予実管理とは、予算と実績を管理すること。
つまり、事業計画をどれだけ実現できているかを常に確認し、実績が思わしくない場合には早めに修正をしながら予算の達成をめざすことです。
企業や事業部門が成長するために不可欠な手法です。
予実管理は企業全体や営業部門だけでなく、どんな事業部門にとっても必要です。
シャノンではマーケティング部門の予実管理を実施して生産性向上に役立てています。
さらに、マーケティング部門と営業部門を連携し、全体の予実管理を評価することも有効です。
今回は、シャノンが実践する具体例を示してマーケティング部門の予実管理について述べ、さらに、データ連携のポイントも解説します。
※シャノンのMAツールは、マーケティングの予実管理ができる「ゴール機能」を備えています。
- 目標値として各種KPIの設定が可能
- 「リードの獲得」「リードのフェーズ引き上げ」などの月間目標数値を設定
- 目標の達成状況をグラフ化
企業マネジメントに欠かせない「予実管理」とは?予実管理の機能も確認
予実管理とは何かについて、その定義と機能を簡単に概観します。
【定義付け】予実管理とは、予算と実績を管理すること
予実管理とは何でしょうか。「予実」とは、予算と実績のことです。
予算とは、企業の経営計画に基づいてあらかじめ設定する目標金額のことです。
経費や売上などの各項目に対して予算を設定します。
実績とは、経営計画を実行した結果です。
予算と実績の数字を比較し、適切に管理することが「予実管理」です。
「予算管理」と呼ばれることもあります。
予算を上回る実績を上げるときもあれば、下回ることもあります。
大切なのは予算と実績の乖離を正しく評価し、必要な修正対応をしながら事業を進めていくことです。
予実管理表のシンプルな形は以下の通りです。
予実管理表で予算と実績を管理 | ||||
4月 | 5月 | 6月 | ||
売上 | 予算 | 15,000 | 18,000 | 15,000 |
実績 | 14,500 | 21,000 | 20,000 | |
予算比 | 97% | 117% | 111% | |
経費 | 予算 | 1,000 | 1,100 | 1,100 |
実績 | 1,200 | 1,100 | 1,050 | |
予算比 | 120% | 100% | 95% |
予実管理の項目
予実管理では「予算」「実績」が必須ですが、その他にもよく使用される項目があります。
予算
予算には売上予算と経費予算があります。
企業の経営方針に基づき、各部門の予算、部課の予算などが決まります。
それを上記の表のように月ごとの予算を設定して実績と対比させることが一般的です。
顧客別・商品/サービス別などで予算を設定することもあります。
実績
実績は、最も重要な企業の現状を知るための数字です。
売上や経費などの各項目の実績を予算と対比することで、順調に実績が上がっているのかそうでないのかを評価できます。
予算比
予算に対して実績がどの程度かを比率で表します。
売上の場合なら、「売上予算を何パーセント達成したか」がわかります。
差額
予算から実績を差し引いた「差額」を指標として用いることもあります。
売上の場合なら、「現在、売上予算に対していくら上回っているか、それとも足りないか」がわかります。
前年実績
前年同月の実績は、予算を決定する根拠のひとつであり、予実管理の参考値として使用されることもあります。
【予実管理の目的】数字を「見える化」し、企業や事業部門の成長を促進
予実管理の目的は以下の通りです。
1) 予算の達成状況を「見える化」する
月次の実績でも好調なときと不調なときがあります。
これらを「今月は業績が落ち込んだ」という人の認識だけでなく、数値として定量的に「見える化」するのが予実管理です。
2) リアルタイムで修正し、予算達成に近づける
予算と実績が乖離した事実を把握したときは、原因を特定してスピーディーに対処することで、目標達成の軌道に再び戻すことが可能です。
特に営業部門の予実管理ではリアルタイムに数字を把握し、週単位や日単位で予実の乖離に対処することが有効です。
3)数字を検証し、次期に向けてより適切な予算を設定する
半年あるいは1年などの期間にわたって予実管理を行うと、実績が上がっている部門とそうでない部門が出てきます。
適切な予算と人員の配分により、企業全体の業績を向上させることができます。
4半期ごとなど、よりスピーディーな予算配分の見直しが成果につながります。
4) ときには売上予算などの見直しを行い、あるべき成長の方向性を見極める
売上予算と実績が大きく乖離しているときは、以下3つの原因が考えられます。
①事業部門に原因がある
②売上予算の設定が高すぎる
③景気・市場ニーズの変化などの外的要因がある
このなかで、①は通常の予実管理の作業の中で原因を分析して対処していきます。
②と③は経営陣の判断を見直し、修正していくべき問題です。②であれば企業自身の問題を検証して適正な予算へと修正します。
③の外的要因が作用していると判断される場合には、事業構造の転換なといった対応が考えられます。
①~③のような対応を適切に行うために、予実管理が不可欠です。
予実の乖離を「見える化」して「修正」し、さらに適切な予算配分をしていくという1)~4)のような作業は、すべて「売上予算を着実に達成し、企業が成長する」という最終目的を目指す企業行動です。
専用ツールを導入することで、より戦略的な予実管理が可能
予実管理をエクセルシートなどで行っている企業は多いですが、SFA(営業支援システム)などのツールや予実管理専用ツールを使用している企業もあります。
管理ツール導入のメリットは、数字の入力や計算にかかる手間を省力化し、スピーディーに予実管理できることです。
また、予実管理の評価の基準となるKPI(Key Performance Indicator)の各種数値を自動計算したりグラフ化したりできるので、多角的な分析が可能です。
また、SFAなどのツールの活用は、後のセクションで紹介する営業部門とマーケティング部門、それぞれの予実管理の連携にも役立ちます。
