タッチポイント(顧客接点)とは

タッチポイントとは、企業と顧客との接点のことです。
例として、Web広告を見たり、店舗で接客を受けたり、メルマガを受け取ったりする機会が挙げられます。

デジタルの時代になって、タッチポイントの種類と量が急増しました。企業にとっては、効果的にタッチポイントを設定するための施策が欠かせなくなっています。

今回は、タッチポイントの意味や種類、重要性、タッチポイント強化の方法を解説します。最後にシャノンのタッチポイント施策もご紹介します!

タッチポイントとは? 意味や種類、なぜ重要かを確認

タッチポイントの意味、種類、重要性など、基本から解説します。

マーケティングにおけるタッチポイントとは

タッチポイントとは、商品やサービスを提供する企業と顧客の接点のことです。
日本語で「顧客接点」と呼ばれることもあります。

タッチポイントとは

具体的には、商品を購入する前に「Web広告を見た」、店舗で「接客を受け、商品を購入」などのほか、「使い方をお客様窓口に問い合わせ」のような購入後の接点もあります。

タッチポイントにはオンラインとオフラインがあり、現代ではオンラインのタッチポイントが増えています。

食品や日用消耗品の場合は店舗で見てすぐに購入、というようにタッチポイントが少ないですが、車や住宅のような高額商品ではいくつかの選択肢を比較してじっくり検討するため、タッチポイントが多くなります。
また、BtoCに比べて取引の単価が高く、検討期間が長いBtoBにおいても、タッチポイントは多い傾向です。

タッチポイントとチャネルの違い

タッチポイントと似た用語に「チャネル」があります。また、関連用語に「カスタマージャーニー」があります。これらの意味を確認しましょう。

チャネル

チャネルとは、企業と顧客が接点を持つための手段のことです。具体的には、

  • Web広告
  • Webサイト
  • メールマガジン
  • SNS
  • DM
  • 電話
  • 店舗

などが挙げられます。

タッチポイント

これに対してタッチポイントとは、チャネル施策の結果として生じる、個々の「接点」そのものをいいます。

たとえば、「Web広告」というチャネルにより、多くの人がWeb広告を目にします。
その結果として、『「商品Aについて動画で紹介するWeb広告」を何月何日何時にXさんが見た』という1つの接点が、タッチポイントです。

チャネルについては、以下の記事でくわしく解説しています。
参考:シャノンが実践!効果を実感した「マルチチャネル・スコアリング」とは?

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーは、顧客がある商品を知り、検討して購入するといった購買体験の流れのことです。カスタマージャーニーの流れに沿ってタッチポイントをまとめたものを「カスタマージャーニーマップ」といい、必要なタッチポイントを整理する方法のひとつです。

参考:カスタマージャーニーとは?わかりやすく概念や作り方を解説。シャノンが提案する「購買ピラミッド」も紹介!

タッチポイントの種類

タッチポイントにはオンラインとオフラインがあり、購入前、購入時、購入後でも分けられます。
以下は、BtoC、BtoBの主なタッチポイントの種類です。

タッチポイントの種類(BtoC)

BtoCのタッチポイント

オンライン オフライン
購入前 Web広告
メディア
Web検索
SEO
SNS
動画
メルマガ
レビューサイト
TV
CM
新聞や雑誌の広告
チラシ
店舗
街頭イベント
口コミ
購入時 ECショップ
・Webサイトでの購入
・Web接客
・商品説明動画
・レコメンド
・クーポンの提供
店舗
・接客を受ける
・試着などで商品を確認
・商品の包装
購入後 お礼メール
評価の書き込み
ファンイベント
電話問い合わせ

 

タッチポイントの種類(BtoB)

BtoBのタッチポイント

オンライン オフライン
購入前 広告
企業Webサイト
オウンドメディア
ホワイトペーパー
ウェビナー
メルマガ
比較サイト、レビューサイト
オンライン商談
TVCM、タクシー広告
展示会
ショールーム
セミナー
DM
架電
商談
購入時 オンライン申込 契約、申込
購入後 顧客向けWebサイト
メールによるアフターフォロー
評価の書き込み
顧客向けイベント
カスタマーサポート
オンボーディング

