今回はイベントプランナーを取り上げます。
プレスリリース掲載サイト「PR TIMES」が発表した「PR TIMESキーワードランキング2022」によると、2022年のプレスリリース頻出キーワードベスト3は「SDGs」「DX」「イベント」だそうです。
同発表ではさらに2022年の上昇キーワードとして「イベント」「NFT」「メタバース」が挙げられました。
両方に入っている「イベント」は注目の分野だということがわかります。
現在、消費スタイルは「モノ消費」から「コト消費」、さらに「トキ消費」へと変化していると いわれています。「トキ消費」とは、ハロウィンやフェスなど、「今そのときだけの」体験のこと。つまりイベント全般です。
こうした状況にあって、イベントプランナーは今後さらに必要とされる仕事だといえるでしょう。
今回は、イベントの企画・運営を行う専門職である「イベントプランナー」の仕事内容、なり方などについて解説していきます。
イベントプランナーとはどんな仕事?
イベントプランナーとはどのような仕事か、年収や将来性などについて紹介します。
イベントプランナーとは
イベントとは催し物全般のことです。
ただし英語の「event」の意味は行事のほか出来事、事件、事象などさまざまな意味がありますが、日本語の「イベント」はとくに催し物のことを指す外来語として定着しています。
イベントの企画、提案、準備、管理運営などを行うのがイベントプランナーです。
イベントコーディネーター、イベントプロデューサーなどと呼ばれる職種もあります。これらはイベントプランナーのリーダー的な存在のこともあれば、イベントプランナーと同じような仕事内容のこともあります。
イベントにはどのようなものがあるでしょうか。
スポーツ、音楽、文化、飲食、芸能、ファッションなどのジャンルで一般の人が参加して楽しむイベントがまず思い浮かびますが、展示会、セミナー、プロモーション、社内イベントのようなビジネス系イベントもあります。
さらに各地域の祭りや行事、子ども向けイベント、政治や学術分野のイベントなどもあり、イベントプランナーが活躍できる場は多種多様です。
イベントプランナーの年収と将来性
イベントプランナーの年収は企業や業種によってかなり違います。
イベントを手掛ける大企業といえば電通や博報堂などの大手広告代理店です。大企業なら年収1,000万円以上も可能ですが、その他のイベント企画・制作会社では年収300万円~800万円程度と言われています。
次にイベント業界の将来性を見てみましょう。
以下はイベント事業も展開している企業「ぴあ 」によるライブ・エンタテインメント市場の将来予測です。企業イベントなどを含めたイベント全体のデータではありませんが、参考になる情報です。
2010年から10年で市場規模は約2倍に拡大しています。また、コロナ禍でイベント市場が大きく落ち込んだため過去の水準に戻るのは2023年であること、しかしその後はゆるやかな拡大傾向であることがわかります。
イベントは今後も増えていくと予測され、イベントプランナーという職業にも将来性があると期待できます。
イベントプランナーの仕事内容
イベントプランナーの仕事内容として、以下があります。
イベントの企画
企業から「社内活性化をしたい」などの依頼を受けてイベントの企画を考えたり、ゼロからイベントを企画したりします。イベントの企画にはアイディアが求められるほか、現代のニーズやトレンドをとらえ、それに応えることも大切です。
イベントの提案
企画したイベントを企業や自治体へ提案する営業活動です。他のイベント会社とコンペで受注を競うこともあります。
集客
イベントの収益や成果を上げるための重要な仕事です。販促物作成や広告、メール、各種プロモーションなどの手段で集客をします。有料イベントの場合は価格設定も重要です。
参考:イベント集客のコツと方法を徹底解説。メール戦略で集客に成功した事例も紹介!
開催準備
イベントの期日までに必要な準備をします。会場や人の手配、スケジューリング、資材調達など、多岐にわたるタスクがあります。
運営管理
イベント当日は事務局として全体を進行・管理します。不測の事態が起きたときの対応も重要な仕事です。
以上のように、イベントプランナーがやるべき仕事は幅広い内容です。
大企業では分業体制となりますが、小さなイベントあるいは小規模な会社の場合、イベントプランナーは上記すべての仕事を担当します。土日開催のイベントも多いので、休日出勤が多くなりがちな仕事でもあります。
イベントプランナーのやりがいと難しさ
イベントプランナーは日々新しい体験ができる刺激的な仕事です。
イベントプランナーとして自分がアイディアを出して企画したイベントに、多くの人が集まったり、盛り上がったりすれば大きな喜びを感じるでしょう。
イベントプランナーは冒頭で紹介したように「トキ消費」を演出する仕事です。
限られた時間のなかで参加者に「楽しい」「感動的」「ためになる」など、その時間だけの価値ある体験を提供できることがイベントプランナーのやりがいといえます。そして、参加者と「トキ消費」の場を共有することにも価値を感じられます。
一方で、イベントプランナーの難しさもあります。イベントの企画が思うように通らない場合は売り込みに苦労すること、毎回集客にパワーがかかることなどが挙げられます。
また、華やかなイベントでも準備は地道な仕事です。当日のあらゆる場合に備えて綿密に準備をしていく必要があり、仕事量は多く責任もあります。
イベントプランナーになるには
イベントプランナーになるために学ぶこと、会社選びなどについて解説します。
イベントプランナーになるための進路
イベントプランナーになるための進路はひとつではありません。普通高校から一般の大学に進むか、イベントに関連する学科がある専門学校で学ぶ人が多いですが、企業によっては新卒採用で大卒資格を求めることもあります。
卒業後は、広告代理店やイベント企画制作会社に就職します。
広告代理店にはイベント事業部門がありますが、広告制作や営業の部署に配属される可能性もあります。
