マーケティングや営業活動の施策として有効な「展示会」。
ただし、展示会への出展には、費用も人手もかかります。
かけたコストに見合う成果を上げるためには、とにもかくにも集客。そのためには、スタッフの動員、資料やコンテンツの準備とともに、展示会ブースのデザインや演出の工夫も重要です。
今回は、「集客できる展示会ブースの作り方」について解説します。
シャノンは近年展示会に力を入れており、2023年には9つの展示会に出展。なかでも「DX 総合EXPO 2024 春 東京」では、1年前の同一イベントと比較し名刺獲得数が148%増加しました。
試行錯誤の末、実績を上げたシャノンのブース作りの事例もご紹介いたします。
└展示会における実際のシャノンブース
そもそも展示会とは?展示会の種類を確認
企業が出展する展示会の目的や種類について確認します。
展示会とは、企業が商品やサービスを紹介するイベント
展示会とは、企業が自社の商品やサービスを幅広く顧客に紹介するイベントです。
その一番の目的は商品やサービスの売上アップですが、業界、見込み客、既存顧客などと相互理解を深めることも大切な目的です。
展示会は、企業と顧客が直接交流することができる貴重な機会です。
英語では展示会を「Exhibition」や「Trade show」「exposition」などと呼びます。
一般の展示会には、エキシビション、トレードショー、エキスポなどのカタカナ名や、「~博」「~展」など、さまざまな名称がつけられています。
展示会の種類
展示会には、以下のような種類があります。
合同開催か、単独開催か
一般的に展示会といえばイベント会社が主催するイベントに複数の企業が出展する合同開催です。
しかし、一つの企業や団体で展示会を単独開催する場合もあります。
クローズドか、オープンか
特定の招待者のみが参加できる非公開でクローズドな展示会と、幅広く誰でも参加できるオープンな展示会とがあります。クローズドの展示会をプライベートエキシビションと呼ぶこともあります。
BtoBか、BtoCか、その両方か
展示会は主にBtoBビジネスの業界で開催されてきましたが、「コミックマーケット」「ニコニコ超会議」など、BtoCの大規模展示会も増えています。また、BtoBとBtoCどちらも対象とする「東京ゲームショウ」のような展示会もあります。
オンラインか、オフラインか、その両方か
オフラインの場合、東京ビッグサイトや幕張メッセなどで大規模な展示会が開催され、多くの出展者・来場者が一堂に会して交流できます。来場する参加者は交通費や移動時間がかかりますが、会場では直接の対話やリアルな展示により充実した体験が得られます。一方、オンラインの展示会はいつどこからでも参加できることがメリットです。オフライン、オンラインどちらでも参加できる「ハイブリッド展示会」も実施されています。
参考:オンラインイベントとは?メリットや会社のファンを増やす方法を紹介
このように、展示会にはいろいろな種類があります。
以下では、「オフライン」「合同開催」「BtoB」の最も一般的な展示会出展を想定して解説を進めます。
展示会へ出展することのメリットとデメリット
展示会への出展は、有効なマーケティング施策のひとつでメリットが多いですが、デメリットもあります。
展示会へ出展するメリット
展示会へ出展するメリットとして、以下があります。
リードの獲得
展示会ブースでは、来場した多くの方と名刺を交換して、貴重な見込み客(リード)のデータを得ることができます。
もちろんそのなかには、自社の製品・サービスへの興味が高い「ホットリード」も含まれます。ただし購買意欲が高い見込み客は、競合他社のブースにも立ち寄っています。できるだけ多くのリードを商談へと導いていくには、展示会後の素早いフォローが重要です。
また、リードのなかには現在はニーズがない人もいます。これらの「コールドリード」に対しては、長期的にメールなどでコミュニケーションをとり、興味・関心を引き上げていく施策を実施します。
リードのフォローについてくわしくは、以下の記事をご覧ください。MA(マーケティングオートメーション)を活用してスピーディーに展示会来場者をフォローする方法、リードの関心度合を引き上げていく方法を紹介しています。
参考:展示会はアフターフォローが重要!具体的な方法や成果を出すコツを解説
企業や商品の認知度向上