タッチポイントが重視される背景

タッチポイントが重視される背景として、以下があります。

顧客行動の多様化
オンラインのタッチポイントが増え、スマートフォンやタブレットなどデバイスの選択肢も増えて、顧客行動は多様化しています。顧客は、SNSの動画で見た商品を実店舗で購入したり、逆に店舗で見て気になった商品をあとで検索して、オンラインで購入したりします。このように多様で複雑になった顧客の行動を理解して、各々のタッチポイントを適切に設定し、強化することが、マーケティング施策において重要視されています。

タッチポイントの多様性

購買の主導権が顧客へ移行
SNSの投稿や口コミサイトの評価が顧客の購買行動の決め手となっています。つまり、企業からの情報より友人や他の顧客からの情報が重視されています。また、顧客は自ら検索して足りない情報を入手できます。以下はBtoBで購買の主導権を昔と今で比較した図ですが、BtoCでも同じことがいえます。

購買行動の変化

このような状況において、企業が顧客とコミュニケーションをとれる貴重な機会であるタッチポイントを最大限に活用することの重要性が増しています。

タッチポイントを強化する方法と進め方

ひとつひとつのタッチポイントを強化する目的を確認し、次に具体的な方法とその手順を解説します。

タッチポイントを強化する目的

タッチポイントを強化する目的として、以下が挙げられます。

認知度向上と見込み客の集客
購買行動の最初の段階に「認知」があります。まず自社のサービスや商品を認知してもらうためのタッチポイントが必要です。認知してもらうことにより、将来の顧客になる可能性がある見込み客を集客できます。

顧客体験の向上
個々のタッチポイントでの体験が、顧客の商品や企業に対する印象の決め手になります。そこでの質の高い体験が積み重なることにより顧客満足度が向上し、リピート購入の可能性も高くなります。

ブランディングの強化
Web広告、実店舗で商品を確認、SNS投稿など、いくつかのタッチポイントにおいて一貫性のある質の高い体験ができれば、認知度が上がるとともに、ブランドイメージも向上します。

売上の増加とLTVの向上
購入前のタッチポイントの強化により購買に結びつく可能性が高くなります。また、購入時や購入後のタッチポイントの強化により、サービスの継続、アップセル・クロスセルやリピート購入の増加を期待できます。タッチポイント施策はLTV向上のためにも重要です。

参考:LTVとは?計算式やLTV向上の施策を解説!

タッチポイントを強化する方法

前述したように、オンライン・オフラインを合わせて多くのタッチポイントがあります。
そのなかで、タッチポイントを強化しようというとき、何をどのように強化していけばいいでしょうか。方法として以下の選択肢があります。

タッチポイントを増やす

まず、タッチポイントを増やすという方法がありますが、これには注意が必要です。たとえば、メルマガの頻度を増やせば情報が多すぎて配信停止されかねません。一人の顧客のタッチポイントを増やすというよりも、できるだけ多くの見込み客や潜在顧客との接点を増やすことが大事です。具体的には、購買行動に沿って、各フェーズにもれなくタッチポイントを設定することが有効です。

各フェーズの施策を洗い出すためには、顧客が商品を認知してから行動するまでのタッチポイントを整理する「カスタマージャーニーマップ」が有効です。以下は、BtoCのカスタマージャーニーマップの例です。

カスタマージャーニーとは

この表の例であれば、認知層は製品を知るにあたり、タッチポイントが「広告」「メディア」「SNS」「展示会」に発生すると想定されるので、それに対応する施策として以下が挙げられます。

  • 広告:リスティング広告、バナー広告
  • メディア:SEO
  • SNS:Facebook、SNSのアカウント運用

フェーズのタッチポイントがヌケモレていると、たとえば「関心」のフェーズにいる顧客が検索をしたとき、表示結果に自社のWebサイトが表示されず次へと進むことが難しくなってしまいます。顧客行動の多様化に伴った施策を実施することが重要です。

参考:潜在顧客とは?顕在顧客、見込み顧客との違いやアプローチ方法、企業事例を解説

タッチポイントの質を高める

一つ一つのタッチポイントの質を高めることも重要です。WebサイトやWeb広告、SNSアカウント運用などではデザインやメッセージの一貫性を保ち、ブランドイメージを明確にします。また、Webサイトやメルマガは顧客がストレスなく快適に利用できるよう、ABテストによりコンテンツの改善をはかります。

セミナーや自社主催のイベントでは、開催後のアンケートにて満足度や役に立ったセッションを聞くと、次回開催時の質向上に役立てることが可能です。

タッチポイント強化のポイント

参考:
ABテストとは?実例で分かる!成果を上げるコツや進め方を解説
マーケティングにおけるアンケートの効果的な作成と活用の方法は?
ビジネスイベントにアンケートは不可欠!テンプレートや成果を上げるポイントを紹介

