ブランディングとは?意味や目的、企業の成功事例を紹介

ブランドという言葉は日常生活の中でも良く耳にします。
誰もが「チョコレート」「英会話教室」「証券会社」などのブランド名をいくつか挙げることができるでしょう。

多くの人が思い浮かべることができる企業や商品・サービスはブランド力があるといえます。これらのブランドは、一定期間以上積み重ねられたブランディングによって確立されています。

また、「ブランドマーケティング」という言葉もあり、ブランディングとマーケティングには深い関係性があります。

今回は、ブランディングとは何か、その種類や施策、企業の成功事例などを解説していきます。

リードが長らく商談化しない

ブランディングとは?マーケティングやPRとの違いも理解しよう

ブランディングとは、商品やサービスのターゲットとなる顧客を定め、顧客に共通イメージを形成することを目的とした活動です。
まずブランディングの定義、マーケティングやPRとの違いや位置づけを確認します。

ブランドの定義は?

「ブランド」の語源は、自分が所有する牛と他人が所有する牛を区別するための目印としてつける「焼印」からだとされています。

ブランドとは何かについて、フィリップ・コトラーは以下のように定義しています。

ブランドとは、
個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、
競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、
記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらの組み合わせ

つまりブランドとは、顧客が商品やサービス・企業を選び、購買行動をする理由となる、顧客のなかに形成されたイメージやストーリー全般のことです。

ブランドは企業が一方的に作るものではなく、顧客によって作られることもありますが、一般的には企業の側からのブランド戦略が必要になります。具体的には、商品・価格・販路・販促の戦略が必要です。

ブランディングの目的

ブランディングの目的は、企業名や商品・サービスの価値に関して、顧客に共通イメージを形成することです。結果として、顧客から選ばれることを目指します。

ブランドが確立されて競合他社に対して明確な差別化ができていれば、仮に価格が高かったとしても購入される可能性が高くなります。
顧客に選ばれるだけではなく、従業員や株主の行動にも影響を与えます。また、企業ブランドが浸透すれば、いい人材を採用しやすくなります。

企業の財務諸表上では見えませんが、競争力に寄与する貴重な資産であり、企業価値を形成する重要な要素です。

ブランディングが必要とされる理由

今、なぜブランディングが必要とされているのでしょうか。理由として以下が挙げられます。

  • 顧客体験(CX)の重視
    現代ではモノやサービスが溢れており、顧客は何を買えばいいのか決めきれません。そこで、顧客から見て共感できる価値のあるなしが購買の有力な動機づけとなってきます。顧客が体験する価値のことをカスタマーエクスペリエンス(CX)といいます。CX向上はマーケティングに欠かせない要素であり、ブランド力向上とリンクしています。CXについては、「カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?向上する4つのメリットや成功の具体例を紹介」でくわしく解説しています。
  • LTVの最大化
    ブランディングに成功すれば、常に顧客から選ばれ、自社のファンとなってくれる顧客を獲得し、LTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)を最大化できます。LTVとは一人の顧客が生涯で購入する総額のことです。LTVについては「LTVとは?BtoBマーケティングにおけるLTVの重要性と施策を解説」でくわしく解説しています。

ブランディングとマーケティング、PRの違い

ブランディングとマーケティングの違いは、目的にあります。

ブランディングの目的は、顧客に企業や商品・サービスのイメージを構築して思い浮かべてもらい、選ばれることです。

一方、マーケティングの目的は、商品やサービスの販売促進です。著名な経営学者であるピーター・ドラッカーは、マーケティングの目的について「マーケティングの目的は販売を不要にすることだ」と述べています。

ブランディングとマーケティングの位置づけについては、ブランディングはマーケティングのひとつの要素であるという考え方、マーケティングの上位概念とする考え方などがあります。マーケティングについては「マーケティングとは?その定義と歴史をふまえると、現代のマーケティングもわかる。おすすめ本も紹介!」でくわしく解説しています。

次に、PRは、「パブリック・リレーションズ」の略語で、日本語では「広報」という意味です。PRとは自社や商品について各種のメディアを通じて情報発信することで、その目的は顧客との関係づくりです。