展示会への出展は、多くの来場者に企業名、商品名を認知してもらえるチャンスです。
また、大規模な展示会にはさまざまな属性の来場者が訪れるため、自社のマーケティング施策でリーチできていなかった企業や人にも認知される機会となります。ブランディング効果も期待できます。
既存顧客との関係性向上
展示会には、見込み顧客だけではなく既存顧客も訪れます。
既存顧客に対して新商品や新サービスを紹介するため、Webサイト、メールマガジン、SNSなどで事前に告知して来場を促す方法も有効です。
また、展示会の機会を利用して既存顧客の困りごとや要望を聞くことで、商品開発に反映させたり、サービス改善につなげられたりできます。直接コミュニケーションをとることで顧客満足度を高め、ロイヤリティー向上を図ることができます。
最新の顧客ニーズをリサーチできる
来場者と直接言葉を交わすことにより、顧客のニーズ、要望を詳細にリサーチできます。企業それぞれがかかえる課題についても、最新の動向を知ることができます。
展示会へ出展するデメリット
展示会出展のデメリットとして、以下があります。
出展コストがかかる
大規模な展示会への出展にはかなりの費用がかかります。良い場所、広い展示スペースを確保しようとすればそれだけ出展料が高くなります。出展料のほかに、展示会ブース設営費、スタッフの人件費なども必要です。
準備にリソースがかかる
展示会のスペースに応じたブースデザイン、機材の準備、資料やノベルティグッズの準備、当日の設営など、多岐にわたる出店準備のために人や資金のリソースが必要です。
成果が出るまでに時間がかかる
展示会で獲得したリードにはホットリードもありますが、今すぐのニーズがないコールドリードもあります。長期で適切なフォローを行い、コールドリードの興味・関心を引き上げていくまでには手間と時間がかかります。このため、短期的には、「展示会に出展したものの、投じた費用を回収できなかった」となりがちですが、中長期で効果測定をしていく必要があります。
このように、展示会出展にはデメリットもあるため、「費用に見合う成果を上げられるか」が重要です。そこで、人を集められる展示会ブース作りが重要になってきます。
成果が上がる展示会ブースの作り方
費用対効果を高めるためには、集客できる展示会ブース作りが大事です。以下で展示会ブース作りのポイントを解説します。
展示会ブース設営までの準備
展示会ブースの準備は多岐にわたります。展示会当日に間に合わせるため、事前にスケジューリングして確実に進めていく必要があります。
展示会までの準備の流れは、以下の通りです。
1.出展の目的を定め展示会へ申し込む(展示会12か月前~6か月前)
自社で出展する目的を定めます。出展する目的によって、ブースや当日のオペレーションの方向性が決まるため、「なぜ出展するか」を明確にすることが欠かせません。
例えば、「リード獲得」を目的にするのであれば、自社のブースへ入ってもらえるような導線が必要でしょう。「認知度の向上」を目的にするのであれば、歩く人の目に入るような目立つ工夫が必要だと考えられます。
チームで認識の共有ができたら、展示会への出展の手続きを行います。人気のある展示会では1年前など早めにエントリーすることもありますが、約半年前位に申し込むことが多いでしょう。
2.具体的な達成目標、内容やテーマを決める(展示会3か月前)
展示会での成果を見るためにも、具体的な目標設定は欠かせません。
シャノンの場合、リード獲得を目的に展示会へ出展しているため、名刺数、バーコードも含めた総獲得リード数、商談数を追うことが多いです。
3.出展ブース施工会社、デザインを決める(展示会3か月~1か月前)
3か月前までには出展ブースの施工会社を決めて、デザインを依頼します。施工会社が決まっていないときには数社から相見積もりをとって検討する時間も必要です。
4.機材、ノベルティなどを手配する(展示会1か月前~)
モニター、音響機材、動画素材、ノボリやパネル、ノベルティなど、必要な備品を手配します。
5.人員を確保し、必要なトレーニングをする(展示会1か月前~)
展示会ブースには人員が配置されてはじめて機能します。所定の位置に就くスタッフのシフトを決め、集客のための声掛けなど、必要なトレーニングを行います。別途費用をかけてコンパニオン派遣を依頼することもあります。
6.展示会場でのブース設営(展示会直前)