タッチポイント強化の手順

タッチポイントの強化は、以下のような流れで進めます。

  1. ペルソナの作成
  2. カスタマージャーニーマップの作成(または購買ピラミッドの作成)
  3. フェーズごとの施策の選定
  4. 施策の実行と検証、改善

1. ペルソナの作成

効果的なタッチポイントを創出するために、顧客の行動や志向をできるだけ正確に理解する必要があります。そのために、ペルソナの設定が有効です。特定の商品やサービスの一人の顧客像を設定するペルソナは、プロフィールを詳細に設定します。BtoBの場合は、企業担当者個人と企業の両方を設定します。

ペルソナ例

ペルソナの作成方法、具体例については、以下の記事でくわしく解説しています。
参考:ペルソナマーケティングとは?設定するメリットや作成方法、具体例を紹介

2. カスタマージャーニーマップの作成(または購買ピラミッドの作成)

確定したペルソナの購買行動をフェーズで分けます。購買行動フェーズは、「AISAS」「ULSSAS」「AISCEAS」などのうち、適したものを活用します。次に、フェーズごとの施策やタッチポイントを整理します。

カスタマージャーニーマップの代わりに購買ピラミッドで施策を整理する事例については、シャノンの事例で後述します。

3. フェーズごとの施策の選定

カスタマージャーニーマップでリストアップした施策のなかで、優先して実行する施策を決定します。すべてのフェーズで顧客との接点が持てるようにして、顧客の購買フェーズが引き上げられるよう、施策を組み合わせます。

BtoBの場合、ただ施策があるわけではなく、各フェーズに対応する施策と要素が存在します。各フェーズの施策・要素がないと新規の獲得ができず、獲得できた場合も引きあげられないため、自社に足りていない施策はないか整理することが大切です。

4. 施策の実行と検証、改善

各施策を実行し、効果測定をもとに改善を重ねていきます。たとえばWeb広告で期待通りの成果が得られない場合、広告コンテンツの改善や出稿スケジュールの見直しを行うほか、他の施策への変更も検討します。

タッチポイント強化を成功させるポイント

タッチポイントを強化して成果を上げるためのポイントを紹介します。

MA(マーケティングオートメーション)の活用

ここまで紹介してきたように、さまざまなマーケティング施策のそれぞれでタッチポイントが発生します。これらをすべて一元的に管理・運用するためにはMAが有効です。

タッチポイントを管理できるツールとしてはSFAやCRMもありますが、マーケティングに特化したMAの導入は以下の点で有効です。

施策の実行と効果測定を効率化できる
MAは「行動履歴に基づくメール送信」「スコアリングとフェーズ判定」などを自動化できるため、タッチポイントの管理や強化、施策の改善を効率よく、かつ精度高く行うことが可能です。

オンラインとオフラインのタッチポイントを一元管理できる
展示会での名刺交換、セミナー参加、電話問い合わせなどのオフラインのタッチポイントを取り込み、オンラインの履歴と一元的に管理できます。マーケティング施策の全体を評価して、タッチポイント強化を効率よく進めていくことができます。

オンラインのタッチポイントを詳細に蓄積できる
MAでは見込み客が自社のWebサイトを閲覧した行動を記録し、他のタッチポイントと合わせて履歴を蓄積します。たとえば、顧客が「導入事例」のページを見たら興味・関心フェーズ、「料金」のページを見たら検討フェーズと推測ができ、他のタッチポイントと合わせて、より正確に顧客を理解することができます。

タッチポイントの一元管理をするなら

シャノンのマーケティングオートメーションをぜひご確認ください。

オムニチャネル化

BtoC、とくに実店舗とECサイトを運営するビジネスでは、オムニチャネル化が進められています。オムニチャネルとは、顧客がオンライン・オフライン問わず、あらゆるチャネルの違いを意識せずにスムーズに購買行動、購買体験ができることをいいます。購買フェーズごとのタッチポイントを効果的に連携させるためには、オムニチャネル化を同時に進める必要があります。

合わせて、「O2O」「OMO」も進んでいます。

O2Oとは「Online to Offline」の略で、オンライン上で情報を提供し、顧客を実店舗へ誘導する技術です。飲食店やエンタメ施設のような実店舗のマーケティングに活用されています。
OMOは「Online Merges with Offline」の略で、オンラインとオフラインの融合という意味です。具体的には、「タッチレス改札」「タッチレス決済」などが挙げられます。

オムニチャネル

オムニチャネル、O2O、OMOについては、以下の記事でくわしく解説しています。
参考:オムニチャネルとは?OMOも合わせて最新の事例をご紹介!

