現代のBtoBビジネスにおいて、Webマーケティングは必須といえます。Webマーケティングに取り組むうえではSEO対策も必要です。
しかし、多くの企業がSEOに頭を悩ませており、検索エンジンで上位表示させるSEO対策には時間がかかり、難易度もかなりのものです。
今回は、BtoB企業はどのようにSEOを進めていけばいいかについて考えていきます。
なお、現在、検索エンジンのシェア9割を占めているのがGoogleなので、本記事ではGoogle検索におけるSEOについて述べていきます。
SEOとは?企業にとって避けては通れないマーケティング施策
まず、SEOとは何か、どんなメリット・デメリットがあるのかについて改めて確認します。
SEOとは、検索キーワードに対して上位表示させること
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、「検索エンジン最適化」と訳されます。
SEO対策とは、検索結果で上位表示されるようにWebサイトを最適化するための施策です。
Google検索で1つまたは複数の検索ワードを入力したときの検索結果で上位に表示されるWebサイトを多くの人が閲覧します。
表示順位とクリック率の関係を表したグラフは以下の通り。
1位表示のクリック率が圧倒的に高く、7位以降のクリック率は5%未満となってしまいます。
出展:SISTRIX,Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid
上記は、アメリカのSISTRIX社が2020年にモバイルデバイスからの検索について調査したデータです。
スマートフォンで検索するシーンでは、上位表示されたサイトをクリックしやすい傾向がより高いと推測できますが、モバイルデバイスに限らない調査においても、表示順位とクリック率の関係を示すグラフは皆おなじようなカーブを描きます。
Googleはどのようにサイトを評価し、順位を決めているか
検索結果の表示順はどのように決まるのでしょうか。
Googleでは、「クローラー」というプログラムがネット上のWebサイトを巡回しています。
クローラーはWebページの内容を読み取りますが、すべての情報を読むわけではなく、いくつかのポイントをチェックします。
このため、クローラーにとって認識しやすいページを構築することが重要です。
クローラーが収集したデータのうち一定の水準を満たしたページがデータベースに保存されます。
これを「インデックス」と呼びます。検索に対して、インデックスに蓄積された情報に「検索アルゴリズム」により順位をつけて結果が表示されます。
このような一連のプロセスを経て順位が決まるため、新規に開設したWebサイトがGoogle検索の結果に表示されるようになるまでに約3か月程度かかるといわれています。
SEOではこのようなGoogle検索のしくみを理解したうえで最適化をはかることが重要です。
Googleは、検索結果表示システムのしくみとそれに対応するSEO対策について公式サイトで公開 しています。
企業にとってのSEOのメリットとデメリット
Googleが公開している方針にもとづきSEO対策を実行することにより、検索結果の上位を目指すことが可能です。
SEOのメリットとデメリットは以下です。
《SEOのメリット》
1 広告費をかけずに集客できる
Webサイトが検索結果の上位に表示されるようになった場合、多くのユーザーが閲覧します。
多くのマーケティング施策では広告費や経費がかかりますが、社内でSEO対策を行った場合は集客コストがかかりません。
2 長く集客を維持できる
一度上位表示されるようになれば、その後も集客を維持できます。
Google検索の表示順位は常に変動しますが、少し順位が下がった場合でも適切に対策をすることにより一定の順位以内を維持することができます。
3 ブランディングに役立つ
検索結果の上位に常に表示されることにより、社名や商品名の認知度と信頼度が高まるとともに、ブランディング効果があります。
《SEOのデメリット》
1 成果が出るまでに時間がかかる
Webサイトを改善した結果が表示に反映されるまでに、前述したように3か月程度かかります。
さらに3か月後に確実に上位表示されるかどうかは不明であるため、すぐに告知したいマーケティング施策には不向きです。
2 成果が出るまでに手間がかかる
具体的なSEOの進め方については次章で解説しますが、まずGoogle検索のしくみを正確に理解することから始まり、目的に合ったキーワードの選定やまとまった量のコンテンツの作成など、かなりの工数が必要です。
企業はリソース不足に悩む部分です。
3 外注先の選び方が難しい
SEOには多くの専門的な施策が必要で、かつ工数も多いので、企業はSEOコンサルティング会社に依頼することもよくあります。
不確実性のともなうSEO分野では外注先選びや費用対効果の見極めにも難しさがあります。
「検索意図に応える」ことが重要。SEOの手順とは?
