認しておきます。アンケートやインタビューは「市場調査(マーケットリサーチ)」の一環として行われます。市場調査とは様々な調査とデータ分析により市場を知ることで、その一手法としてアンケートやインタビューがあります。
アンケートの種類と実施方法
アンケートには様々な種類があります。まず、実施方法として以下があります。
Webアンケート
ネット上で回答してその場で送信するアンケートの方法は、回答・回収がしやすく、よく用いられています。
街頭アンケート
繁華街などで歩く人に声掛けしてアンケートを実施する方法です。商品プレゼントなどと合わせて実施されることも多いです。
会場アンケート
特定の会場を用意して回答してもらう方法です。質問数が多く回答に時間がかかるアンケートの場合の方法です。
訪問アンケート
直接自宅や職場を訪ねて、対面でアンケート調査を実施する方法です。回答者にじっくり回答してもらうため、後日改めて回収のために訪問する場合が「訪問留置調査」といいます。
この他に郵送、電話、FAXなどでもアンケートが実施されています。
また、回答者の集め方は調査目的によって違います。新商品開発のための調査などでは繁華街でランダムに人を集めます。マーケティング施策のペルソナを設定する場合なら顧客が対象となります。
アンケート調査の活用方法
冒頭で説明したように、企業が実施するアンケートで得られるのはその企業だけの貴重な「1次データ」です。その情報は、以下のような多くの用途に活用されます。
マーケティング施策の改善
「メルマガが多すぎる」「参加したイベントがよかったので、また実施してほしい」など、アンケートで多かった意見があればマーケティング施策の改善に役立てます。
ペルソナを設定する
企業や特定の商品に固有のペルソナは、アンケートなどの1次データで裏付けることにより、明確化され、多くのマーケティング施策に役立ちます。
顧客満足度を知る
商品を購入してくれた人を対象とするアンケートでは、顧客満足度を知ることができます。
また、「どこからこの商品を知ったか」「なぜこの商品を選んだか」などの質問の回答も重要な情報です。
商品や企業のブランドイメージを知る
認知度やブランドイメージのアップはマーケティングの重要なテーマです。
定期的なアンケートによりイメージアップ施策の成果を測れます。また、外部調査によって客観的に計測することも有効です。
新商品開発に活用する
新商品開発の現場ではアンケートがしばしば実施されます。ネーミングやパッケージ、価格などを決めるうえで重要な指標です。
営業資料として活用する
BtoBビジネスではお問い合わせフォームに簡単なアンケートを用意し、顧客の要望をあらかじめ知ることで営業成果を上げている例があります。
ホワイトペーパー/セミナーやウェビナーのコンテンツ
「他の企業にはどんな課題があるのか?」などを知ることができるアンケート結果は見込み客にとっても魅力あるコンテンツとなるので、ホワイトペーパーやセミナー、ウェビナーのコンテンツになります。
ニュースリリース
広く一般の人にとって興味深いアンケート結果は、価値あるニュースとなります。
ニュースリリースが多くのメディアで注目されれば認知度アップにもなります。
以上のように、アンケートは幅広く約立ちます。しかもあまりコストをかけずに実施できるので、どんどん実施しようと思われた方もいるかもしれません。
しかし、信頼に足る有意な結果を得て各種施策に役立てるためには、手順を守り正しく実施する必要があります。
マーケティングに本当に役立つ、アンケートの実施方法
アンケートを実施するときの適切な手順、注意点について述べていきます。
アンケートの目的と仮説を決める
実施にあたり、まずアンケートの目的を明確にして、仮説を設定します。
仮説はたとえば、
「ウェビナーを45分に設定して実施しているが、35分に短縮した方が利用しやすい人が多いのではないか?」
「月額500円のサブスクリプションサービスのプレミアム版は、月額780円でサービス内容は××を追加するのが適切ではないか」
のように設定します。
このように具体的に設定すると、仮説の数値に近い選択肢を含めてアンケートを実施し、仮説の通りかどうかを検証するといった方針が定まります。