展示会会期の前の所定の日にブース設営を行います。資料やノベルティなど、自社で用意して持ち込む品については早めに準備を終えておきましょう。
集客が増える展示会ブースのポイント
集客が増える展示会ブース作りのポイントとして、以下があります。
目に留まる仕掛け
まずブースに立ち寄ってもらうために、来場者の目に留まる必要があります。
写真は2023年秋のシャノンの展示会ブースです。遠くからでも視認できるよう、高い位置に社名、ロゴ、サービス名を表示することが基本です。その下にはキャッチコピーを表示した看板、正面ひな壇には多くのPOPやパネルを配置して、何だろうと気になり、近づきたくなる展示を意識しています。
└まるでド●キを彷彿とさせるブースで歩いている人の足を止めることが目的
ブースに滞留する仕掛け
ブースで足を止めた来場者がそこに一定時間とどまり、展示を見て、スタッフと会話を交わし、名刺交換をすることが目標。そこで、ブースの通路側に展示台を設置して、来場者が興味を引きそうなコンテンツ、触ったり試したりできる体験スペースなどを配置します。
└ホワイトペーパーを設置した書店風ブースで展示を見て会話の切っ掛けをつくる
覚えてもらうための仕掛け
来場者にアフターフォローのメールや電話をするときのことを考えて、「記憶に残る」ための仕掛けをすることもポイントです。たとえば、お菓子のつかみ取り、光るおもちゃなどです。
└お菓子のつかみ取りでお客様に覚えてもらう
シャノンの場合は後日、『お菓子のマーケティングオートメーション企業から「追加のおみやげ」【ご来場の御礼】』というタイトルでサンクスメールを送りました。電話フォローの際も同様です。
相手が「ああ、あのお菓子のつかみ取りをしていた企業か」と覚えてくれる確率が高まります。
このように展示会当日だけではなく、後日フォローする際のことも考えることが有効です。
導線の工夫
気軽に入りやすいレイアウトにすることが重要です。入ってみようという気持ちにさせるためには、内部まで見通しがよく、何をしているかが外からも見える設計にして、通路幅は120cm以上確保します。
入口付近では興味を引く動画を流し、さらにブース内ではその続きをパネルで見せるといったように、コンテンツのストーリーをつなげることも効果的です。
以下は、ブースのレイアウトパターンの例です。
ブースのレイアウト分類 | 内容 |
---|---|
セミナー型ブース | 時間を決めて定期的にセミナーを行うブース。椅子を用意するなど、参加者が集まりやすいレイアウトにします。 |
体験型ブース | 商品をその場で体験できるブースです。体験できるよう、スペースを広く確保するレイアウトにします。 |
商品展示型ブース | 販売している商品を展示するブースです。実際の店舗のようなレイアウトにします。 |
商談型ブース | 商談を重視したブースです。座って話せる商談用スペースを広めに確保するレイアウトにします。 |
集客担当と接客担当を分ける
声掛けを絶やさないことが大切ですが、役割が不透明だと接客にまわりがちで集客する人がいない、という状況になりかねません。集客に専念するスタッフを配置することで、集客する人がいなくならないというメリットに加え、接客担当が接客に集中できるといったメリットもあります。
参考:\展示会でブースに人を集めたい!/ 属人化を解消し平均値を上げた集客声がけの泥くさ~い改善
集客ツールの活用
多くの企業が出展している展示会で、自社ブースに人を呼び込むため、ノベルティは複数用意して活用しましょう。展示会で配布するノベルティの例として、以下があります。
- など
こうしたノベルティは集客効果があるうえ、相手の印象に残りやすいこともメリットです。
会社紹介資料やパンフレットといった接客ツールは、集客後に渡します。
ブースに集客する目的である集客ツールと、説明を補助する目的の接客ツールを分けて準備します。
展示会ブース作りの注意点
展示会ブース作りの注意点として、以下が挙げられます。
他社ブースと差別化する
セオリー通りのレイアウト、デザイン性にも優れたブースを設置しても、隣り合う多くの企業ブースと似てしまい、結果として埋没してしまうことがあります。そうならないためには、準備段階で他社ブースとの差別化ポイントを意識する必要があります。参加予定の展示会と類似の展示会を訪れて、目立つブースはどう作られているのか、リサーチしてみるのもいい方法です。