ブランディング、マーケティング、PRの目的の違い
ブランディング 顧客自身に「商品Aがよい」と思ってもらう
マーケティング 顧客に「商品Aがよい」と伝える
PR 「商品Aがよい」ことを客観的に知らせる

ブランディングとマーケティング、PRには相互作用があります。PRやマーケティングの施策を進めることがブランディングにも影響を及ぼします。
だからこそ、ブランディングとマーケティング、PRの活動は明確な企業理念を共有し、一貫した戦略のもとで進める必要があります。

ブランディングのメリットとデメリット

ブランディングには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

ブランディングのメリット

ブランディングのメリットとして、以下が挙げられます。

  • 広告宣伝費の削減
    商品を販売するためにWeb広告やテレビCMで告知をするとき、広告費がかかります。広告を停止すると売上が減少する傾向にあるため、定期的に広告を出し続けるということが一般的です。
    しかしブランディングに成功すれば、企業名や商品名がブランドとして認知されるので、広告宣伝をしなくても一定の顧客を獲得できるようになります。
    さらに、顧客がファン化してくれれば、長期にわたって売上に貢献してくれるだけでなく、周囲の人に薦めてくれることが増え、いっそうの広告宣伝費の削減につながります。
    また、一定のブランディングに成功した企業では、顧客がすでに商品の魅力を認識しているので、必ずしも広告で価格や機能などをくわしく伝える必要がなくなります。代わりに企業が伝えたいブランドイメージを広告に表現すれば、さらにブランド力を高めることが可能です。
  • 売上の向上
    スーパーやコンビニなどで大量に陳列されていたり、POPで紹介されている商品を買うことがありますが、これはマーケティング施策の結果としての購買行動です。
    一方、ブランディングに成功して認知度が上がれば、店舗に商品があるだけで顧客から見つけられる「指名買い」により、売上が伸びます。固定ファンのリピート需要も売上に貢献します。
  • 利益率の向上
    ブランディングに成功すると利益率が高まります。
    ハイブランドの洋服やバッグなどが好例ですが、原材料費がそれほど変わらなくても、販売会社のロゴが刻印されているだけで価格が高く設定されています。ブランド力がそのまま価格プレミアムに表れています。
    ブランド力があれば、価格を高く設定できるようになり、利益率は高くなります。
    得た利益は、ブランディング活動や商品開発に投資できるため好循環が生まれます。
  • 信頼性の向上
    ブランディングは、商品やサービスの品質、あるいは企業自身に対する信頼度を向上させる効果があります。
    「なんとなくあの企業は信頼できる」という個人が抱く印象は、ブランディング施策の積み重ねの上に成り立ちます。
    そして得られた信頼感は、顧客に選ばれるだけでなく、取引先、株式市場、人材市場で選ばれることにもつながり、ビジネスチャンスの拡大と企業の成長をもたらします。
  • 人材の確保
    新卒や転職で就職活動するとき、知らない名前の会社よりは知っている名前の会社、さらにできれば、よりよいイメージの会社を選びたいと思うでしょう。
    自社の顧客でありファンである人が求人に応募してくれる可能性もあります。このような人材は、企業や商品の価値に共感しているのでモチベーションも高い傾向です。
    人材の確保がしやすくなると、求人のための広告費や人材紹介量などの採用コストが抑えられます。

ブランディングのデメリット

ブランディングのデメリットとして、以下が挙げられます。

  • コストと時間がかかる
    ブランディング施策にはコストがかかります。また、施策を実施してから成果が出るまでには少なくとも半年~1年程度の時間がかかります。商品やサービスの名前とブランドイメージが十分浸透するには、さらに長い期間を要することもあります。
  • 不確実性がある
    ブランディング施策の結果、定着したブランドイメージが当初の狙い通りになるかどうかは不確実です。ブランディングは企業からの発信だけでなく顧客間のコミュニケーションによっても醸成され、外部要因が加わることによっても変化するからです。