検索結果で上位表示をめざすSEO施策は多岐にわたります。基本の手順を理解しましょう。
キーワードの選定
SEOでは検索者が入力するキーワードがすべての始まりです。
キーワードからユーザーの検索意図を読み取り、それに応えられるサイトを作成します。
キーワードは検索ボリュームにより以下のように分類されます。
キーワード分類 | キーワードの例 |
---|---|
ビッグキーワード | マーケティング |
ミドルキーワード | マーケティング ツール |
スモールキーワード | マーケティング ツール 無料、マーケティング ツール 選び方 |
1語ならビッグキーワードというわけではなく、検索ボリュームが多ければ2語でもビッグキーワードになります。
商品やサービスに関するビッグキーワードで上位表示されているのはほとんどが大企業などで、新規に上位表示をめざす難易度はかなり高くなります。
一方、ミドルキーワードやスモールキーワードで順位を上げる難易度はビッグキーワードよりも低いです。
キーワードの検索ボリュームを知るには、Googleが提供している「キーワードプランナー」を使うことが一般的です。
広告出稿者向けのツールなので無料で使用できる機能は限定的ですが、検索されているワードとおよその検索ボリュームを知ることができます。
キーワードの検索意図を理解し、サイトを設計する
SEOではユーザーが特定のキーワードを入力するときに、どんな検索意図をもっていたかを知ることも必要です。
ユーザーの検索意図を知るには、上位表示されたサイトをよく読むことが有効です。
なぜなら、Google自身もキーワードから検索意図を読み取り、それに最も合致するページを選んで上位表示しているからです。
ただし検索意図が必ずしも明確ではない場合もあります。
たとえば、「MAツール」で検索する人は、MAツールとは何かを知りたいだけの人かもしれないし、MAツールを導入したい企業の担当者かもしれません。
これが「MAツールとは」や「MAツール おすすめ 比較」などのキーワードになると、検索意図がよりはっきりしてきます。
検索ワード | 明確な検索意図 | 隠れた検索意図 |
---|---|---|
MAツール | MAツールとは何かを知りたい | MAツールで集客できるのかを知りたい MAツールの導入費用を知りたい MAツールが自社の課題解決に適しているか知りたい |
検索ワードに対応するWebページを作成するときは、明確な検索意図に応えることが最も重要です。
同時に、隠れた検索意図に応える内容を盛り込んだり、さらに知りたい人が読むべきページへのリンクを用意したりという手法が考えられます。
対象とするキーワードとその検索意図の確認ができたら、サイトを設計します。
キーワードの検索ボリュームや語の距離にもよりますが、1件のトピックに対して1ページを割り当て、関連性のあるページには相互にリンクを設置することが基本です。
テクニカルにサイトを整える「内部対策」には「コアウェブバイタル」が追加
SEOの内部対策とは、Googleのクローラー巡回で見つけやすいようにするサイト記述方法の最適化です。
詳細な方法を知るにはGoogleのガイドライン を参照します。たとえば以下のような対策があります。
- ページタイトルにキーワードを入れ、ページの内容をわかりやすくまとめたタイトルをつける
- ページタイトルが「h1タグ」など、HTMLタグをルール通りに配置
- 検索結果に表示されるmeta descriptionタグの記載を最適化
- 「Google Search Console」にログインしてXMLサイトマップを送信
- サイト全体を3階層以内で設計する
- リンクを適切に設置する
- SSL化する
- 内部リンクは「こちら」などの表記ではなく具体的ページ内容を表記
- 上位表示させる必要がないページにrobots.txtを付記する
- 「今どこにいるか」を示す「パンくずリスト」を設置する
- ペナルティを受ける要素がないかをチェックする
上記のようなポイントに加えて、2021年にさらに新たなGoogleの評価基準が追加されました。
それが「コアウェブバイタル」(Core Web Vitals)です。
コアウェブバイタルは3つの要素からなります。
LCP(Largest Contentful Paint)
Webページに含まれる主要な画像や動画などが表示されるまでの時間。短いほど高評価
FID(First Input Delay)
ユーザーがタップ、入力などのインプットをしたときのサイトの反応速度。速いほど高評価
CLS(Cumulative Layout Shift)
モバイルデバイス閲覧中にページのレイアウトにズレが生じ、リンクやボタンのタップに失敗するような場合に低評価
これらに対策することで、クローラーに高い確率で認識されるようになります。
被リンクされやすくする「外部対策」
Googleは信頼できる他のサイトからリンクされる件数を評価基準にしています。自社のWebサイトが外部サイトからリンクされる「被リンク」を増やすことを外部対策といいます。
ただし、あくまでも他者が自発的にリンクすることが重要で、サイト運営者が業者からリンクを購入したり、あるいは別サイトを立ち上げて不自然なリンクを貼るなどの行為は悪質なリンクと見なされてペナルティを受ける場合があります。
したがって外部対策としてできることは限定されますが、被リンクされやすいサイト作りとして以下のような施策が挙げられます。
- ユーザーにとって価値があるコンテンツを提供する
- インタビュー記事や顧客の事例紹介など、多くの人が関心を集めそうなコンテンツを作成する
- 多くの人が引用したいと思うような汎用性の高い「グラフ」「概念図」「フォーマット」などを掲載する
- 興味深い結果を示した「調査レポート」を掲載する
被リンクのほかに、企業名や商品名、電話番号などの情報が他のWebサイトにより言及されることも評価されます。これをサイテーションと呼びます。
外部対策は自社でコントロールできる要素が少ないため、優先順位は高くありません。