One to Oneマーケティングの実施

One to Oneマーケティングとは、顧客一人一人の購買フェーズや行動に合わせて、一人一人に異なるマーケティング施策を実施することです。個々のタッチポイントの質を上げるために、One to Oneのアプローチが欠かせません。

One to Oneマーケティングの施策事例は、たとえば以下のようなものです。

  • Webページ閲覧履歴によりWeb表示を出し分け

one to oneマーケティングの実例

  • メールのクリック履歴がある見込み客に対して特定の動画付きメールを送信
  • タッチポイントが一定期間発生していない顧客にDMを送付

One to Oneマーケティングの実施には手間がかかりますが、効率よく行うためにはMAのシナリオ機能が有効です。顧客行動に基づく施策を設定により自動化できます。

参考:
One to Oneマーケティングとは?MAで効率化できる具体的手法を解説
MAのシナリオ機能とは?シナリオを作成するメリット、手順、シャノンが実践しているシナリオ事例も多数紹介!

シャノンが実践するタッチポイント強化策の事例紹介!

最後に、シャノンのタッチポイントに関連する施策の事例をご紹介します。

シャノンでは「購買ピラミッド」を活用

施策やタッチポイントを設計するときに活用するカスタマージャーニーマップについてすでに解説しましたが、シャノンでは、カスタマージャーニーマップに代わるツールとして「購買ピラミッド」を使用しています。
購買ピラミッドとは、以下のように購買フェーズを縦に配置したピラミッドのことです。

購買ピラミッドとは

図のように、顧客の購買フェーズを「認知」「興味」「関心」「比較・検討」「商談」へと順に引き上げていくための施策を整理します。

タッチポイントが足りないフェーズをチェック

購買ピラミッドで施策を整理すると、施策が十分でないフェーズが明らかになります。
以下の図の場合なら、比較・検討フェーズに属する顧客向けの施策がなく、タッチポイントが発生しません。購買意欲が高い見込み客が、次の商談フェーズに上がらない状態になってしまっています。

購買ピラミッドの抜け漏れリスク

さらに詳細に検証するには、チェックリストを使います。
以下の図の右表では、各フェーズの施策があるかをチェックしています。

タッチポイントのチェックリスト

「ホワイトペーパーダウンロード」「関心ウェビナー」などの足りない施策を追加して、改善を図ります。

最終接点だけでなく、間接効果まで見る

BtoBのタッチポイントのひとつに「展示会」があります。
シャノンの場合、展示会は商談に結び付きやすい最終接点であるというデータが得られています。

しかし、最終接点の前のタッチポイントで見てみると、イベント・展示会前のなかでは63.2%、資料請求のなかでは53.3%がウェビナーに接触していることが分かっています。

間接的なタッチポイントの効果

最終接点だけを評価するのではなく、間接効果まで視野を広げることで、どんな施策が商談に貢献しているのかが可視化されます。

参考:展示会から商談へつなげる。費用対効果を上げるための具体策を紹介!

タッチポイントの一元管理をするなら

シャノンのマーケティングオートメーションでは、顧客接点をリード情報と紐づけて管理が可能です。ぜひご確認ください。

まとめ

本稿のポイントは以下です。

1. タッチポイントとは、企業と顧客の接点のことです。タッチポイントにはオンラインとオフラインがあり、購入前・購入時・購入後でも分けられます。

2. タッチポイントを強化する目的は以下です。
・認知度向上と見込み客の集客
・顧客体験の向上
・ブランディングの強化
・売上の増加とLTVの向上

3. タッチポイントを強化する方法として以下があります。
・タッチポイントを増やす
・タッチポイントの質を高める
・購買行動に沿って、各フェーズにもれなくタッチポイントを設定する

4. タッチポイント強化の手順は以下です。
1)ペルソナの作成
2)カスタマージャーニーマップの作成(または購買ピラミッドの作成)
3)フェーズごとの施策の選定
4)施策の実行と検証、改善

5. タッチポイントの強化を成功させるポイントは以下です。
・MAの活用
・オムニチャネル化
・OnetoOneマーケティングの実施

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。


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