また、イベント専門会社と称していても、リサーチやプロモーションなど事業を多角化している会社も多いです。どうしてもイベントの仕事に就きたいという場合、会社の事業内容をよく調べる必要があります。
「音楽イベント」「企業イベント」など特定の分野に特化したイベント企画会社も多いので、自分が希望するジャンルの会社を選びましょう。
イベント企画会社の例として、たとえば以下があります。
■乃村工藝社
博覧会や展示会のディスプレイ政策から始まった、歴史あるイベント制作会社です。
■丹青社
総合ディスプレイ業でイベント制作、大規模空間演出などの事業を展開しています。
■イベントファクトリー
企業イベントや地域イベントを多く手掛けています。
■電通ライブ
電通グループのイベント事業専門会社です。
■博報堂プロダクツ
博報堂グループのイベント事業専門会社です。
■ビー・エム・シー
歴史あるテレビ番組制作、イベント企画制作の会社です。
■日経BP
日経系のメディア事業のほか、イベント事業も手掛けています。
■セレスポ
スポーツイベントの実績が多い会社です。
他にも大小さまざまなイベント事業を展開する企業があるので、調査して自分がやりたいことができそうな企業を選びましょう。
イベントプランナーの資格、学ぶこと
イベントプランナーは経験や実績によって評価されることが多いです。
しかし、イベントプランニングに必要な知識を身につけたことを示せる資格として、以下があります。
イベント検定
イベント業界の人材が知るべきイベント知識の検定です。
イベント業務管理士
イベントの管理と品質向上のために必要な知識の資格制度です。
イベントプランナーに特化した学問はありませんが、経済・法律・情報・環境などの一般的な知識をしっかり学び、メディアや書籍から最新情報を取り入れて、教養をつけておくと、将来イベントプランナーとしてアイディアを出したり、企画をまとめたりするときに役立つでしょう。
イベントプランナーに向いている人
以下のような人がイベントプランナーに向いています。
時代のニーズに敏感で発想力がある人
「他にはない体験」ができるイベントが求められています。他のイベントと差別化して参加者により満足してもらうため、独自のアイディアを発想できる人が向いています。
着実に進行管理ができる人
複数が同時進行するイベントの準備をミスなく着実に、適切に管理しながら進めていける能力が必要です。
コミュニケーション力、プレゼンテーション力がある人
イベントの企画を企業に提案したり、スポンサーを集めたりするために、対人関係能力やプレゼンテーションの力が求められます。
仕事を達成する責任感がある人
準備が間に合わない、集客が進まないなと、イベント現場に困難はつきものです。そんなときもあきらめず、必ずイベント当日には成功させるという責任感が必要です。
このように、イベントプランナーは、会社の営業部門・企画部門・総務部門などすべてに所属しているかのような幅広い能力が求められます。大変さもありますが、ルーティーンではない仕事がしたい人には向いています。
イベント企画会社を自ら起業する方法も
企業に就職するのではなく、自分が考案したイベントで起業するという方法もあります。以下のような事例があります。
■SCRAP
ミュージシャンでフリーペーパー編集者だった加藤隆生氏が考案した「リアル脱出ゲーム」が大ヒットして、コンテンツを全国展開するとともに海外にも進出しています。
■タカラッシュ
大手旅行会社のセールスマンだった齊藤多可志氏が「宝探し」イベントで起業。地域おこしや企業イベントなどに展開しています。
■cluster
技術者の加藤直人氏はVR技術でバーチャルプラットフォームを制作して起業。現在はメタバースイベントの第一人者のひとりとして注目されています。
今までイベントとして認知されていなかった脱出ゲームや宝探しによるスキマ起業、最新テクノロジーによる起業など、新しい体験を事業化する例は今後も増えていきそうです。
イベントプランナーは、活躍の場が広がっている
イベントプランナーになる道は、イベント企画会社への就職や起業以外にもあります。「トキ消費」の傾向をふまえ、多様な領域でイベント需要が高まっています。
こんな業界でもイベントプランナーが必要とされている
以下のような業種でもイベントプランナーが必要とされています。
ブライダル
結婚式を「自分たちだけのイベント」ととらえて他にない体験を求める人が増えています。ブライダル業界では発想力のあるイベントプランナーを必要としています。
旅行業界
名所などの観光スポットをめぐる従来型の旅行から、体験型の旅行へとシフトする流れがあります。旅行会社、ホテル、観光施設などがイベントプランナーを必要としています。
商業施設・文化施設
ショッピングモール、テーマパークなどの「ハコモノ」を運営する会社では、集客できるイベントを常時開催しています。大型施設だけでなく、飲食店や書店、商店街などもイベントで集客することがあります。
「トキ消費の3要素」で仕事の幅を広げよう
以下は、博報堂生活総合研究所が示している「トキ消費の3つの特徴」です。
- 同じ体験は二度とないという「非再現性」
- 参加することが目的の「参加性」
- 参加者がイベントに貢献していると実感できる「貢献性」
これをそのまま「イベントに必要な条件」と読み替えることができます。いろいろな商品・サービスでこの3条件が必要とされ、「体験」が重視されています。
イベントプランナーへの転職を考えている人は、まず「トキ消費」をヒントに自分の仕事の幅を広げてみてはいかがでしょうか。
まとめ
本稿のポイントは以下の3点です。
- イベントは「トキ消費」として今後も注目の分野。イベントのマーケットは拡大傾向で、イベントプランナーは将来性のある仕事です。
- イベントプランナーの仕事は大変さもありますが、「他にない体験」を提供する、やりがいのある仕事です。
- イベントプランナーになるには、広告代理店やイベント企画制作会社に就職することが一般的ですが、多様な業界でイベントプランナーが求められていて、起業の例も多いです。
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