「検索意図に応えるコンテンツを提供する」というSEOの主要な目的のための施策をメインとしながら外部対策も意識するといった位置づけになります。
ユーザーの検索意図に応えるわかりやすいページを作成
SEOで多くの時間をかけて取り組むべきなのが質の高いコンテンツの作成です。以下のようなポイントをおさえる必要があります。
1 検索意図に的確に応える
何かを知るために検索したとき、サイトを閲覧してあまりいい回答が得られなかった経験はないでしょうか。
入力した検索ワードが適切でないという場合もありますが、多くの人が知りたいことに対して必要かつ十分な回答を提示しているWebサイトはそれほど多くないというのも事実です。特定のキーワードに対して現在表示されているページよりも的確に応えられるページを提供できれば、表示順位を上げられる可能性があります。
2 読みやすくわかりやすい文章で書く
文章表現としてのわかりやすさも重要です。タイトルのほか適切な位置に見出し・改行があり、簡潔で読みやすい文章であることが大切です。
3 E-A-Tを意識する
E-A-Tとは、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の略称です。
専門性はたとえば、「マーケティングの専門家が実体験に基づいてマーケティングについて解説している」といったコンテンツに表れます。
サイト全体がひとつのテーマを掘り下げていることも評価の対象です。
権威性は「情報提供者に権威があるか」なので、大企業や公的機関が評価されやすい傾向があります。
それ以外のサイト運営者は被リンクやサイテーションを獲得しながら長期で権威性を獲得していく必要があります。
信頼性とはサイト運営者の情報および各コンテンツが正確で信頼できるかという基準です。
コンテンツの作成では具体的な数字などを用いた事実に基づく記述が求められています。
4 適切にグラフィックを使用する
「グラフ」「イメージ図」「比較表」など、内容をわかりやすく伝えるために効果的にグラフィックを使用しているサイトが評価されます。
これらのポイントをおさえながら、コンテンツを作成していきます。
シャノンも実践中。BtoBマーケティングにおけるSEO対策のあり方
ここまで、SEOについてかなり急ぎ足で紹介してきました。
大まかな説明だけでも「大変そう……」と感じる人は多いのではないでしょうか。
最後に、BtoBマーケティングにおけるSEO対策の位置づけ、シャノンの事例についてご紹介します。
マーケティングのなかでSEOをどう位置づけるか
紹介してきたように、SEO対策では成果が出れば大きなメリットがありますが、簡単なことではありません。
幅広い企業マーケティング活動のなかでSEOをどう位置づけ、進めていけばいいでしょうか。
企業がとるべきマーケティング施策のひとつに「コンテンツマーケティング」があります。
コンテンツマーケティングとは、簡単にいうと、顧客にとって価値があるコンテンツを提供することで「顧客に見つけてもらう」マーケティングのことです 。
SEOの評価基準には「検索意図に応えるコンテンツか」「ユーザーがわかりやすいコンテンツか」などが含まれるので、質の高いコンテンツを整備することはコンテンツマーケティングとSEO、両方の目的に合う施策です。
SEOに寄与するコンテンツの整備を「コンテンツSEO」といいます。
企業はチラシ配布や電話などのマスでダイレクトなマーケティングからWebマーケティングへとシフトし、さらにそのなかでコンテンツマーケティングを進めていく流れとなっています。
もしコンテンツマーケティングが成功して集客の目標を達成できれば、あえてSEO対策をする必要はありません。
しかしマーケティング戦略の全体像に基づき「検索順位を上げる」ことが必要となった段階で、SEO対策を検討するべきでしょう。
検討するにあたり、SEOの代替となる「リスティング広告」という選択肢もあります。
リスティング広告とは検索結果の上部に表示されるテキスト広告です。
コンテンツマーケティングやSEOは成果が出るまでに時間がかかるので、必要に応じて即刻性のあるWeb広告を組み合わせます。
SEO、コンテンツマーケティング、広告など各施策を組み合わせて実施
シャノンも今まさに「シャノンのブログ」でSEO対策実践中
シャノンでもSEO対策を実施しています。その現場がここ、「シャノンのブログ」です。
当ブログでは、MAツールに関心のある方に対しては、便利な機能や具体的な使い方をくわしくご紹介。
一方、ウェビナー配信に必要な撮影機材の紹介や在宅勤務になったインサイドセールスの業務の様子など、マーケティングに関心のある方の検索意図に幅広く応える情報を提供しています。
企業のWebサイトでSEO対策をするときは、多様なテーマについて継続的にコンテンツを追加していける「ブログ」の形式をとることが一般的です。
ただし、中の人が持ち回りで書く、いわゆる「スタッフブログ」を更新し続けるだけでは、多くの場合表示順位を上げることができません。
最初は思うような成果が上げられなくても、自社でやってみることで課題が明確になるはずです。
そんなとき、マーケティング部門で「検索順位をなんとかしたい」というコンセンサスが明確になったら、本格的にSEO対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
本稿のポイントは以下の3点です。
1. SEO(検索エンジン最適化)は、キーワード検索の結果として上位表示されるようサイトを整備することです。
2. SEOでコストをかけずに集客できる可能性がありますが、上位表示されるまで時間と手間がかかり、狙いたいキーワードによっては難易度も高いです。
3. マーケティング戦略のなかで検索順位を上げることが重要と位置付けられたときは、企業はSEOに本格的に取り組むべきです。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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