ブランディングの種類

ブランディングには、大きく分けて以下の4つの種類があります。

  • 企業ブランディング
  • 商品・サービスブランディング
  • インナーブランディング
  • 採用ブランディング

それぞれくわしく解説します。

企業ブランディング

企業ブランディングとは、企業自身のイメージや価値を顧客に認知してもらうことです。

企業ブランディングを進めるには、まず企業の現状を分析することから始めます。定義された企業価値をもとに、ミッション・ビジョン・バリューといった企業理念を定義し、それを企業活動で具体化していきます。

企業ブランディングの具体的な施策例は以下の通りです。

  • 企業名、ロゴ、キャッチフレーズの構築
  • 企業公式サイトのリニューアル
  • イベント、企業CM
  • CSR活動(環境保全や社会貢献活動など)

近年は社会的にSDGsへの意識が高まっているため、CSR活動は企業ブランディングに欠かせない要素となっています。

商品・サービスブランディング

商品・サービスブランディングとは、商品やサービスが消費者に選ばれ続けるための活動を指します。商品・サービスの魅力や価値を消費者に伝え、長期的なファンになってもらいます。

商品・サービスブランディングは、商品・サービスそのものに価値があることが前提です。食品であればおいしさや機能性などの魅力があり、それが伝わるようパッケージやネーミングなどによって商品の価値を高めます。

商品・サービスブランディングの具体的な施策例は以下の通りです。

  • ネーミング
  • 外観・パッケージ・仕様
  • 価格設定
  • 広告宣伝
  • 専用Webサイト
  • SNSアカウント運用
  • 販促イベント・キャンペーン

すでにある商品やサービスの名称やパッケージ、価格などを変更する、「リブランディング」もよくおこなわれます。

インナーブランディング

インナーブランディングとは、自社の社員向けのブランディングのことです。これに対して、上に紹介したような顧客向けの商品や企業のブランディングのことをアウターブランディングといいます。

インナーブランディングでは、自社のミッション・ビジョン・バリューといった企業理念を社内で共有し、社員が共感をもつことで、モチベーション向上につながります。

社員のエンゲージメント向上により離職率が低下し、事業の安定性が高まります。インナーブランディングは、短期的に成果の出るものではありません。社員とのコミュニケーションを継続的におこない、中長期的視野で実施します。

インナーブランディングの具体的な施策例は以下の通りです。

  • 社内報
  • ワークショップ・社内研修
  • 定期的な経営層との交流
  • 社内イベント など

インナーブランディングの効果を計測するために、社内アンケートや組織サーベイという手段があります。これらを定期的に実施することで、社員が会社のことをどう思っているのかを調査できます。

採用ブランディング

採用ブランディングは、人材市場において自社が選ばれるためのブランディングです。

自社がどのように社会に貢献しているか、どのような社風か、労働環境はどうなっているのかなどを伝え、求職者に「この会社で働きたい」と思ってもらえるように取り組みを進めます。

採用ブランディングの具体的な施策例は以下の通りです。

  • 福利厚生制度の充実
  • オフィス環境の整備
  • 採用サイトや動画の作成
  • 会社案内の作成
  • 採用イベントへの出展 など

労働人口が減少し、人材不足が叫ばれるなか、企業にとって必要な人材を獲得することは事業を成長させるために欠かせません。採用ブランディングが成功すれば、採用にかかる費用を削減できます。また、求職者に企業イメージを正確に伝えられるので、入社後の定着率向上させることにもつながります。

ブランディングの手順と成功させるためのポイント

実際にブランディングをどのように進めていくか、成功のポイントはなにかを解説します。

ブランディングの手順

1. 目的の設定

対象となる顧客ターゲットを明確にしたうえで、ターゲットにどのようなブランドイメージを持たれたいのかという目的を設定します。

多くの企業では、活動における予算や人材は限られます。そのため、ターゲットを絞り込むことで効率的にブランディングを進められます。
まずはターゲット層へのブランド浸透を図り、成功したら近い層に向けて展開していきましょう。

2. 自社の現状分析

目的の設定ができたら、自社の現状分析をしていきます。自社を知るためには、他社や外部環境分析をする必要があります。そこで役立つのがマーケティング分析手法です。

マーケティング分析手法の種類 マーケティング分析手法の内容
PEST分析 事業の外部環境を知ることができる
3C分析 事業を客観的に評価できる
VRIO分析 企業の内部環境を評価できる
SWOT分析 内部環境と外部環境を比較検討できる
STP分析 セグメント・ターゲット・ポジショニングを設定できる
4P/4C分析 戦略を具体化できる