SFAツールの導入やマーケティング部門との連携は、企業にとって不可欠なDX(デジタルトランスフォーメーション)をどう進めていくのか、という大きな方針に沿って進めていく必要があります。
シャノンが成果を上げている「マーケティング部門の予実管理」の手法とは
予実管理は営業部門だけでなく、どんな事業部門にも必要です。
シャノンのマーケティングチームでは、予実管理を実施しています。マーケティング部門における予実管理について、シャノンの実例をご紹介しながら解説します。
MAツールで月間目標となるKPIを設定し、達成度を評価・分析
シャノンのマーケティング部門では月間目標となるKPIを設定し、毎月の達成度を評価しています。
目標は、たとえば以下のように設定します。
- 資料請求したリード数
- 資料請求したリードにインサイドセールスが架電した結果、商談可能となったリード数
毎月の目標の達成状況は棒グラフで可視化。最新の達成状況、時系列での達成度の推移などを確認できます。
(以下はデモ画面のキャプチャですので、実数ではないことをご了承ください)
目標とするKPIはほかに、以下のようなものがあります。
- 新規獲得リード数
- ウェビナーへの申込数・参加者数
- メルマガの開封率
また、マーケティング部門では実施した施策費用対効果の検証も重要です。
メルマガ、架電、ウェビナー、ホワイトペーパーなどの施策のうち、何が結果に結びついているかについても、MAツールによって検証することができます。
シャノンのMAツール マーケティングプラットフォームは、予実管理のためのゴール機能を備え、自社の目標設定に役立つ各種KPIの設定・管理・分析ができます。
購買ピラミッドを使ったフェーズ引き上げ割合の予実管理
シャノンでは、獲得したリードの「引き上げ」を重視し、「フェーズの引き上げ度合い」に注目した予実管理も行っています。
これには「購買ピラミッド」を使用します。
購買ピラミッドで一番下の段階である「認知」から、「興味・関心」、さらに「比較・検討」「商談」とフェーズを引き上げていくのがマーケティング部門の「リードナーチャリング」です。
リードナーチャリングの詳細については、リードナーチャリングとは?MAツールを武器に、BtoBリードナーチャリングで成果を上げるための5つのステップの記事を参照してください。
たとえば以下のように目標値を設定します。
- 「比較検討」から3か月以内に「商談」へと引き上げる割合が25%
- 「認知」から3か月以内に「興味・関心」へと引き上げる割合が30%
これらの引き上げ目標を実施したマーケティング施策とともに予実管理して、常に目標達成度をチェックしていきます。
マーケターは目標達成を意識して、より効率の良い引き上げ施策を実施する姿勢を明確にできます。
マーケティングの予実管理とSFAの予実管理を連携するときのポイント
最後に、MAとSFAの予実管理を連携する方法やメリットを解説します。
マーケティング部門と営業部門、予実管理を連携することのメリット
企業の営業部門では予実管理が欠かせませんが、マーケティング部門でも同等の予実管理をすることにより、以下のようなメリットが生まれます。
1) 2つの部門の比較や全体の評価がしやすくなる
2) 両部門で目標の共有がしやすく、コミュニケーションが円滑・活発化する
3) 経費予算や人的資源の最適な配分がしやすくなる
しかし、マーケティング部門と営業部門の予実管理はそれぞれ異なるゴールを目指していて、設定する目標数字や達成度の持つ意味合いは大きく違います。
両部門で「何をどう連携するのか」には注意したいところです。
マーケティング部門と営業部門それぞれで予実管理を行い、共通KPIを連携する
マーケティング部門はリードの獲得数や引き上げ率、営業部門は受注額など、違った目標値を基準に動いています。
両者に共有できるKPIとしては「商談発生数」があります。
営業部門では、マーケティング部門から引き渡される「商談可能リード」の何割が実際に商談できたか、商談のうち何割が受注に結び付いたか、また、商談件数に対してどの程度の総売上となったか、などを予実管理で評価します。
マーケティング部門では「獲得リードが商談化した割合」などのKPIを目標値として管理します。
それぞれの月ごとの結果などを連携・共有し、お互いの予実管理に活かしていくことができます。
マーケティング部門と営業部門の共通KPIについて、詳しくはこちら
マーケティング部門、と営業部門で別個に予実管理をしながら、「商談件数」のような共有できる結果を連携することがポイントです。
正確な最新情報を共有できるよう、予実管理には自社に合ったMAツールやSFAツール機能を活用することがおすすめです。
※シャノンのMAツール マーケティングプラットフォームはマーケティング目標の予実管理ができる「ゴール機能」を備えているほか、各種SFAツールと連携できる「シャノンコネクト」を実装しています。
まとめ
本稿のポイントは以下の4点です。
1. 予実管理とは、予算と実績を管理することです。企業や事業部門が着実に成長するために欠かせない会計管理です。
2. 予実管理の目的は以下です。
1) 予算の達成状況を「見える化」する
2) リアルタイムで修正し、予算達成に近づける
3)数字を検証し、次期に向けてより適切な予算を設定する
4) ときには売上予算などの見直しを行い、あるべき成長の方向性を見極める
3. マーケティング部門でも予実管理が有効です。シャノンのマーケティング部門ではKPIによる目標設定やフェーズ引き上げ割合の達成率で予実管理を実施しています。
4. マーケティング部門と営業部門はそれぞれで予実管理を行いながら、共通KPI「商談発生数」で連携することも有効です。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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