まずリード獲得数を重視する
人を集める演出を工夫すると多くの人が集まります。しかし、「結局購入意欲のある人は少数だった」という結果になってしまう可能性もあるので、「過度な客寄せ」を避けるという考え方もあります。しかし、購入意欲が高い顧客に出会うためにはまず母数を増やすことに徹して、集客を重視することがおすすめです。
商談可能なスタッフを配置する
集客がうまくいったにもかかわらず、多くの人をスムーズにさばききれず、商談の機会を逸してしまったら大きな損失です。展示会ブースの人員は声掛け担当と接客担当を分けて、接客担当にはその場で金額交渉などの商談が可能な担当者を十分に配置しましょう。
展示会ブースの費用相場
展示会ブースを出展するにあたり、ブースの広さに応じた料金がかかります。
展示会ブースの出展費用は、「一コマ」という単語でよく表されます。一コマは通常、展示会においてブースを設置できる最小単位のスペースを指し、一般的には約3m x 3mのスペースを指すことが多いです。
1小間あたり50万円程度の出展料が相場です。
また、ブースを施工業者に依頼した場合、デザイン料、材料費、施工費用が必要となります。できるところは自社で準備する場合は費用を抑えることができます。照明やWi-Fiは出展費用に含まれることもありますので、主催者への確認が必要です。
名刺交換数を倍増させたシャノンの展示会ブースとは?
シャノンは2022年~2023年、多くの展示会に出展しました。そのなかで、顕著な成果を上げられた展示会ブースのデザイン、演出の事例をご紹介します。
名刺獲得数を倍増させた「ドンキ風ブース」
「来場者に足を止めてもらえるブースとは?」と考え、「ドンキ風」というコンセプトとデザインを立案しました。
ポイントは以下です。
実際に、ドン・キホーテの店舗や書店のPOPを見に行き、参考にしました。
このように、情報量が多く賑やか。
他のスマートなブースとは全くちがう仕様です。POPやパネルはチーム総出で手作りしました。
今までとは違うこの展示会ブースで、名刺交換の枚数が倍増という成果を上げることができました。
くわしくは、以下の記事で紹介しています。
参考:【BtoB展示会】目指したのはド〇キ?シャノン流ちょっとおかしなブースの作りかた
500人のお客様をブースに呼び込んだ「マーケティング漫才」
前述したように、展示会ブース作りでは、来場者に「足を止めてもらう」「とどまってもらう」「覚えてもらう」ことが重要。そのための演出として、展示会ブースで「マーケティング漫才」を実施しました。
芸人さんたちに、マーケティングオートメーションやChatGPTをネタにしたオリジナルの漫才を披露していただきました。
結果は、1日5回のステージを実施して、3日間で約500人のお客様を集めることができました。
漫才終了後はノベルティを配布する列に並んでいただき、接客につなげる導線を設けています。
「マーケティング漫才」については、以下の記事でくわしく紹介しています。
参考:【展示会で検証】プロ芸人による漫才に集客効果はあるのか?マーケティング漫才やってみました。
シャノンでは今後も、展示会ブースのさまざまな試みに挑戦していきたいと考えています。
まとめ
本稿のポイントは以下です。
1. 展示会へ出展することは多くのメリットがありますが、費用がかかるというデメリットがあり、費用対効果を上げることが不可欠です。展示会での集客を最大化するためには、展示会ブースのデザインや演出も重要です。
2. 集客が増える展示会ブースのポイントは以下です。
- 来場者の目に留まる
- ブースに滞留する
- 覚えてもらう
- 導線の工夫
- 自然な声掛け
- 集客ツールの活用
3. 展示会ブース作りの注意点として、以下があります。
- 他社ブースとの差別化
- まずリード獲得数を重視する
- 商談可能なスタッフを配置する
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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また、シャノンコンテンツアシスタントでは、主にセミナー集客メールのタイトルと内容、記事集客メールのタイトルと内容、記事本文の生成が可能です。
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