株式会社サイバーエージェントが実施した調査によると、2021年の動画広告市場は4,195億円となり、2025年には1兆円規模に達すると予測されています。
これだけ市場規模が伸びているということは、動画が広告に効果的であると考えられます。この記事では動画を活用した「動画マーケティング」について紹介します。ぜひ参考にしてください。
動画マーケティングとは
動画マーケティングとは、動画を活用したマーケティング手法です。
マーケティングについては「マーケティングとは?その定義と歴史をふまえると、現代のマーケティングもわかる。おすすめ本も紹介!」でくわしく解説しています。
従来は、動画によるマーケティング手法といえば「テレビCM」でした。
しかし近年では、YouTubeやTwitter、TikTokといったさまざまなサイトが登場し、話題を集めています。
こうしたプラットフォーム上には、テレビCMと比べて格段に低いコストで動画掲載が可能です。
また、1本の動画を作っておけば他の媒体にも流用できるため、効率的にマーケティング活動ができるようになりました。
動画マーケティングが注目される理由
アメリカのシスコシステムズによると、世界中のトラフィックに占める動画の割合は、2022年には、82%へ増加する見込みとなっています。
多くの人が動画を見るようになれば、当然動画マーケティングが必要となります。多くの会社が動画に注目している理由のひとつです。
動画マーケティングの最新トレンド
動画マーケティングのトレンドは時代によって変化しています。
博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が発表した 「メディア定点調査2022」によると、「携帯電話/スマートフォン」が、はじめて「テレビ」の接触時間を上回りました。
▲出典:博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査2022」
上図から「パソコン」「タブレット端末」「携帯電話/スマートフォン」といった、インターネットを使ったデジタルメディアで見られる動画がトレンドだとわかります。この中でもスマホの普及は進んでいます。
総務省が毎年実施している通信利用動向調査によると、8割以上の世帯でスマホを保有しています。このデータからも、スマホユーザーへの訴求が重要だと分かります。
今後も5GやWi-fiの普及によって通信環境がより良くなり、スマホでの接触時間は増え続けると予想できます。動画マーケティングのトレンドは、手軽に動画視聴ができる「スマホ」にあるといえるでしょう。
動画での情報収集に関するアンケート結果
シャノンは2021年に「動画での情報収集と情報提供に関するアンケート」を実施しました。
アンケートの結果、企業のYouTubeチャンネルを視聴する頻度が「2019年以前と比較して2020年以降は増えた」と回答した方が60.8%。
企業のWebサイトで動画を視聴する頻度についても「2019年以前と比較して2020年以降は増えた」と回答した人が46.6%です。
コロナ禍以降、動画チャネルを視聴する頻度が高まっていることがわかりました。この背景には、新型コロナウイルスの感染拡大があります。
対面の機会が減り、オンライン上での情報収集が増えたと考えられます。
また、企業のWebサイトで視聴したい動画コンテンツについては「製品の概要(79.1%)」「製品の詳しい使い方(70.4%)」が多いのがわかります。
企業がWebサイト上で公開している(公開したい)動画コンテンツは「製品の概要(30.0%)」「製品の詳しい使い方(21.2%)」となり、視聴者と企業のニーズが一致しています。
製品の概要や使い方の動画は効果的だとわかります。
企業の動画を視聴したい場所については「Webサイト(67.8%)」「YouTubeチャンネル(55.7%)」が多く、動画を視聴したいと思わない人の数は少なかったです。
アンケート結果から分かる動画活用のポイント
アンケートの結果から、コロナ禍以降、オンライン上で製品やサービスの情報収集をする人が増えていることがわかります。企業のWebサイトやYouTubeチャンネルで、製品の概要や製品の詳しい使い方を視聴者に伝えることが、ポイントだとわかりました。
Webサイト上でどのように動画を活用するか
アンケートの結果、企業の動画を視聴したい場所で最も多い回答は「Webサイト」でした。
Webサイトといっても、会社概要ページや採用ページ、製品ページなどさまざまです。
どこに掲載すれば効果的なのか分からない、と悩んでしまうかもしれません。
その場合、LP(ランディングページ)を作成し、そこに動画を掲載することをおすすめします。
ランディングページは、検索結果や広告を経たユーザーが最初に見るページです。
ユーザーのアクションを促すためのページとなるので、動画との相性も良いといえます。