詳細な分析により得られる「自社の強み」や「ターゲットのニーズ」がブランディングの重要な手がかりになります。

マーケティングの分析手法については、「「STP」「AIDMA」など、知っておきたいマーケティング分析手法や考え方を一挙に紹介」でくわしく解説しています。

3. ブランドアイデンティティの設定

ブランド論の第一人者であるデービッド・アーカー教授によれば、ブランドアイデンティティとは「ブランドの名前やシンボルと結びついた資産の集合であり、商品やサービスによって顧客に提供される価値を増大させるもの」です。
簡単にいうと、ブランドアイデンティティは、企業から顧客へ伝えたいブランドのイメージのことです。

たとえば、企業や商品のコーポレートカラーとして明るいグリーンを選んだとします。緑色は安心感、フレッシュさ、自然の美しさ、エコロジーなどのイメージを伝えます。同じようにして企業がロゴデザインやキャッチフレーズを選んでいくことにより、ブランドアイデンティティが決まっていきます。

ブランドアイデンティティは企業側が意図したものであり、ブランドイメージはそれを受け取った顧客側の認識となります。そのため、ブランドアイデンティティとブランドイメージは異なる可能性もあります。

顧客が認識するブランドイメージと企業が理想とするブランドアイデンティティを近づけるため、戦略を考えて実行する必要があります。

ブランドアイデンティティを構成する要素は複数あります。 要素と内容については、下記の通りです。

ブランドアイデンティティの要素 内容
五感的特徴 視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚に関する特徴
事実的特徴 品質管理にもとづいた安全性などの内容に関する科学的な特徴
機能的価値 科学的な機能面の価値
情緒的価値 希少性や信頼性などの情緒的な価値
ライフスタイル的価値 おしゃれさや高級感などのライフスタイル的な価値
社会・倫理的価値 サステナビリティやフェアトレードなどの社会・倫理的価値

(参照:「平成28年度輸出戦略実行事業」ブランディングの考え方・海外事例整理、アクセンチュア株式会社

上図のように、ブランドを形成するには、商品の事実的な特徴や機能的特徴に加え、顧客の感性に訴求する必要があります。

4. ブランドの浸透

ブランドアイデンティティを設定したあとは、ブランドを浸透させるために活動します。浸透させる対象は主に顧客ですが、社員、投資家などに対しても行うことがあります。

ブランドを浸透させるためには、コストや時間がかかります。長期的なプランのもと、継続的に施策をおこなうことが重要です。

ブランドを浸透させる具体的な方法については、この後のブランディング施策で解説します。

5. ブランディングの検証と改善

ブランドが浸透しているかを計測するために定期的に調査を行います。調査にあたっては、「ブランドエクイティ」と呼ばれるブランドの資産価値を評価する基準を決めておきましょう。

ブランドエクイティには以下の5つの要素があります。

  • ブランド認知
  • ブランド連想
  • ブランドロイヤリティ
  • 知覚品質
  • その他のブランド資産

調査方法として、ユーザーインタビューやアンケートが有効です。浸透には時間がかかるため、年に1回程度が目安となります。これを毎年おこなってください。

調査の結果、課題点があれば改善をしていきます。時代によって外部環境は変化するので、ブランド価値も変化します。状況によってはリブランディングが必要となります。

ブランディングを成功させるポイント

企業が作成したブランドアイデンティティやブランディング施策が顧客に受け入れられなければ、ブランディングはうまくいきません。ブランディングを成功させるポイントとして、たとえば以下が挙げられます。

  • 綿密なリサーチを行う
    現状分析は、企業当事者の思い込みを排除して、正確に客観的に実施する必要があります。外部の専門企業の協力を得て、第三者の視点を入れながら行うことがおすすめです。
  • 自社の強みを活かす
    ブランディング施策を行っていない段階でも、顧客は企業や商品・サービスに関して、すでに何らかのイメージを抱いています。顧客インタビューなどの機会を何度か設けて、顧客の購買理由や体験を丁寧にリサーチし、そこから自社の強みを見つけてブランディングに活かします。
  • インナーブランディングを同時に行う
    アウターブランディングを行うとき、インナーブランディングも同時に行うことがおすすめです。ブランディングは全社で意識を共有して進めていく必要があるからです。まず社員の共感を得て、社内からブランディングを浸透させていくことがポイントです。

