
「営業の人手が足りない」「せっかく獲得したリードを追い切れず放置している」。そんな課題からインサイドセールスを検討しても、テレアポとの違いや始め方があいまいなままでは、社内の理解を得られません。この記事では、インサイドセールスの定義から仕事内容、導入・運用のポイントまでを整理し、商談数180%増を実現したシャノン自身の実例とあわせて解説します。
インサイドセールスとは?マーケティングと営業をつなぐ内勤型営業
はじめに、インサイドセールスの定義と、混同されやすいテレアポ・フィールドセールスとの違いを整理します。役割の線引きがあいまいなまま導入すると、「電話をかけるだけの部隊」になってしまうためです。
インサイドセールスの役割と位置づけ

インサイドセールスとは、電話・メール・Web会議などを使い、訪問せずに見込み客(リード)とコミュニケーションする内勤型の営業手法です。マーケティング部門が獲得したリードを引き継ぎ、情報提供やヒアリングを重ねて購買意欲を高め、商談化のタイミングで営業(フィールドセールス)へ引き渡します。
つまりインサイドセールスは、マーケティングと営業の間をつなぐ「橋渡し役」です。獲得したリードのうち、今すぐ商談にならない大多数を放置せずに育成(リードナーチャリング)し、確度の高い商談だけを営業に届けることで、営業プロセス全体の生産性を高めます。
テレアポとの違い
テレアポとの最大の違いは、活動の目的にあります。テレアポはアポイント獲得を目的とした単発のアプローチで、KPIは架電数とアポ数が中心です。リストの上から順に電話をかけ、その場で会う約束を取り付けることをゴールとします。
一方のインサイドセールスは、商談につながる関係構築が目的です。一度の電話で終わらせず、相手の検討度合いに応じてメールや資料送付を織り交ぜ、中長期でコミュニケーションを続けます。評価指標も、アポ数だけでなく商談化数や受注への貢献度まで含む点が異なります。
「その場のアポ」を追うか、「質の高い商談」を積み上げるか。この目的の違いが、後述するKPI設計や人材育成の違いにつながっていきます。
フィールドセールスとの違い
フィールドセールス(外勤営業)との違いは、担当する営業プロセスの範囲です。フィールドセールスは、訪問や対面での商談を通じてクロージング(受注)までを担います。インサイドセールスは、その手前のリード育成から商談機会の創出までが守備範囲です。
分業により、フィールドセールスは確度の高い商談に集中でき、移動時間も削減できます。なお企業によっては、インサイドセールスが受注まで完結するモデルもあり、扱う商材の単価や複雑さに応じて分担ラインは変わります。
インサイドセールスが注目される3つの背景
インサイドセールスはアメリカで生まれ、日本でもBtoB企業を中心に導入が広がってきました。普及を後押しする3つの背景を押さえておくと、自社に必要かどうかを判断しやすくなります。
1. 顧客の購買行動がWeb中心に変わった
BtoBの購買担当者は、営業に会う前にWebサイトや比較記事、資料ダウンロードで情報収集を済ませるようになりました。検討の大半がWeb上で進むため、企業側は「問い合わせを待って訪問する」だけでは接点を持てません。Web上の行動から検討度合いを読み取り、適切なタイミングで電話やメールでアプローチする役割が必要になりました。これがインサイドセールスの出発点です。
2. 営業人材の不足
労働人口の減少により、営業担当者の採用は年々難しくなっています。限られた人数で成果を出すには、「誰に・いつ・何をするか」を分業で最適化するしかありません。訪問営業が1日にこなせる商談数には物理的な限界があります。内勤のインサイドセールスなら移動時間がゼロのため、1人あたりの接触件数を大幅に増やせます。
3. MAなどデジタルツールの進化と働き方の多様化
MA(マーケティングオートメーション)やSFA、Web会議システムの普及により、訪問しなくても顧客の関心や検討状況を把握できる環境が整いました。ツールに蓄積された行動履歴が、非対面でも精度の高い提案を可能にしています。
またリモートワークの定着で、非対面の商談が買い手にも受け入れられるようになりました。場所を選ばず働けるインサイドセールスは、育児や介護と両立したい人材の活躍の場にもなっています。
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営業が移動込みの訪問で1日2〜3件しか回れていない (月10時間)
