マーケターのみなさんはアトリビューション分析を実施していますか?
アトリビューション分析は間接的な流入を見ることで、これまでより幅を広く正確な効果測定が可能であることから注目をされています。しかし実際の導入に踏み切れているマーケターはまだ多くありません。
今回は、(株)ビービットのソフトウェアサービスコンサルタントである生田啓氏にアトリビューション分析の具体的な手法や間接行動の解析に強いツールWebAntennaで出来ることについてお話を聞きました。
アトリビューション分析の前に適切なコミュニケーション設計を。
ーー まずはじめにアトリビューション分析はどんな分析手法なのでしょうか?
ひとことで言えば、ユーザーが過去に接触した広告を把握して分析対象にするという考え方です。
初回のコミュケーションで認知をしてもらい、その後に検討頂いてから申し込みや購買いただくという全体のコミュニケーション設計に対して効果測定をしていくのがアトリビューション分析の本質です。
これまでの効果測定の指標は、ラストクリック型と言われる刈り取りに重点を置くマーケターが多かったんですが、それだと効率は良いものの思うように数字が伸びずに壁に当たってしまう企業も少なくありません。認知の広告を出しても、正しく評価する方法がわからないという企業やマーケターの方が多い中で結果的にアトリビューション分析の必要性がでてきました。
これからアトリビューション分析に取り組んでいくマーケターは「認知獲得向けにちゃんと広告を作る」それに対してまずは「初回接触数を見る」という部分を見るのがわかりやすい指標になります。
ーー コミュニケーション設計とはどのようなものですか?
コミュニケーション設計とは、認知と刈り取りのコミュニケーションを別々にして、それぞれの流れを作ってあげるということです。
コミュニケーション設計では流入先を二段構えに作っておいて、最初に認知用のコミュニケーションに訪れたユーザーが離脱することを許容します。その後、ユーザーが再来訪した時にしっかりと刈り取っていくという流れを設計します。
ただし、企業やマーケターの中でもコミュニケーション設計がきちんとできる方は極めて少ないので、みなさん正しく戦略を立てられずに悩んでいるケースが多いです。
広告をどこに出すか、何を出すか、ランディングページでどう受けるか、はコミュニケーション設計のセットですので、この3点をうまく表現していくことが重要です。
ーー 現状、コミュニケーション設計がちゃんとできるマーケターは多いですか?
認知、刈り取りを予算分けをそこまで考えて実践している企業は少ないと思います。
理由は認知予算を作ったとしてもどのように評価していくのかわからないケースです。刈り取りはラストクリックの数字を見ればいいですが、認知は何を見るのかが決められず予算がそこに割り振りづらい場合が多くあります。
もうひとつは、マーケターの心情です。アトリビューションを考慮したコミュニケーション設計をしていく場合、一部を認知に寄せるのはマーケターにとって割り切りが必要で、心情としては認知だとしても「ちょっとは刈り取れると嬉しい」などの思いが出てしまうと、内容がブレてしまいます。
数字が下がってしまうリスクの中で、刈り取り分の予算を削って認知に廻すという割り切りはなかなか難しいところだと思います。
ただ、競合環境が厳しく、ラストクリックを追っていても獲得効率が悪く数字が伸びていかない危機感の強い企業であるほど、自発的に取り組んでいっています。
ーー コミュニケーション設計をせずにマーケティングを行っていた企業のうち、効果が出せているケースはあるのでしょうか?
