BtoBマーケティングでは、認知、興味、比較、関心と顧客のフェーズを引き上げていくジャーニー型のナーチャリングが一般的ですが、自社に当てはめるのが難しいという方もいるのではないでしょうか。
この記事では「自社の商材は、顧客側の事情で検討時期をコントロールできない」という方に向けたナーチャリングのはじめかたをご紹介します。
検討時期をコントロールできない商材におすすめのナーチャリングとは
ジャーニー型のナーチャリングの実施が難しい方におすすめなのが、パルス型のナーチャリングです。
取り扱う商材の特徴として、急に顧客の興味が引き上がり、検討時期がコントロールできない点が挙げられます。
製造業の金型などの乗り換え型の商材や、オフィスの引っ越しにともなって検討されるオフィス家具などほかの商材と合わせて検討されるものが当てはまります。
パルス型のナーチャリングには潜在、準顕在、顕在、3つのフェーズがあります。
まず潜在フェーズにいる人は、受動的な情報収集のみをしています。
潜在フェーズには、競合と比較した優位性・専門性・独自性がわかる情報をプッシュ型で提供してください。
次に準顕在フェーズにいる人は、正式な検討が検討される前の部署や個人単位の下調べをしています。
準顕在フェーズには、既存、新規といった顧客の種別に応じて商談を創出していきます。
最後に顕在フェーズにいる人は、会社として正式な検討をしている段階です。
この場合は、関係者対応に適応したWebのパーソナライズを行います。
まずは、これら3つのフェーズについて営業部門と合意をとりましょう。
パルス型のナーチャリングでぶつかりがりな課題
パルス型のナーチャリングを実施するなかで、よく挙がる課題として以下3つが挙げられます。
- 初期の検討リストに入るのが難しい
- 新規顧客がフォローされない
- 経営陣から短期の成果を求められる
これらの課題について、少し詳しくご説明します。
GoogleとBainの調査によると、BtoBで購買するときに初期の検討リストを持っている人は86%、途中で検討リストが追加されても初期の検討リストから購入する人が92%です。
この調査結果から、顕在フェーズに後からマーケティング施策を実施しても検討リストに入るのは難しいことがわかります。
そして、初期検討リストに真っ先に入るのは、既存の取引先であることが多いです。
既存の取引先になることができれば勝率は高くなるので、営業視点だと勝率が高い既存顧客に注力したいと思うでしょう。
そのため、新規顧客がなかなかフォローされない状況という状況になりがちです。
また、経営陣から短期の成果を求められることも多いですが、会社の成長のためには新規顧客の開拓も必要です。
すぐに成果に結びつく商談を作りつつ、中長期的な商談を作ることが重要になります。
パルス型ナーチャリングのはじめかた
ではこうした課題を解決するためには、どのようにマーケティングをはじめていけばよいのでしょうか。
パルス型のナーチャリングには、潜在、準顕在、顕在の3つの段階があるとご紹介しましたが、準顕在フェーズ、潜在フェーズの順番で取り組んでみてください。
まずは、準顕在フェーズから着手して営業が新規顧客にに注力できない課題と、経営陣から短期の成果を求められる課題を解決していきます。
次に潜在フェーズに着手して顧客に想起してもらう種まきをすることで、検討リストに入る課題も解決していきましょう。
既存顧客の「知らずの失注」を見逃さない
準顕在フェーズ向けの施策として挙げられるのは、既存顧客のWebアクセスの自動通知です。
GoogleとBainの調査によると、BtoBの購買に向けた調査の69%がオンラインで行われています。
また、シャノンのMAでは自社に誰がアクセスしているのかがわかります。
既存顧客がWebアクセスした場合には、営業担当がフォローできるように自動で通知を送りましょう。
このときに「すでにやり取りしている営業に連絡がいくのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、他社に乗り換え予定の顧客が検討段階で営業に連絡することは少ないです。また、多くの顧客をもつ営業がすべての顧客をフォローするのは難しいため、MAを使って知らずの失注を見逃さないことが大切です。
新規顧客フォローリストには履歴情報をプラス