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展示会・セミナーの名刺のリスト化やお礼メールが後回しになっている (月5時間)
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失注・時期尚早リードを誰もフォローせず、掘り起こしのたびにリストを作り直している (月6時間)
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架電前の企業情報・行動履歴の確認で複数ツールを行き来している (月4時間)
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「渡したリードがどうなったか」の確認連絡・会議に時間を使っている (月3時間)
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インサイドセールスの2つの種類:SDRとBDR
インサイドセールスは、リードの起点によってSDRとBDRの2つの型に分かれます。自社がどちらを担わせたいのかを明確にしておくと、組織設計やKPI設定で迷いません。
1. SDR(反響型):問い合わせや資料請求に対応する
SDR(Sales Development Representative)は、マーケティング活動で獲得したリードに対応する「反響型」のインサイドセールスです。資料請求や問い合わせ、セミナー参加など、相手からのアクションを起点にアプローチします。
すでに関心を持っている相手が対象のため、いかに早く・的確にフォローできるかが成果の分かれ目です。日本企業のインサイドセールスの多くは、このSDR型からスタートしています。
2. BDR(新規開拓型):ターゲット企業へ能動的に働きかける
BDR(Business Development Representative)は、自社から能動的にアプローチする「新規開拓型」です。戦略的に攻めたいターゲット企業を定め、手紙やメール、電話を組み合わせて接点をつくります。大手企業の開拓など、待っていても反響が来ない相手に有効な一方、SDRより難易度が高く、専任体制が必要です。
SDRとBDRの違いや使い分けは、こちらの記事で詳しく解説しています。
参考:SDRとBDRの違いを知ってインサイドセールスで導入するポイントを解説
インサイドセールスの仕事内容とKPI
インサイドセールスが日々何をしているのか、リードを受け取ってから商談化するまでの流れに沿って見ていきましょう。あわせて、活動を評価するKPIの考え方も整理します。
主な仕事の流れ

仕事の起点は、マーケティング部門からのリードの引き継ぎです。展示会の名刺、資料請求、セミナー参加者などのリストを受け取り、優先順位をつけてアプローチを始めます。
架電の前には、相手の企業情報やWebサイトの閲覧履歴、メールの開封状況を確認し、関心事の仮説を立てておくのが基本です。電話やメールでのやりとりを通じて課題をヒアリングし、購買意欲が高まったと判断したら、日程調整をしてフィールドセールスへ商談を引き渡します。まだ時期が早いリードは、メールでの情報提供を続けながら検討度が上がるタイミングを待ちます。
代表的なKPI
インサイドセールスのKPIは、行動量と成果の両面で設定します。行動量のKPIは架電数、メール送信数、通話時間など。成果のKPIはアポイント数、商談化数、そこからの受注貢献です。注意したいのは、アポ数だけをKPIにすると「とにかく会う約束を取る」動きになり、質の低い商談が営業に流れてしまうことです。商談化率や受注率まで追いかける設計にすると、量と質のバランスが取れます。
インサイドセールスを導入する6つのメリット
インサイドセールスの導入で得られる代表的なメリットを6つに整理します。自社の課題と照らし合わせながらご覧ください。
1. 営業活動を効率化できる
移動時間がないため、1人が1日にアプローチできる件数は訪問営業の数倍になります。さらに、確度の高い商談だけをフィールドセールスへ渡す分業により、営業が受注に近い活動へ集中できる点も見逃せません。
2. 少人数でも幅広い商圏をカバーできる
電話とWeb会議でアプローチするため、遠方の企業にも同じコストで対応できます。拠点を持たないエリアの開拓や、小規模チームでの全国展開も現実的な選択肢です。
3. 対応の遅れによる機会損失を減らせる
資料請求や問い合わせへの対応が遅れると、検討の熱は冷め、競合に先を越されかねません。リード対応の専任部隊を置くことで、反響への即時フォローが仕組みとして回るようになります。