動画マーケティングの手法
動画マーケティングをおこなうには、当然動画を制作する必要があります。
以前は、BtoCサービスを展開する大企業を中心に動画マーケティングがおこなわれていました。
しかし現在は、BtoB企業も認知獲得や人材採用目的などで動画マーケティングをおこなっています。
動画と言っても、種類はさまざまです。大事なのは、動画を見た相手にどのような行動を起こしてほしいか「目的を決める」ことです。
目的を決める
動画マーケティングでは、認知から獲得までマーケティングファネル全体で高い効果を期待できます。
目的によって制作する動画の内容も変わるので、先に目的を決めましょう。目的別の手段については、下記の通りです。
目的 | 手段 |
認知度の向上 | 幅広い人に自社のことを知ってもらうために、ブランディングに特化する。 |
興味・関心を持ってもらう | 製品やサービスの特徴を紹介し、顧客を引き付ける。 |
比較・検討をしてもらう | 実際にサービスを利用しているユーザーの声を動画にする。類似商品との違いや自社の強みを伝える。 |
購入・資料請求をしてもらう | サービスの購入方法や割引・セール情報といった期間限定の特典をアピールする。 |
目的や課題に合わせてKPIを適切に設定し、それに合わせた訴求内容と運用が効果を出すために大切です。
ターゲットを決める
どのような人に動画を見てもらいたいのか「ターゲットを決める」ことも重要です。年齢層や性別、職業などのペルソナを明確化することで、動画の内容が鮮明になります。
ペルソナについては「BtoBマーケティングにおけるペルソナの作り方と活用方法を解説。シャノンが実践する一工夫もご紹介!」で詳しく解説しています。
動画の配信先を決める
動画マーケティングをおこなう上で、配信先は重要です。動画の配信場所としては、下記が考えられます。
配信メディアの選び方は、自社の商材やターゲット層によって異なります。
たとえばECサイトを運営していて、ターゲットが10代の女性であれば若いユーザー層の多いTikTokが有効でしょう。
BtoB事業をおこなっていて、ターゲットが40代の男性であればタクシー広告がおすすめです。
オンライン | オフライン |
自社内のWebサイト | 店頭、会社受付 |
Twitter、Facebook、Instagram、TikTok、LINEなどのSNS | 展示会、イベント、セミナー |
YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイト | テレビ |
Tverなどの動画配信プラットフォーム | 電車、タクシー |
自社Webサイトや会社受付、自社で運用しているSNSなどは無料で掲載できます。
テレビやタクシーの場合は、広告費用がかかります。予算に合わせて掲載先を決めましょう。
媒体によっては動画を表示する対象を細かく設定し、ピンポイントにターゲットへ動画を届けられます。
動画マーケティングのメリット・デメリット
動画マーケティングにはメリット・デメリットがそれぞれあります。具体的に知ることで、動画マーケティングを実践する際の参考にしてください。
動画マーケティングのメリット
動画マーケティングのメリットは、大きくわけて3つあります。
- 情報量が多い
- さまざまな媒体に利用できる
- 在層にもアプローチできる
情報量が多い
アメリカの調査会社フォレスター・リサーチの調査によると、1分間の動画によって得られる情報量は、Webの3600ページ分にも及ぶそうです。
動画を活用すれば、テキストと比較して膨大な情報を短時間で届けられます。
ユーザー参加型の動画「インタラクティブ動画」であれば情報を届けるだけではなく、発信側と受信側の双方向でのコミュニケーションが可能です。
さまざまな媒体に利用できる
媒体ごとに動画を作り直すケースもありますが、基本的に動画を1本作成すれば、テレビCMやWeb広告、タクシー広告やSNSなどのさまざまな媒体に利用できます。
採用説明会で採用動画、展示会で製品の説明動画を流している会社もよく見かけるはずです。1本作れば継続して利用できるので、コストパフォーマンスは高くなります。
潜在層にもアプローチできる
動画を広告出稿すれば、自社のことを知らない潜在層に向けてアプローチ可能です。もしSNSに投稿して多くの方にシェアされたら、数多くの潜在層にアプローチできます。
そのため、多くの会社がSNSで拡散性の高い動画制作に試行錯誤して取り組んでいます。
動画マーケティングのデメリット
動画マーケティングのデメリットは、大きくわけて3つあります。
- 費用がかかる
- 動画制作や編集のスキルが必要
- 動画が見られない可能性
費用がかかる
動画を制作するには、下記のような費用がかかります。
- 撮影機材(カメラや照明、マイクなど)