新規顧客について営業と連携してフォローするには、別の工夫が必要です。
フォローリストを渡すときには、名刺情報だけではなく、直近でアクセスしたページ数や取り扱う商材のページを見ているのかといった情報を付与して営業会議で共有しましょう。
この際、手持ちの案件が少ない営業にアサインすることで、モチベーションの高い状態で新規顧客をフォローしてもらいやすくなります。
さらに、マーケティング部門が営業部門に何件トスアップしたのかをレポート化することで、経営層に短期の成果をアピールできます。
潜在フェーズには自社の専門性が伝わるコラム記事を案内
準顕在フェーズへの施策に取り組んだあとには、潜在フェーズにアプローチしましょう。
たとえば自社商材が5年での乗り換えを想定している場合、ハウスリストの中での検討のタイミングはばらばらで今年度(1年以内)に乗り換える確率は20%と考えることができます。
潜在フェーズへアプローチしても、商談までの道のりが遠いと思われる方もいるかもしれませんが、種まきから早期に結果が出ることも想定されるので、ぜひチャレンジしてみてください。
潜在フェーズには、自社の専門性や独自性を伝えるコラム記事をメールで送ってみましょう。
BtoBマーケティングではSEO記事もおなじみですが、SEO記事は課題が顕在化したときに検索されることを想定して作成される記事なので、その前段階ではコラム記事のほうがおすすめです。
ここで「コラムなら記事ではなく動画を送るのもよいのではないか」と考えたかたもいらっしゃるのではないでしょうか。記事と動画で比較したシャノンのテスト結果を報告します。
メルマガの1番目と2番目に同じコンテンツの記事と動画を掲載した結果、記事のほうが約8倍クリックされました。
しかし、これは記事のほうが先に掲載したときの結果だったので、順番を入れ替えて動画を1番目に持ってきた検証もしています。その場合でも記事のほうが約3倍クリックされました。
シャノンのYouTubeチャンネルの視聴データだと、動画はビジネスタイムではないプライベートな時間に視聴されることが多いので、ビジネスタイムに送るメルマガだと記事のほうが効果が高いと考えられます。
ウェビナーで検討時に想起してもらう種をまく
そして、潜在フェーズの人に検討段階で想起してもらうためには、自社の商材への深い情報の理解が必要です。
その場合には、忙しい人にも時間を割いていただきやすいウェビナーに取り組んでみてください。
シャノンの実例を紹介すると、受注した人の最終接点はイベントや展示会、資料請求が多いのですが、その前にウェビナーを視聴しているかたが多いことがわかりました。
具体的な数字をご紹介すると、最終接点がイベントの人では63.2%、最終接点が資料請求・お問い合わせの人では28.3%がその前にウェビナーを視聴しています。
ウェビナーに触れていることで、初期検討リストに入って受注に結び付いたと考えられます。
ウェビナー担当者の大きな悩みとして集客があげられますが、集客数を増やすために3回メールを送ってください。
1回目は全員にメルマガで告知し、2回目に1年以内にWebアクセスがあった人にウェビナーだけを告知するメールを送ります。3回目はウェビナーのLPに着地したものの、まだ申し込みをしていない人に2回目と同じウェビナーのみを告知するメールを送ります。
メールの配信回数が多くなると配信停止率が気になりますが、シャノンの実績ですと3回のメールで配信停止率を下げながら、着実に集客を積み上げられます。
まとめ
- パルス型のナーチャリングは、急に顧客の興味が引き上がり、検討時期がコントロールできない商材におすすめ
- パルス型では、潜在フェーズ・準顕在フェーズ・顕在フェーズに分けて考える
- 準顕在フェーズの既存顧客の知らずの失注、営業が回りきれない問題をウェブアクセスで解決する
- 準顕在フェーズの新規顧客は営業会議で担当をアサインし、リッチなフォローリストを使う
- 潜在フェーズに対する想起の種まきは、コラム記事のメルマガ配信とウェビナーで行う
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
また、シャノンコンテンツアシスタントでは、主にセミナー集客メールのタイトルと内容、記事集客メールのタイトルと内容、記事本文の生成が可能です。
⇒マーケティング専用 生成AIクラウドのサービスサイトはこちら