4. データにもとづく顧客起点のアプローチができる
インサイドセールスの活動は、通話記録やメール履歴としてすべてデータに残ります。顧客の反応を蓄積・分析することで、「売りたいタイミング」ではなく「相手が検討しているタイミング」を捉えたアプローチが可能です。
5. 非常時でも営業活動を止めずにすむ
感染症の流行や災害で訪問が難しくなっても、内勤型の営業は活動を継続できます。営業チャネルを訪問だけに依存しない体制は、事業継続の観点からも価値のある備えです。
6. 多様な人材・働き方を生かせる
在宅勤務や時短勤務と両立しやすいため、営業経験者の復職やキャリアチェンジの受け皿になります。採用難の時代に、活躍できる人材の幅を広げられることは見逃せない利点です。
インサイドセールスのデメリットと対策
メリットの一方で、導入時につまずきやすいポイントもあります。デメリットは事前に対策とセットで押さえておくと、立ち上げの失敗を避けられます。
1. 部門間の連携不足が対立を生む
マーケティング・インサイドセールス・営業の分業体制では、「渡したリードの質が低い」「せっかくの商談を放置された」といった部門間の不満が生まれがちです。責任の押し付け合いが始まると、分業はむしろ逆効果になります。
対策は、商談化の基準や引き渡しのルールを事前に文書で合意しておくことです。加えて、3部門が同じ顧客データを見られる環境を整えると、感覚のズレが起きにくくなります。
2. 仕組みの構築に時間とコストがかかる
インサイドセールスは、人を配置すればすぐ成果が出るものではありません。トークスクリプトやシナリオの整備、ツールの導入、KPI設計といった準備に一定の投資が必要です。最初から完璧な体制を目指さず、後述するスモールスタートで小さく検証しながら広げると、初期投資を抑えられます。
3. 対面に比べて信頼関係を築きにくい
非対面のコミュニケーションでは、表情や場の空気が伝わらず、信頼構築に時間がかかりがちです。単価が高く関係性が重視される商材では、この点がボトルネックになりえます。
対策として、Web会議で顔を見せる、事前にメールで自己紹介を送る、資料やカタログを郵送するなど、接点の「質感」を補う工夫が有効です。後述するシャノンの実例でも、事前メールと郵送が応答率を大きく変えています。
インサイドセールス導入・運用を成功させる4つのポイント
デメリットを踏まえたうえで、導入・運用を成功させるために押さえたい4つのポイントを紹介します。
詳細な立ち上げ手順は、実例つきの解説記事もあわせてご覧ください。
参考:【実例あり】インサイドセールスの立ち上げ方。手順、成功のポイントを解説
1. スモールスタートで始める
最初から大きな組織をつくる必要はありません。まずは1〜2名の専任、あるいは兼任からでも、対象リードを絞って始められます。小さく始めて、架電数・応答率・商談化数のデータを取り、成果が見えた段階で人員とリード範囲を広げる。この順序なら、社内の理解も得やすくなります。
2. マーケティング・営業部門との連携ルールを決める
インサイドセールスの成果は、前後の工程であるマーケティングと営業との連携で決まります。「どんな状態のリードを引き継ぐか」「商談化の基準は何か」「失注や時期尚早のリードは誰が育て直すか」を、3部門で合意しておきましょう。
導入のスタイルは企業によってさまざまで、マーケティング部門の中に置く形も、営業部門の中に置く形もあります。どちらの場合も、リードの受け渡し基準を明文化しておくことが対立の予防線になります。
3. 人材育成は「シャドーイング」で立ち上がりを早める
立ち上げ期の最大の課題は人材です。インサイドセールスには、ヒアリング力と商材知識に加え、データを読む力も求められるため、即戦力の採用は簡単ではありません。
シャノンでは、研修コンテンツをインプット(テキスト・動画)とアウトプット(テスト・ロープレ)のセットで整備したうえで、新メンバーが1日中先輩に同行して電話対応から社内会議まで同じ動きを体験する「シャドーイング」を取り入れています。仕事のリズムを体で覚えられるため、新メンバーの立ち上がりが早くなります。
4. MAで顧客情報と行動履歴を一元化する
3部門の連携を支える土台が、顧客データの一元管理です。MAを使えば、リードの獲得経路、Webの閲覧履歴、メールへの反応、架電記録までを1つの画面で確認でき、「誰に・いつ・何を話すか」の判断が速く正確になります。
インサイドセールス向けツールの種類や選び方は、こちらの記事も参考にしてください。
参考:インサイドセールスツールのおすすめ11選|種類や選び方も解説!