- 動画制作ツール
- 撮影場所代
- 出演者のギャランティ など
撮影機材をスマホにしたり、無料の動画制作ツールを利用すれば、新たな費用は発生しません。
また、撮影場所を自社オフィスにして、出演者を社員にするといった方法を取れば費用を抑えられます。
どの程度のクオリティを求めるのかによって、制作費用は大きく変わります。事前にすり合わせておくようご注意ください。
動画制作のスキルが必要
最近では簡単に動画を作れる制作ツールも普及してきましたが、こだわった映像を作りたい場合は、専門スキルが必要です。
制作スキルだけではなく、企画力も必要となります。
社内に動画制作の知識やノウハウを持つ人材がいない場合は、外注する選択肢もあります。
制作費用は内容や求めるレベルによって異なるので、制作会社に相見積もりを取るようにしましょう。自社制作にこだわるのであれば、人材の採用や育成が必要です。
動画が見られない可能性
YouTubeの動画広告をスキップした経験は、誰にでもあると思います。
せっかく動画を制作しても、見る側が動画に興味がなければ見られません。
興味を持ってもらうために、クオリティにこだわりましょう。動画は最初の5秒で続きを見たいかを判断されると言われています。
インパクトのある導入で、見る側を惹き付ける必要があります。
動画の最適化のためには、PDCAサイクルを回すことが重要です。
動画の再生回数や再生時間、離脱率といった数字をしっかり分析しましょう。
効果検証をおこない、改善を繰り返してより良い動画を制作してください。
動画マーケティングを活用している会社事例
実際に動画マーケティングを活用している会社の事例を紹介します。
動画を活用した施策によって商品購入につながった事例と、会社の認知度向上につながった成功事例です。
ライオン株式会社
ライオン株式会社は、ハミガキや石けんなどの身近な一般用消費財事業を中心におこなうグローバル企業です。
2017年、子ども向け歯ブラシ『クリニカ Kid’s』のプロモーションに動画を活用しました。
動画は、SNSなどで消費者の共感を呼び、「態度調査」の結果でも、利用意向が大きく向上しました。
訴求力が高く、再生数は51万回を超えています(2022年6月現在)。
実際に北九州市を中心にドラッグストアを展開するサンキュードラッグでこの動画を配信したところ、動画をご覧になった方の3.6%が、商品を購入されたそうです。
動画マーケティングによって購買意欲が促進され、売上が増加がしたという実績があります。
株式会社有隣堂
1909年に創業した株式会社有隣堂は、神奈川県・東京都・千葉県に約40店舗を展開している歴史ある書店です。
有隣堂が運営しているYouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」は、2022年6月時点で登録社が15万人を超えています。
書籍に限らず、文房具や食品の紹介もしており、これらは有隣堂の店舗でも購入可能です。
動画内でMCを務めるミミズクのぬいぐるみ「R.B.ブッコロー」が魅力的で人気があり、神奈川県の独立局であるtvk(テレビ神奈川)の番組でも取り上げられました。
このように、動画をきっかけに会社の認知度向上やブランド形成に貢献しています。
シャノン
シャノンの動画活用例を2つご紹介します。
まずは、ランディングページでの活用です。
以下は、ホワイトペーパーのランディングページのキャプチャなのですが、画面の左側に資料の内容を2分でご紹介する動画を掲載しています。
もともとは資料の一部をカルーセル形式で数枚掲載していたのですが、A/Bテストを実施した結果、動画を掲載したほうがコンバージョン率が高かったので、現在は動画を掲載しています。
ぜひ、実際のページ「リードナーチャリングのはじめかた」をご覧ください。
2つめは、メールでの活用です。
シャノンでは、2022年6月からメールマガジンにお役立ちTipsやクイズなど動画コンテンツを取り入れています。
その中でも、視聴数が多いのがショート動画です。
実際にメールで配信した動画を掲載しますので、動画活用を検討されているかたは、ぜひご参考ください。
まとめ
市場調査の結果から、年々、動画の市場は拡大していることがわかりました。
最近は、BtoC企業だけではなく、BtoB企業でも動画マーケティングの必要性が高まっています。
動画には集客や製品の理解促進、採用やユーザーサポートなど、さまざまな活用方法があります。
視聴者に興味を持ってもらえるようなクオリティの高い動画を制作して、戦略的にマーケティング施策をおこなっていきましょう。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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