ブランディングの施策

ブランディングのための具体的な9つの施策についてお伝えします。どれも重要な施策です。

キャッチコピー

キャッチコピーは、企業の特徴や強みを短い言葉で表現したものです。質の高いキャッチコピーは、長年にわたって顧客の心に残ります。キャッチコピーを聞いただけで、商品名や企業名が頭に浮かぶ経験をしたことがあるのではないでしょうか。

株式会社ロッテの「お口の恋人」というキャッチコピーは、コーポレートメッセージとして多くの消費者に浸透しています。

また、株式会社ニトリの「お、ねだん以上。ニトリ」というキャッチコピーは、ニトリの強みや特徴を表現しています。

キャッチコピーはブランドコンセプトを表しているので、Webサイトやプロモーションなど、さまざまなところで活用できます。

キャラクター

自社オリジナルのキャラクターを制作・起用することでブランディングを図る施策です。

株式会社不二家の「ペコちゃん」は、長きにわたり不二家を象徴する存在です。不二家の店頭にペコちゃんの人形が置かれているのを見かけたことがあるのではないでしょうか。ペコちゃんはテレビCMや商品パッケージ、商品名にも起用されています。

キャラクターは時代に応じて変化します。ペコちゃんも細部のデザインを修正しながら、現代に至っています。今の時代に適応してペコちゃんのSNSアカウントも開設されています。

ほかにも、LINEやクロネコヤマトのキャラクターなど、誰でも思い浮かべることができるほど浸透しているキャラクターが数多くあります。

ロゴ

ロゴは、企業や商品・サービスを端的に表現して伝えます。見ればすぐ企業名や商品・サービスを思い出せる多くのロゴが生活に浸透しています。

ロゴには言葉の壁がなく、グローバルに価値を伝えます。たとえばマクドナルドやナイキのロゴは、世界で認知されています。ロゴの活用場所として、以下があります。

  • 看板
  • 商品パッケージ
  • パンフレット
  • Webサイト
  • ノベルティ
  • ユニフォームなど

さまざまな場面で活用できるロゴは、ブランディングには欠かせない存在です。そのぶん、使用方法は厳しく規定する必要があります。

パッケージ

パッケージには、商品の特徴や魅力を伝える役割があります。顧客に伝えたい価値を表現したパッケージはブランディング施策として重要です。

株式会社明治の「明治ザ・チョコレート」は、パッケージを変更したことでブランド価値向上と売上向上を実現しました。
2014年に販売開始された同商品を、2016年にリニューアル。パッケージデザインも変えました。複数のデザイン会社に依頼し、十数種類のデザイン案の中から決定したそうです。

手作り感や高級感のあるパッケージに変更し、チョコレート専門店で販売されているチョコレートのような雰囲気を演出しました。

2022年9月には更にリニューアルをし、カカオ産地の循環をイメージしたパッケージデザインへ変更しています。パッケージで産地と消費者のサステナブルなつながりを訴求する狙いがあるようです 。

また、「無印良品」の商品のパッケージは同じデザインで統一されています。そこに、シンプル、ナチュラル、持続可能性などのメッセージが明確に表現されていて、パッケージによるブランディングの成功例といえるでしょう。

スポンサード

スポーツ大会や文化イベントのスポンサードをすることで、ブランディングをおこないます。

世界で約100億本を売り上げているエナジードリンク「レッドブル」 を販売するレッドブル社は、さまざまなスポーツ大会やチーム、個人アスリートにスポンサードしています。

有名スポーツや選手に限らず、まだそれほど知名度のないスポーツや選手に対してもスポンサードをしているのが特徴です。
最近では、e-sportsのイベントや選手にもスポンサードをしており、若者をターゲットにしたブランディング施策もおこなっています。