具体的な数値なしに「ウェビナーが長すぎる」「プレミアムプランがあったほうがよい」といった回答を得られたとしても、改善の方針が定まらなくなってしまいます。
実施方法・調査対象・サンプル数の決定
アンケートの目的や仮説が決まったら、実施方法と調査対象、必要なサンプル数を決めます。
実施方法は、Webアンケートや会場アンケートなどのうち実施しやすいものを選びます。
調査対象者は、アンケートの目的に合う属性の人を集める必要があります。上記の仮説でウェビナーについて問う場合は普段ウェビナーの案内を出す顧客や見込み客となりますが、新しいサービスについてのアンケートの場合はどうでしょうか。
新サービスの調査対象は、現在の顧客である「月額500円のサブスクリプションサービスを利用している人」ではないことに、注意が必要です。
現サービスを使用していないが内容が違ったら購入するかもしれないターゲット層」を含めて調査する必要があります。
次にアンケートを実施するサンプル数を決めます。アンケート調査では、サンプル数が少ない、および回答の割合(はい/いいえなど)が50%/50%に近いほど誤差が大きくなります。
以下はサンプルサイズと誤差の早見表です。たとえば横軸のサンプル数が200で縦軸の「はい」の回答が30%だったとき、誤差は±6.4%となります。
表の右寄りの1000人を超えたエリアを見ると、サンプル数を増やしても誤差はさほど変わらないことがわかります。また、厳密にいうと必要なサンプル数はアンケートの集計・分析方法によっても違いがあります。
ただ、ごく大まかな目安として、アンケートではサンプル数を500ほど集めることが基本と認識しておきましょう。
実際にはアンケート対象者の数がもっと少ない場合もあり、十分なサンプルサイズを確保できないこともあるでしょう。しかしサンプルサイズと誤差の関係は知っておきましょう。
アンケートの回収率を左右する、質問項目の作成
アンケートの質問項目の作成では、以下のようなポイントをおさえます。
冒頭に性別、年代などの属性を質問する
アンケートの集計の際には、回答を属性で分析する「クロス集計」がよく行われます。回答者の傾向を深く知りたい場合、属性についての質問はできるだけ簡単にしつつ、ぜひ入れておきたい項目です。
仮説をふまえ、正確に集計できるように項目や選択肢を設定する
回答者にとってわかりやすく答えやすいアンケートを心がけます。選択肢を設置するときは、後で集計するときの計算方法も考えておきます。
質問数を絞り込み、回答しやすさを考えて作成する
質問数と質問の内容を厳選して、できるだけ絞り込みましょう。質問の順序は、答えやすいシンプルな質問から始めて、自然に内容が流れていくようにします。
特定の答えを誘導しないようにする
仮説で「こうではないか」と想定している結果があるとはいえ、誘導してしまったら正確な結果を得られません。質問や選択肢は恣意的な要素を排除してフェアに作成します。
質問がわかりにくかったり長かったりして「アンケートの回答しやすさ」に欠けると、アンケートを最後まで回答することなく離脱してしまう回答者の割合が増えてしまいます。アンケートの回収率が下がると結果の精度も下がるので注意しましょう。
MAのアンケート機能を活用
マーケティング部門では大いに活用したいアンケートですが、実施して回答を回収したものの、その結果を施策に反映するまでに至っていないといった事態も考えられます。アンケートの作成、配布、回収、集計、分析という一連の作業を効率よく実施するために、アンケート機能が搭載されたMAが有効です。
一般のMAにアンケート機能が実装されているとは限りませんが、シャノンマーケティングプラットフォームにはアンケート機能があり、サービス利用者に活用されている機能のひとつとなっています。
シャノンマーケティングプラットフォームのアンケート機能により、アンケート作成から配布、集計までが効率よく簡単に行えます。複数回のアンケート履歴をリードに紐づけて継続的に管理できることも便利です。
無料のGoogle Formなどでもアンケート作成が可能