客観的に見ると効果があまり無かったケースの方が多いと思います。
効果が見えなかった企業のほとんどは「認知だと思われている広告媒体に出稿するだけ」なのです。例えばバナー広告は認知に効くと言われているから出稿したけれど、それ以外は何も変えないようであると出稿先を変えただけになってしまいます。コミュニケーション設計をしっかりとして全体の流れを作ってあげないとアトリビューション分析というのは意味がありません。
ーー コミュニケーション設計を取り入れた事例を交えて詳しくお聞かせください。
セキュリティサービス会社での事例をお話します。期間は企画して設計から分析までの1サイクルで1ヶ月から2ヶ月程で実施していました。
この会社は自社のサービスが如何にすばらしいかという認知向けのランディングページを広告掲載していましたが数字がどうにも伸び悩んでいました。理由は明確で、他社より価格優位性は高くないので、ランディングページを訪れても価格で負けてしまいコンバージョンに至らないという現状が明確になりました。
結果を受けたセキュリティサービス会社は今までのコミュニケーション設計を見直し、ランディングページの内容をセキュリティサービスの選び方を教えるというものに変更しました。ユーザーはセキュリティサービスの比較方法を価格ぐらいしか知りません。しかし安全安心を買うサービスなら、拠点数が大事であり多いほど自宅に近いところに拠点があるため、より早く駆けつけてくれます。そこを見落とすと安かろう悪かろうになってしまうことを伝えました。
ここではいったんユーザーが離脱して他社との比較をしてもらいます。比較したユーザーは価格とあわせて拠点数も検討項目として考慮するようになるのですが、実はこの会社の拠点数は他社よりも優位性が高かったのです。それを経て戻ってきたユーザーが比較検討の結果、安い価格ではなくとも拠点数が多いことが判ったこのサービスを選び、結果的にはコンバージョンを2倍にまで伸ばすことができたのです。
アトリビューション分析がスムーズにできるWebAntenna
ーー 御社製品のWebAntennaについてお聞かせください。
WebAntennaは2007年のリリース後から、大手から小規模サイトまで幅広く導入されており累計700社以上に使っていただいている広告測定ツールです。
ポイントは、アトリビューション分析においてふたつ機能を持っている点です。
ひとつは、ダッシュボードの上でアトリビューション分析が簡易的にできるという点です。コンバージョンクリック数に対して、直接、再来訪、アシストなどの内訳により間接効果がどれぐらいあるのかを画面上で見ることができます。広告種別もメール、バナー、リスティングなどに分かれていますが、クリックすれば媒体ごとに内訳を見ることができます。ツール上で画像も表示確認できますので、どのビジュアルが効果があったのかが判り、ダッシュボード上で簡易的に使いやすくアトリビューションの効果を見ることができます。
もうひとつのポイントはExcelマクロを使って、より詳細なアトリビューション分析ができるようになっているコンバージョンレポートというツールをご用意しております。コンバージョンしたお客様がどのように広告に接していたのかを180日前まで全て記録しており、様々な分析をマーケター自身でできるようにしています。
WebAntennaの利用ハードルはそれほど高くはありません。ダッシュボードだけで完結する場合もありますし、Excelマクロを使って高度に分析するマーケターもいます。導入予算は最低、2万円からなので価格的にも導入しやすい点も特長です。
ーー このツールを使うことで、視点が変わったなと感じたマーケターはいらっしゃいますか?
データへの向き合い方が変わったマーケターは数多くいらっしゃいます。今までは代理店から広告レポートを月に一度もらっていたのですが、WebAntennaなら画面が見やすいのでダッシュボードは毎日の推移を自分でチェックするようになったという声をいただいています。間接効果のデータがデフォルト画面で見れるので、アトリビューション分析も踏まえての判断ができるようになったとお声をいただいています。
アトリビューション分析は魔法のツールではない。
間接的なコンバージョンを獲得するためには効果的な施策を打てるのかはコミュニケーション設計が重要だということがわかりました。
分析は魔法のツールではありません。分析したからといって数字が上がるということ決して無いので「困ったからアトリビューションしよう」というのはうまくいかない典型的なパターンです。
認知を取るためにはコミュニケーション設計からスタートしないと成果に繋がりません。そこがまずは一番大事なポイントです。
コミュニケーション設計をまずやって、それからアトリビューションを計測していくというのが大事ということです。頭でっかちにならず、正しいプロセスを理解して効果が出せるマーケターを目指しましょう。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
また、シャノンコンテンツアシスタントでは、主にセミナー集客メールのタイトルと内容、記事集客メールのタイトルと内容、記事本文の生成が可能です。
⇒マーケティング専用 生成AIクラウドのサービスサイトはこちら