Webサイト/オウンドメディア

総務省の「情報通信白書」によると、日本のインターネット利用率は84.9%で、 多くの人がスマホやタブレットから気になる企業や商品・サービスについて調べます。そのため、ブランディング施策においてもWebサイトは重要な存在です。(参考:令和5年版 情報通信白書

株式会社サイバーエージェントのWebサイトは、メインビジュアルに社員インタビューやサービス紹介を掲載しています。
サービス内容やサステナビリティに関する取り組みも見やすくまとめられており、顧客が会社の情報を得やすく設計されています。

また、自社で作成したコンテンツを蓄積していくオウンドメディアは、自由度が高くブランディング施策に最適です。コンテンツを発信することで、自社について幅広く知ってもらえます。

トヨタ自動車株式会社が運営する「トヨタイムズ」は、トヨタに関する情報を中心に発信し、テレビCMや雑誌、YouTubeとも連携しています。これまで公開されることのなかったトヨタのありのままの姿を発信することで、顧客との接点を作っています。

オウンドメディアのブランディングについては以下の記事でも解説しています。
参考:オウンドメディアの意味やメリットとは?作り方から成功事例まで徹底解説!

SNS

Instagram、X(旧Twitter)、TikTokなどのSNSアカウント運用によるブランディングもさかんに行われています。SNSのユーザー層に合わせてSNSごとに異なるブランディングを展開することもあるようです。

Xで830万人のフォロワーを誇るローソンは、毎日ローソンの商品やキャンペーン情報を投稿しています。画像、動画、漫画など多様で飽きさせないコンテンツを展開しています。

TikTokの資生堂アカウントでは、メイク方法を詳しく紹介する動画に特化して発信しています。

SNSのメリットは、双方向コミュニケーションがとれることです。直接フォロワーから反響を受け取り、ブランディングの浸透を確かめながら進めることができます。また、アカウント運用は低コストでできるため、個人店舗や中小企業でもやり方次第でブランディングが可能です。
しかし一方で、発信の内容で失敗すればブランドイメージを損なうリスクもあります。

ソーシャルメディアを用いたブランディングやマーケティングについて、詳しく知りたいかたは下記の記事も参考にしてください。
参考:ソーシャルメディアマーケティングとは?基礎知識や具体的な手法、SNS活用方法も解説

イベント・セミナー

イベントやセミナーの開催も、ブランディングにつながります。

BtoCでは、ゲーム会社がゲームの世界観をリアルで提供するイベント、メーカーが親子を工場に招いてものづくりを学ぶ体験イベント、期間限定のコラボカフェや展覧会など、多様なイベントが開催されます。

BtoBでは、勉強会、セミナー、シンポジウムなどを開催することが多いです。Web広告事業の会社がWeb広告に関するセミナーを定期的に実施すれば、「Web広告ならあの会社」というブランド醸成に効果的です。
また、企業の代表や専門知識を持った社員がイベントやセミナーへ登壇すれば、参加者に信頼感をアピールできます。

イベントのブランディングやマーケティングについて詳しく知りたいかたは以下の記事も参考にしてください。
参考:イベントマーケティングとは?メリットや進め方、成果を上げるポイント、事例を紹介!

テレビCM

商品やサービスを売ったり、告知したりする広告についてはWeb広告で十分という場合もありますが、ブランディング施策としてはテレビCMを選ぶ傾向があります。

テレビCMはWeb広告と比較して、ブランディングに欠かせない信頼度を向上させる効果が高いことが一因と考えられます。また、動画はテキストや写真によるコンテンツと比べて5000倍もの情報量があるといわれ、テレビCMであれば幅広い顧客層に対して一気に情報を届けることができることもメリットです。

最近は、BtoB企業のテレビCMが増えていますが、これはまさにブランディング施策の一環です。

世界最大のガラスメーカーであるAGC株式会社は約110年の間、「旭硝子」という社名で事業をおこなっていましたが、グローバル一体経営を実現するため、2018年に社名を旭硝子からAGCに変更しました。社名変更を多くの人に知ってもらうため、テレビCMを放映しブランディング施策を進めています。

