Googleアナリティクス(GA)には多彩な解析ツールが用意されています。
そのなかの「セグメント」機能では、ユーザーを絞り込んで分析することができます。
「ファネル(funnel)」とは英語で「ろうと」のことです。
Webサイトを見た人が100人、実際に購入した人が10人だった場合、だんだんユーザーが絞り込まれていく過程の図式がろうとの形であることからそう呼ばれています。
今回はBtoBビジネスを想定しながら、GAのセグメント機能と、それを応用したファネル分析を紹介し、MAツールとの役割の違いを確認します。
「Googleアナリティクス」のセグメント機能とは?
Googleアナリティクスの各種セグメント機能とその活用方法についてご紹介します。
「セグメント」とは、サイトを評価するためのアクセス解析ツール
Googleアナリティクスにはあらかじめ22種類のセグメント項目が用意されていて、簡単な操作でデータを絞り込み、ユーザーの傾向を見ることができます。たとえば
- コンバージョンに至らなかったユーザー/至ったユーザー
- リピーター
- モバイルトラフィック
- 自然検索トラフィック
などがあり、そこから4つまで選択し、グラフに表示できます。
提供されているセグメント項目のほかに、より詳細な条件を設定してカスタムセグメントを作成することも可能です。さらに、目的に合うセグメントのテンプレートを探して利用する「ギャラリー」機能もあります。
GAのセグメント機能をマーケティングに活用する事例
GAには多様なセグメント機能が用意されています。
そのなかで、BtoB企業のマーケティングを想定した使い方として、以下のような例があります。
1. 「見込み客」をセグメントして、広告出稿
「導入の流れ」「料金」などのページを見たユーザーは、購入の可能性が高いと推測ができる、いわば「見込み客」といえるでしょう。こうしたユーザーに対してWeb広告を出稿することができます。
2. 「オーガニック検索」をセグメントして、SEO対策
オーガニック検索は自然検索とも呼ばれ、ユーザーが検索エンジンにキーワードを入力して得られた結果からのクリックです。オーガニック検索が減少してきた場合、検索結果の上位に表示されなくなった可能性があります。サイトの構成やキーワードに十分応えられるコンテンツへの見直しなどが求められます。
3. 「SNSからのアクセス」をセグメントして、SNSからの情報発信に活用
カスタムセグメントではfacebook、twitterなど特定のSNSを経由したアクセスの表示設定ができます。分析結果をSNSアカウントからの情報発信に役立てることができます。
このほかにも、「資料をダウンロードしたユーザーは、どの順番でページを見たか」、「TOPページから最新ウェビナー情報のページへと移動した人は何%か」など、マーケティング担当者にとって参考になるさまざまなデータが取得できます。
ただ、すべて匿名のユーザーなので、直接コミュニケーションをはかることができないという限界もあります。そこが個別の見込み客へ届ける1to1マーケティングを行うMAツールとの、大きな違いです。
ファネル分析とは? MAの「購買ピラミッド」とはどう違う?
GAを活用したファネル分析とはどんなものか、MAにおける「購買ピラミッド」とはどう違うのかについて述べていきます。
GAによる「ファネル分析」とは
ファネルとは「ろうと」のことで、サイト訪問を訪問した人が100人いて、商品を購入した人が10人だった場合、そこへ至るまでにユーザーが絞り込まれるようすを、以下のような図にしたものをいいます。
ファネル分析とは、各ページを閲覧するユーザーが、どこで次のページへ移動せずに離脱してしまうかをそれぞれ測定し、「取りこぼしている箇所」を特定するものです。
GAではいくつかの設定方法がありますが、例えば、セグメント機能の「シーケンス」項目で設定することによりこの形の計測をすることができます。
設定方法
- 一定期間にTOPページ①を閲覧した直後に、製品一覧ページ②へと遷移したセッション数
- 製品一覧ページ②を閲覧した直後に、特定の製品の詳細ページ③へと遷移したセッション数
- 特定の製品の詳細ページ③を閲覧した直後に、資料請求ページ④へと遷移したセッション数
などのように条件設定していきます。
こうしたページ遷移率を測定することで、比較的遷移率の低いページを見つけ出し、サイト改善の参考情報とすることができます。
ファネルとMAで管理する「購入ピラミッド」との違い
ファネルの図を見て、今までにこのブログを読んだことがある方なら、このブログやサイトによく登場する「購入ピラミッド」と似ていることに気づくと思います。
絞り込まれた最終段階がファネルでは「購入」、購入ピラミッドでは「商談」となっていて、三角形の向きが逆になっていますが、他の項目は名称も同じです。
2つの図はよく似ていますが、見ている対象と使用する目的が違います。
- ファネル:Webサイト上のユーザーの動きを分析し、より購入に結びつくサイトへと改善を図る
- 購入ピラミッド:リードの興味・関心の程度を判定し、商談可能なフェーズへと引き上げる
ここで、リードのフォロー・引き上げというBtoBマーケティングの主要な業務は、GAのファネル分析などで代替することはできない、ということを確認しておきます。
GAの「セグメント機能」「ファネル分析」はBtoBマーケティングに活用できる?
MAツールを使用しているシャノンのマーケティングチームの場合、GAのセグメント機能を使用する機会はあまり多くありませんが、必要に応じて
- オーガニック検索によるサイトの訪問者を計測→減少傾向があったらWebサイトの改善をはかる
といった使い方をしています。
MAツールを導入していないBtoB企業では、無料で使えるGAのセグメント機能を使いこなすことが必要かもしれません。たとえば、Webサイトに「資料ダウンロード」や「お問い合わせ」のフォームを用意している場合、そこからの情報登録をCVに設定し、ファネル分析のような形でユーザーの行動を分析するといった方法が考えられます。
また、「ファネル分析」は、Webサイト上で取引まで完了できるECサイトでは有効です。企業向けECサイト運営者にとってはGAの他の機能とあわせて活用したいツールのひとつといえるでしょう。
GAには便利な機能が数多く用意されていますが、MAで活用できるものとできないものがあります。
各種のセグメント機能についてもひととおり理解したうえで、目的を明確にし、それに合う機能を選んで有効活用する必要がありそうです。
まとめ
本稿のポイントは以下の3点です。
1. GAには豊富なセグメント機能があり、その一部をBtoBマーケティングにも活用できます。
2. セグメント機能を応用した「ファネル分析」は「購買ピラミッド」とよく似ていますが、見る対象と使う目的が違います。
3. MAツールを導入していない企業はGAのセグメントをマーケティングに役立てる工夫ができますが、MAツールによるリードのフォロー・引き上げ管理機能をGAで代替することはできません。
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