MAやアンケート作成ツールを使っていない場合、無料で利用できるGoogle Formsが便利です。Web上でアンケートフォームを簡単に作成し、メールで送信することができます。質問項目ごとにラジオボタン、チェックボックスなどの回答方法を選んで作成したアンケートフォームをメールで送信後、変身された回答はスプレッドシードに集計された状態で蓄積されます。
マイクロソフトのOffice365にもほぼ同じようなFormsというアンケート作成機能があり、Excelで結果を集計できます。
アンケート結果の活用事例
多様なかたちでアンケートを活用する企業事例、シャノンのアンケート実施例をご紹介します。
企業のアンケート活用事例
アンケート施策やそのアンケートの集計結果はさまざまな形で活用されていますが、以下はその一例です。
「紙ストロー」に関する意識調査結果(日本製紙グループ、2020年11月)
紙ストローの使用感は「とてもいい」「いい」を合わせて62.6%と肯定的な結果が出ています。
日本製紙の環境への取り組みをPRして企業イメージアップにも貢献するアンケート調査となっています。
夏休みの宿題・過ごし方に関するアンケート(株式会社イオレ、2022年8月)
「らくらく連絡網」のサービスを提供する同社がサービスのユーザーを対象としたアンケートを実施して、その結果をリリースしています。
子育て世代に共感を呼びそうな内容でユーザー層にアピールするとともに、企業向けには子育て世代向けのマーケティング支援ができることを告知しています。
アンケートに答えてプレゼントに応募(アサヒ ディアナチュラ 2022年7月)
「アンケートに答えて応募」は多くの企業が実施するプロモーション方法です。
QRコートを読み取ってLINEからアンケートを送信し、プレゼントに応募します。
商品について認知度を高めると同時に、ユーザーデータを集めることができる手法です。
シャノンのアンケート活用事例
シャノンでは各種のアンケートを実施して施策のエビデンスを得るとともに、集計結果を活用しています。
アンケートから読み解く動画活用のポイント(2021年5月)
企業と視聴者へそれぞれ、ビジネス情報の動画活用についてアンケートを実施。2020年時点で5割以上の企業がウェビナーを開始していること、視聴者はWebサイト動画からの情報収集を重視していることなどの結果をとりまとめ、発表しました。
集計結果はニュースリリースとして配信したり、同時期にリリースした「動画管理機能」のプロモーションに活用したりしました。
ウェビナーが定着した一方で、セミナーを希望する人は3割以上(2021年5月)
ウェビナーが浸透した2021年秋、コロナ禍が落ち着いたらウェビナーよりもセミナーを希望するかどうかを調査し、セミナーを選ぶという回答が3割で、今後情報収集のチャネルは多様化すると結論付けました。
このアンケート結果はウェビナーのテーマとして取り上げました。
以下は、ウェビナーで実施する参加者アンケートについての記事です。
参考:【事例あり】ウェビナーにおけるアンケートの重要性と回答率を高める質問項目を紹介!
今回の記事ではアンケートの基礎知識と実施の手順について紹介しましたが、アンケートの集計と分析については以下で解説しているのでこちらも参照してください。
参考:アンケート結果を活用するために欠かせない、アンケートの集計と分析の方法
まとめ
本稿のポイントは以下の4点です。
1. アンケートはマーケティングの市場調査の位置手法に位置づけられます。企業にとって貴重な1次データが得られます。
2. アンケートは以下のようにマーケティングで活用されます。
・マーケティング施策の改善
・ペルソナを設定する
・顧客満足度を知る
・商品や企業のブランドイメージを知る
・新商品開発に活用する
・営業資料として活用する
・ホワイトペーパー/セミナーやウェビナーのコンテンツ
・ニュースリリース
3. 有効な結果を得るために、アンケートの仮説設定や質問項目の絞り込みがポイントとなります。
4. MAツールによりアンケートの作成、配布、集計、分析が自動化でき、見込み客や顧客データと一括で管理もできます。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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