ブランディングに成功している企業の事例

ブランディングに成功している企業から、特徴的な3例を紹介します。最後に、シャノンが現在取り組んでいるブランディングの資料の一部を公開します。

LVMH

LVMHは、LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)やDior(ディオール)、BVLGARI(ブルガリ)などの商品を扱っています。

LVMHのブランドのひとつであるルイ・ヴィトンは、1854年に旅行鞄専門店からスタートしました。その後、1896年にLとVの文字を組み合わせたモノグラムが誕生し、ブランドを象徴するロゴとなっています。ヨーロッパのみならず日本でも大人気のブランドです。

品質へのこだわりはもちろんのこと、大規模な広告プロモーションの展開や店舗戦略などにより、強いブランド力を長く維持しています。最近では、サステナビリティにも力を入れており、公式サイト上にサステナビリティに関するページを公開しています。

スターバックス

日本でもなじみ深いスターバックスは、世界最大のコーヒーチェーンです。
1971年にワシントン州に第1号店がオープンし、1996年には銀座に日本第1号店がオープンしました。

コーヒーが美味しいうえ、おしゃれで高級感のある店内が「サードプレイス(第3の場所)」として人気です。割引やテレビCMによる大規模プロモーションをおこなわなくてもブランディングに成功しているという点では珍しい企業です。

人と地球とコミュニティを大切にしており、「女性活躍における行動計画」の策定や紙ストローの導入など、SDGSへの取り組みも注目されています。

ヤンマー

ヤンマーは、1912年に創業された歴史のある企業です。大地と海と都市をフィールドに農業機械の製造販売や船舶用エンジンの開発、エネルギーマネジメントシステムの開発・提供などをおこなっています。

ヤンマーが1959年に開始した『ヤン坊マー坊天気予報』のテレビ放送は、2014年までの55年間に渡って続きました。このキャラクターイメージが強かったヤンマーですが、創業100周年を迎えた2012年、グローバル市場でブランディングを進めるためにリブランディング施策を実施。コーポレートアイデンティティや商品デザインを変更しました。2024年1月、「ヤン坊マー坊」のデザインが9代目となりましたが、従来と大きく変わったことで話題になりました。

ブランディング活動の結果、ブランドイメージは向上し、入社希望者の増加やメディアへの露出が増えています。

シャノンが実施したブランディングの定義

シャノンでブランディングを再定義した際、実施した主な作業は以下のようなものです。

  • 各種の分析を通じでシャノンの業界での立ち位置を確認し、言語化する
  • 詳細なペルソナを作成する
  • ターゲットにとってのシャノンの価値を明確にする
  • ブランディング施策を決定して実行する

ペルソナの詳しい作成方法について知りたいかたは下記の記事も参考にしてください。
参考:ペルソナマーケティングとは?設定するメリットや作成方法、具体例を紹介

また、シャノンの「Mission Vision Value」は、以下の通り定義しています。

  • Our mission
    マーケティングの再現性で世界を変える
  • Vision
    日本を代表するマーケティングクラウドになる
  • 5 Values
    • お客様の立場に立つ
    • 個人と会社の成長
    • チームファースト
    • サイエンス
    • 創造思考

くわしくはこちらのページでご覧いただけます。

まとめ

本稿のポイントは以下の5点です。

1.  ブランディングは、販売したい商品やサービスのターゲットとなる顧客を定め、顧客   に共通イメージを形成することを目的とした活動です。

2.  ブランディングの目的は、顧客に商品やサービス、企業のイメージを構築して思い浮かべてもらい、選ばれることです。そのためには、他社との違いや自社ならではの強みを明確にする必要があります。

3. ブランディングのメリットは以下の5つです。
・広告宣伝費の削減
・売上の向上
・利益率が高まる
・信頼性の向上
・人材の確保

4.  ブランディング施策は大きく分けると以下の9つです。
・キャッチコピー
・キャラクター
・ロゴ
・パッケージ
・スポンサード
・Webサイト/オウンドメディア
・SNS
・イベント・セミナー
・CM

ブランディングは重要ですが、成功させるのは簡単ではありません。長い時間とお金がかかることを理解したうえで、短期的な効果を求めず長期的な目線で取り組んでください。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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