【実例】シャノンのインサイドセールスが商談数180%増を実現した3つの取り組み
ここからは一般論ではなく、シャノン自身のインサイドセールスチームが商談数180%増を実現した取り組みを紹介します。どれも明日から真似できる再現性の高い施策です。
1. 登録直後の架電と事前メールで応答率を高める
シャノンの実測では、電話で会話できる確率が最も高いのは、リードが資料請求などでフォーム登録した直後です。時間が経つほど応答率は下がるため、反響から架電までのスピードを最優先しています。
もうひとつの工夫が事前メールです。知らない番号からの電話には出てもらえないことを前提に、架電の前に会社名・担当者名・電話の趣旨を簡潔に伝えるメールを送っておきます。「メールをお送りした者です」と切り出せるだけで、会話につながる確率が変わります。休眠リードの掘り起こしでは、先にDMを郵送してから架電する方法により、約12%がアポイントにつながりました。

2. リードソースを見直し、展示会を攻略する
シャノンのインサイドセールスチームは、アポイントにつながるリードソース(獲得経路)の内訳を定期的に見直しています。伸びしろがあると判断した展示会に注力した結果、アポイントに占めるイベント経由の割合は2021年の5.6%から2022年には31.0%まで拡大しました。
展示会でブースに立ち寄った方と話せる時間は、数分にとどまることがほとんどです。短時間で製品の必要性を感じてもらう接客は、普段から電話で同じことをしているインサイドセールスの得意分野です。接客内容の改善により、名刺100枚あたりの商談獲得数は3.2件から8.7件に伸びました。
展示会後のフォローでは、来場のお礼としてカタログを郵送してから架電します。カタログで思い出してもらえるため、応答率33.3%・アポ率15.0%という結果が出ています(2022年シャノン実績)。
3. 「架電レース」で活動量をチームで底上げする
インサイドセールスの成果は「質(商談化率などの率)×量(架電数などの数)」で決まります。質を上げる施策は多くある一方、量は個人任せになりがちです。
シャノンでは、量をチームの仕掛けで上げるために、2日間の期間限定で架電数を競う「架電レース」を定期開催しています。個人戦とチーム戦を組み合わせ、エース対決や先輩後輩対決といった組み合わせで盛り上げるのがコツです。1日の最高架電数を一度更新すると、それが本人の新しい基準になり、レース後も平均の活動量が上がります。
こうした取り組みの積み重ねについては、立ち上げ2年目でアポ獲得数205%成長を遂げたチームの奮闘記でも詳しく紹介しています。
参考:マーケ部門のインサイドセールスチーム立ち上げ奮闘記〜2年目でアポ獲得数205%成長になるまで〜
インサイドセールスに関するよくある質問
Q1. インサイドセールスとテレアポの違いは何ですか?
目的が異なります。テレアポはアポイント獲得を目的とした単発の電話活動で、インサイドセールスは電話・メール・Web会議を組み合わせて見込み客を中長期で育成し、質の高い商談を創出する営業手法です。評価指標も、アポ数中心のテレアポに対し、インサイドセールスは商談化数や受注貢献まで含みます。
Q2. 少人数や兼任でもインサイドセールスは始められますか?
始められます。実際に1〜2名の専任や兼任でスタートし、成果を確認しながら拡大する企業は少なくありません。対象リードを「直近1か月の資料請求」などに絞り、架電数・応答率・商談化数を記録することから始めると、拡大判断の材料がそろいます。
Q3. インサイドセールスのKPIは何から設定すべきですか?
まずは架電数(行動量)、応答率、アポイント数、商談化数の4つを押さえましょう。行動量だけでも成果だけでも改善点が見えないため、量と質をセットで追うことがポイントです。運用に慣れてきたら、商談化率や受注への貢献度を加えて精度を高めます。
まとめ:インサイドセールスは「仕組み」で成果が決まる
インサイドセールスは、マーケティングと営業をつなぎ、リードを質の高い商談に変える内勤型の営業手法です。テレアポとの違いは中長期の関係構築にあり、成果を出すには部門間の連携ルール、人材育成、そして顧客データの一元管理という「仕組み」の設計が欠かせません。
その仕組みの中心になるのがMAです。リードの獲得経路から行動履歴、架電記録までを一元管理できれば、この記事で紹介した「登録直後の架電」も「リードソースの見直し」も、データにもとづいて実行できます。
シャノンMAは、リード管理・スコアリング・行動履歴の見える化でインサイドセールスの活動を支え、シャノン自身もこの環境で商談数180%増を実現してきました。累計3,000社の導入で培った伴走サポートとあわせて、インサイドセールスの立ち上げ・強化を検討中の方はお気軽にご相談ください。
◆インサイドセールスに欠かせないリスト管理についてまとめた資料のご案内
<資料を読んでわかること>
・インサイドセールス部門の役割と業務内容
・休眠顧客の掘り起こしに効くリスト作成
・MAの機能詳細がわかる製品資料付き






